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相続の前後に預金を引き出した時に確認すべき5つのポイント

お父さまの相続の際に、今後の生活費等を加味してお母さまへ多くの財産を相続することがよくあります。お母さまが自宅にいる時間が長かったり、介護状態など自分でお金を使っているイメージが無いと、相続人となるお子さんたちは「預金が残っていて相続できる」と考えるでしょう。
しかし、同居をしていたり近所に住んでいてお母さまの預金管理を任されていると、生活費や介護費用、葬儀費用の準備など、どんどん減っていく預金に不安を覚えます。一方で、面倒をみていた分、子どもたちがいろいろと買ってもらったり、生活の援助もしてもらったこともあるかと思います。

こんな場合に、相続時に亡くなられたお母さまの預金を巡ってトラブルになることがあります。
この記事では、相続の前後に預金を引き出したことについて、どのように取り扱うべきかなど、押さえておきたいポイントをご説明します。

1. 亡くなられた方のために引き出した預金なら相続とは関係ない

亡くなられたお母さまが寝たきりの状態が長かった場合や、入院していて自らが預金管理をすることができなくなっていた場合、同居しているご自身夫婦が預金管理を任されていた、ということはよくあることです。このような場合、亡くなられたお母さまの口座から預金を代理で引き出しても、亡くなられたお母さまのために使われた費用であれば相続財産にはなりません。

1-1.家族が代理で預金を引き出しても相続財産にはならない

引き出した理由が正当であり、かつ常識的な範囲の金額であって、何よりも亡くなられたお母さまのために使われた預金であれば、法律的にも相続でも大きな問題にはなりません。これが、預金を管理していたご自身たちの生活費に使っていた、子どもの学費に使っていたとなると贈与として考えるのか、相続財産として戻し入れるのか判断と対応が必要となります。

1-2.引き出した預金の仕様用途や理由を書き出すことが大切

亡くなられた方の預金を引き出した場合、レシートなど証拠になるものや引き出した理由をノートに書き留めておくなど、亡くなられた方にお願いされて引き出した預金であっても証拠となるものを残しておくことがベストです。これらは相続税の対象となる財産かどうかを判断するためだけでなく、他の相続人が納得でき相続全体が円満に進んでいきます。相続の際には、預金の引き出しをしていた方に、このように仕様用途などが分かるものを見せてもらうなど、丁寧にしていきましょう。
 
図1.相続の預金引き出しに関する注意点
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2.預金を引き出した時期と理由によっては相続財産への戻し入れが必要

亡くなられたあとは、銀行に連絡をして預金口座を凍結します。遺産分割協議が終わるまで引き出すことは望ましくなく、亡くなられたあとは相続人全員が均等に亡くなられた方の財産に対する権利を有しているため、勝手に引き出してはいけないということになっています。

預金を相続した場合の対応はこちら ⇒ 預金を相続する場合の注意点と金融機関への相続手続きの全て

2-1.直前引き出しの取り扱いに注意

亡くなられる前に一定の金額をまとめて引き出している場合は相続税を考える際に注意が必要です。これは「直前引き出し」と言われ、相続税を少なくするための行為と見なされてしまうのです。葬儀費用や亡くなられた方の医療費の精算をするための準備資金として引き出したとしても、一旦は相続財産として戻し入れるという考え方(実際に戻す行為は必要ありません。)が適用されます。

図2.預金の引き出しと相続の関係
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2-2.「仮払い制度」の創設(平成30年)

亡くなられた方の預金は、遺産分割協議が終わって誰が相続するのか確定するまで引き出せないルールでしたが、亡くなられた方の預金口座を主に生活している方の生活費の確保や、葬儀費用の支払いに課題が生じるケースも多くありました。そこで、平成30年度の民法改正により遺産分割協議が終わる前に相続人が法定相続分の1/3まで(限度額あり)は他の相続人の合意が無く預金を引き出せる制度が創設されました。実際の施行は、法務省からの案内後となります。

2-3.遺産分割前に引き出したお金も相続財産になる(平成30年)

亡くなられる前から少しずつ引き出しておく、亡くなられて銀行口座が凍結される前に駆け込み引き出しをするというケースもあります。今までのルールでは、このような場合に引き出した方がご自分の生活費等に使ってしまっても相続財産とはみなされませんでした。しかし、平成30年度の民法改正で取り扱いが明確となり、使ってしまった相続人以外の方が、それを相続財産として扱うべき。と主張した場合には相続財産として存在するものと「みなして」遺産分割をすることになりました。

3.相続時にすでに引き出された預金について確認すべき5つのポイント

亡くなられた方の預金はすべて相続財産となります。先に説明しましたが、お金を引き出したタイミングやその使いみちによっては、相続税の課税対象となる可能性がありますので、次の5つのポイントを確認して、正しい取り扱いをしましょう。

表1 5つのポイント

ポイント① 預金を引き出した理由が明確であるか
ポイント② 預金を引き出した理由が亡くなられた方の意思か
ポイント③ 預金を引き出した時期が生前であるか
ポイント④ 預金を引き出した時期が亡くなられた直後か
ポイント⑤ 預金を引き出した総額がいくらなのか

3-1.ポイント①:預金を引き出した理由が明確であるか

預金管理をされている方が「亡くなられた方のために使う預金を引き出したか」ということが最も大切です。亡くなられた方が毎月生活するために必要な費用の引き出しは問題なく、高額であっても亡くなられた方の生活を維持していくために必要な費用であればこちらも問題ありません。高額な費用の例としては、亡くなれた方の家を保持するための修繕費として引き出して支払った、庭の手入れを委託して毎月費用として引き出した、亡くなられた方の意思で生前にお墓を購入した等です。このように理由がしっかりしているか、請求書どおりの金額が引き出されているかがポイントになりますので、明確にして他の相続人へ説明しましょう。

3-2.ポイント②:亡くなられた方の意思による引き出しなのか

本来、預金はご本人の意思で自由に使うものです。しかし、認知症などご自分の意思が示せない場合もあります。そのような時には、いくら家族であっても勝手に判断して引き出してはいけません。「ご両親のために」といいながら亡くなられた方の明確な意思を確認せず勝手に自宅を修繕した場合には相続の課税対象になります。特に同居している場合など、預金管理をしている方のためにお金を使ったのではないことなどを明確にしましょう。

 ご両親が認知症の場合 ⇒ 親が認知症になる前に決めておくべき財産・相続のこと

3-3.ポイント③:預金を引き出した時期が生前であるか

亡くなる直前から半年(場合により1~3年の場合もある)ほど前から亡くなられた方の引き出した預金があれば、相続税を考える上では「直前引き出し」として取り扱われ、亡くなられた日に残高として残っていたと考えられ戻し入れることになっています。これは、相続税対策のために亡くなる半年ぐらい前から定期的にある一定額の預金を引き出すなど、預金残高を減らしても現金を相続財産として考える仕組みとなっています。

「一定額」の目安は、月額の生活費以上の金額とされています。亡くなれた方が生活を維持していくため必要な金額として妥当な金額であるならば、戻し入れる必要はありません。よって、亡くなられた方の生活資金の使い道を整理して、正確な内容を他の相続人へ伝えましょう。

3-4.ポイント④:預金を引き出した時期が亡くなられた直後か

相続発生後は、原則、預金を引き出すことは控え、速やかに銀行へ届け出て凍結させることになっています。しかし、亡くなられた直後は、葬儀代や医療費の精算等でお金も必要となるため、凍結のことを知らずに亡くなられた方の預金を引き出してしまうことがあります。
相続税を考える際には、亡くなられた方が本来支払うべきだった医療費や葬儀費用に関しては、相続財産 から差し引くことができます。葬儀や医療費の領収書が残っていれば、疑いようのない正当な理由といえますので、領収書など証明できるものを確認しましょう。

3-5.ポイント⑤:預金を引き出した総額がいくらなのか

高額な預金を一度に引き出している、もしくは一定の期間をかけて引き出した預金総額が高額になっているような事実があれば注意が必要です。引き出したお金を同居されていた方などがもらっていれば、生前贈与となりますが亡くなった日から3年以内のものは相続税の対象となります。また、相続税対策として預金を引き出して手元に現金として置いておいたとしても、税務署にバレないようにはできませんので、相続税の対象財産として考えましょう。

4.引き出した預金で相続人がもめないための対策

預金管理を任されていた場合、生前からご兄弟など相続人になる方へ用途を共有しながら引き出していると良いのですが、手間なことと大変なことからご自身が一人で把握して対応してしまうことが多くあります。そうなると生前は何も言われなくても、相続の時にトラブルになるケースがありますので、しっかり対策をしましょう。

4-1.引き出した預金について情報開示をしっかりおこなう

引き出した預金の領収書やメモなどをまとめておき、引き出したお金の正確さを伝えられる準備をします。すべて領収書等を準備する必要はなくもおおよそ亡くなられた方がどんな生活をしていて、どんなものを購入するように言われて購入したかなどをまとめておきましょう。

4-2.特定の相続人だけがもらい過ぎの場合には相続時に配慮する

生前の贈与など同居していたご自身の家族だけ特別に資金援助をしてもらっていた場合など、不公平さから相続の際にもめ事になることも少なくありません。これは「特別受益」と見なされる範囲の場合、遺産を分割する際に特別受益を得た人の相続割合を減らして、不公正さを調整できるという考え方があります。

しかし、特別受益の範囲とされる利益にあたるのか、その金額をいくらと確定できるのか等、なかなか判断が難しく、結論出ないまま月日が経過していってしまうこともあります。相続人同士で話し合いを進めることが難しいと感じたら、早めに専門家に相談されるとよいでしょう。

図3.特別受益の対象とされるもの
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5.さいごに

相続にまつわるお金の問題は、預金者本人がお亡くなりになられているため、真意が見つけづらいものです。正しい運用で預金を引き出して使っていただけでも、他の相続人が怪しく思うケースも稀ではないと思います。

亡くなられた方の意思を尊重した相続が最も大切であり、相続人同士が互いの意思を主張して揉めることは望まれていません。

お金の話は揉めやすいことは誰もが想像できます。引き出した預金について、使用用途や相続での取り扱いをお互いにしっかりと確認して、最善の相続となるように努めましょう。

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