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相続放棄した家はどうなる?管理責任は誰にある?相続放棄前の確認点

「お父さんが亡くなって実家で財産を確認したところ、田舎にある実家だけで預貯金はほぼなさそう。お母さんは数年前に亡くなっているし、実家は古くて田舎にあるから誰も住まないし売却することもできないと思う・・・」

このように相続する財産の大半が田舎にあるご実家だけの場合、ご自身やご兄弟が地元に戻る予定もご実家に住む予定もないことや、そのご実家を売却できる見込みがないことなどの理由が重なると相続放棄を検討されていらっしゃると思います。

ただ、ご自身たちが相続放棄をした場合、ご実家はいったいどうなるのだろうか、という点が最も心配されていらっしゃるポイントかと思います。

本記事では相続放棄をした場合、家がどのように扱われるのか、管理責任を問われることはないのか、相続放棄後にかかる費用などはないか、という疑問について詳しくご説明していきます。

1.相続放棄をしても相続財産管理人が選任されるまで家を管理する

ご実家の土地や建物が相続財産となるにも関わらず相続放棄をする場合、ご実家に誰も住まないうえに相続しても売却できず管理費用や固定資産税の負担が重くなってメリットがないような状況がすでにイメージできているケースかと思います。

つまり相続財産全体を考えるとマイナスになることから、相続放棄を検討されていると思います。

【家があるのに相続放棄を考える主な理由】
・相続財産の大半がご実家でほとんど預貯金がない
・ご実家が田舎のため土地を売却できる見込みがない
・建物が古くて買い手がつきそうにない(資産価値がない)
・建物を取り壊す費用が資産価値を上回ってしまう
・家以外に多額の借金がある

しかし、「相続放棄をしたからこれで実家とは無縁になる」というわけにはいきません。

相続放棄したご実家は国のものになると言われていますが、相続放棄が認められてもすぐには国のものにはなりませんので、相続放棄が認められたとしても手順を踏んでご実家を手放していく必要があります。

具体的には、相続財産を管理してもらう「相続財産管理人」を選任して管理責任を引き継ぐことで手離れします。

注意点としては、相続放棄をしても相続財産管理人に引き継ぐまで相続人に財産を管理する責任が残ることと、相続財産管理人の選任には費用が掛かるということです。

※相続放棄について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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図1:財産を把握して相続放棄すべきか話し合う
財産を把握して相続放棄すべきか話し合う

2.相続放棄をした家が引き継がれていくプロセス

相続放棄をしたあと、ご実家が最終的に国に引き継がれていくまでのプロセスを確認していきましょう。

相続人全員がそれぞれ相続放棄の手続きを終えて受理されたあとは相続財産管理人を選任し、相続財産管理人がまずは売却できないかどうかを試みます。

売却ができれば精算しますが、売却ができない場合には手順を踏んで国の財産へと移行していきます。

図2:相続放棄した家が国庫に引き継がれるまで
相続放棄した家が国庫に引き継がれるまで

2-1.全員が3か月以内に相続放棄の手続きを終える

相続放棄ができる期限は、亡くなられたことを知った日から3ヶ月以内です。

3ヶ月以内という短い間に判断するだけでなく、相続人の全員が個別に家庭裁判所へ申し立てを完了させる必要があります。

相続する財産に思い入れのあるご実家が含まれているとなかなか判断しづらいと思いますが、今回のようにご実家が負の財産となるため相続放棄を検討されている場合には、相続することでいずれ後悔しないように安易な判断は避けた方がよいでしょう。

相続放棄は財産を選択して個別に放棄ができるわけではないので、ご実家を相続放棄する場合にはすべての財産が相続できなくなる点も考慮しましょう。

2-2.全員が相続放棄したら相続財産管理人を選任する

全員の相続放棄が終わったら、次は相続人の代表の方が家庭裁判所に「相続財産管理人の選任申立て」をする必要があります。

全員が相続放棄をして誰も相続人がいなくなった場合には、「利害関係者」や「検察官」が「相続財産管理人の選任申立て」をすることになっていますが、今回のケースのように売却できないご実家があり全体でマイナスになりそうな財産の場合には誰も「相続財産管理人の選任申立て」をしません。

法的には相続人の代表者が「相続財産管理人の選任申立て」をする義務はありませんが、民法には相続放棄をした財産であってもその財産の管理が始まるまでは相続人に管理責任がある。という趣旨の規定があります。

家の管理義務を怠ったことにより近隣住民とトラブルになったときなどは管理責任を問われてしまいますので、「相続財産管理人の選任申立て」をおこない相続財産管理人へ管理を引き継ぐことが最善の方法となります。

一般的には相続財産管理人には地域の弁護士が選任されることが多く、選任されれば不動産を売却できないかどうかなど、いろいろな対応をしてくれます。

2-3.最終的には国のものになる

相続財産管理人は家庭裁判所の許可があれば管理対象の不動産を売却することができます。しかし、今回のように買い手がつかず売却できないような不動産に関しては、売却のために活動をしても結局手元に残る可能性が高くなります。

このような場合には、不動産のまま最終的に国が受け入れることになります。相続財産管理人は、相続財産をすべて国庫に引き継いだときに役割を終えることになります。

以前は、売却できない土地や不動産を国が受け取ったとしても(国も困るだけであることから)受け取りを拒否されることもありましたが、平成29年6月の財務省からの通達により、最終的には国が受け取る方針となっています。

3.家を相続放棄したあと国庫に引き渡すまで費用が発生する

お子さんであるご自身たちが全員相続放棄の手続きを終えると、お父さまのご両親がご健在であれば相続する権利がお父さまのご両親に移ります。その後、ご両親も放棄されるとお父さまのご兄弟へと移っていきます。

お父さまが亡くなられてから最初の3ヶ月はご自身たちお子さんの相続放棄の期間であり、そのあと手続きが終わるとお父さまのご両親の相続放棄の期間も3ヶ月付与されます。

よって、「相続財産管理人の選任申立て」をするまでに9ヶ月の期間を要することもあります。

その間は、相続放棄をしたご自宅の維持費の支払いや維持をするために、ご実家が傷まないような対応をする必要があります。ここでは必要な費用についてご説明します。

※空き家になるリスクとその対応について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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3-1.相続放棄しても家の管理費用がかかる

すでにご説明したとおり、相続放棄しても相続財産管理人が選任されるまでは、相続人に家の管理責任があります。この期間は相続人が、ご実家の維持管理に必要な費用を負担する必要があります。

簡単な修繕費や、庭がある場合には木々が近隣の住宅に迷惑をかけないように手入れをしたり、虫や小動物がご実家に入り込まないように換気や排水管へ水を流すなどの対処をするための費用を負担します。

もし、管理を怠ってご自宅に倒壊などのリスクが発生すると、行政の判断で家の取り壊しがおこなわれる場合もあり、その際には取り壊し費用の負担が発生します。

そうならないためにも、定期的な見守り、修繕等のメンテナンス費用を負担して、維持できるようにしましょう。

3-2.相続財産管理人を選任するときに予納金がかかる

相続財産管理人を担う方は報酬なしでは対応してくれません。相続財産管理人への報酬は、相続財産から支払うこともできますが、相続財産に預貯金が少ない場合には相続財産から報酬を支払うことができない可能性があります。その場合には、相続人の財産から支払うことになります。

相続財産管理人へ支払う報酬のことを予納金といい、予納金はご自身から直接相続財産管理人へ渡すのではなく、家庭裁判所に渡します。相続財産管理人が任務を終えると、家庭裁判所から相続財産管理人へ支払われます。

注意点としては、相続財産管理人を選任してもらうには申立ての後、予納金を納めなければ手続きが進まないことです。その予納金の金額は家庭裁判所が決定しますが、おおよそ数十万円~100万円となります。

3-3.家の管理費用は相続財産から支払ってはいけない

予納金は相続財産から支払うことができる場合には支払ってもよいのですが、ご実家の管理費用に関しては相続財産から支払ってはいけません。

もし、相続財産から支払ってしまうと財産を相続する意思があると判断されて、相続放棄ができなくなってしまう可能性がありますので注意が必要です。

図3:亡くなられた方の財産から家の管理費用を出してはいけない
亡くなられた方の財産から家の管理費用を出してはいけない

※単純承認について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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4.費用を負担しても相続放棄した家に住むことはできない

相続放棄をしたご実家の維持費を負担している間、費用を負担しているからといって相続放棄をした家に住むことはできません。相続放棄が認められると相続人ではなかったことになりますので、亡くなられた方のご自宅に住む権利はありません。

国のものになる前に、少しの間だけでも実家を満喫したいといった気持ちが生まれる可能性がありますが、相続放棄をした以上、維持管理の義務は発生しますがご自身の財産ではないためそれ以上のことは認められません。

相続財産管理人が相続放棄した家を売却するまで、もしくは国に引き継がれるまでに、相続放棄をしてからおおよそ半年~1年くらいとなります。住むことはできませんが、相続放棄をするまでしっかり管理をしましょう。

5.まとめ

相続放棄をした家がどうなるのかご理解いただけましたか?
相続人全員が相続放棄をしたら、相続財産管理人を選任し、相続財産管理人が国庫に引き継ぎます。

相続放棄をした際の注意点としては、相続放棄が認められても家の管理責任は相続財産管理人が選任されるまで残ることと、相続財産管理人の報酬としての予納金を支払わなければなりません。

ご実家が売却できない場合など負の財産となって困るとき以外は、手続きが煩雑となるうえに維持管理や予納金といった費用がかかるため安易に相続放棄をおこなうことを考えない方が良い場合もあります。

家の相続放棄をお考えの方は、相続に強い専門家にご相談されることをおススメします。

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