
除籍謄本とはその戸籍にだれもいなくなったことを証明した戸籍謄本
「除籍謄本とは、そもそもどういうものを指しているのだろうか・・・?」
相続手続きで必要といわれて、改めて考えてみると、除籍謄本がどういうものなのか、よく分からないとお困りではないでしょうか。
相続手続きで必要な除籍謄本をそろえるには、出生のころまでさかのぼったすべての戸籍が必要となります。
すべての戸籍とは、いったいどのように確認すればよいのでしょうか。
本記事では除籍謄本とはどういうものなのか、除籍謄本に関する正しい知識を詳しくご説明いたします。
Contents
1.除籍謄本とは戸籍謄本に記載された方が全員削除となった謄本のこと
除籍謄本とは、戸籍から全員がいなくなったことを証明する戸籍謄本のことです。戸籍謄本が、除籍謄本に変わるには、亡くなられて除籍となる、または結婚や離婚、養子縁組などで転籍することが理由となります。
除籍謄本は、死亡届や、本籍地の移動届を市役所に提出すると作成されます。除籍謄本の作成にかかる所要日数は1週間から10日間です。
しかし、戸籍の中に1人でも残っている場合は、その戸籍は除籍謄本とはいわず、該当者が除籍や転籍となった戸籍謄本といいます。
図1:誰もいなくなった戸籍が除籍謄本
図2:除籍謄本と戸籍謄本の違い
2.相続手続きで必要な除籍謄本は「対象者が除籍となった謄本」
相続手続きで除籍謄本が必要な理由は、「亡くなられた事実を確認するため」と、「相続人となる方を確認するため」です。
その戸籍が除籍謄本である必要はなく、亡くなられた方が除籍された事実が確認でき、相続人との関係性が証明できればよいのです。
たとえば、亡くなられた方と同じ戸籍の奥さまやお子さんがいれば、その戸籍は「亡くなられた方の除籍を証明している戸籍謄本」となります。
図3:<ご夫婦2人>奥さまが戸籍に残る場合「戸籍謄本」
図4:<ご夫婦2人>奥さまもすでに除籍されていた場合「除籍謄本」
3.除籍謄本の見方
最近の除籍謄本は、横書きになっており、ほとんどの市役所ではコンピュータ化されて見やすくなっています。縦書きのものや手書きのものは古い戸籍で、まだコンピュータ化される前のものです。
どのタイプの除籍謄本も、確認するポイントは変わりません。その謄本が「いつからいつまでを証明する戸籍」なのか、入籍、編成、除籍という言葉と日付に注意して「証明期間」を確認していきます。
図5:横書きの除籍謄本(全部事項証明という)
図6:縦書きの除籍謄本
4.除籍謄本と改製原戸籍の違い
戸籍には「戸籍法」という法律があり、改正されたタイミングで戸籍は新しく再編成されています。編成される前の元となった戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。
改製原戸籍も戸籍謄本の一種であり、除籍謄本、戸籍謄本と同じ戸籍を証明する書類です。
改製されることなく、その戸籍に記載されていた全員が消除されると「除籍謄本」といわれ、消除される前に改製されていれば、その戸籍の呼び名は「改製原戸籍」となります。
5.除籍謄本を請求するために役立つ知識
いざ除籍謄本を取得しようとするとき、疑問が生じる点についてご説明いたします。請求する前に知っておくと役立つ知識としてご確認ください。
5-1.除籍謄本を請求できる方と委任状が必要な方
除籍謄本はだれでも請求できるものではなく、請求できる方は決まっています。窓口請求でも、郵送請求でも同じです。
相続人ではない兄弟姉妹の方や、伯叔父母の立場の方が代行する場合、請求できる方からの委任状が必要です。
<除籍謄本を請求できる方>
・亡くなられた方と同じ戸籍に名前の記載がある方
・亡くなられた方の配偶者
・亡くなられた方の直系尊属(父母、祖父母)か直系卑属(子、孫)
図7:委任状なしで除籍謄本の請求ができる方の範囲
5-2.謄本と抄本の違い
謄本が「戸籍にいる全員が記載されるもの」、抄本は「戸籍にいる一部の方だけが記載されたもの」です。相続手続きなどで必要となるのは「謄本」の方です。
5-3.除籍謄本がすでにない場合は廃棄証明が必要
除籍謄本には保存期間があります。
平成22年6月以前は80年間だったため、亡くなられた方の年齢によって除籍謄本はすでに廃棄されてしまっている場合があります。また、戦災や天災などが影響して、焼失している場合もあります。
除籍謄本を請求したときに、すでに証明できる戸籍が存在していない場合には、市役所から「廃棄証明、もしくは焼失証明」が発行されます。
この証明書により、以前の戸籍は存在しないこと、相続人は他にいないことが証明されるので、手続き上は問題ありません。
6.まとめ
除籍謄本とは、正しくは「戸籍に名前のあった方が全員消除された戸籍謄本」のことです。改製される前の、元になった戸籍謄本は、除籍謄本ではなく「改製原戸籍」と呼ばれます。
相続手続きで必要となる戸籍をすべて集めていくと、基本的には「戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍」の3種類を取得することになります。
さらに、本籍地の移動を途中でされていた場合、請求箇所が増え、除籍謄本を取得する枚数も増えるため、すべてが揃えられるまでに時間がかかります。
除籍謄本が必要となる相続手続きは、おもに不動産の相続登記や金融機関の解約手続きなど、また、相続税の申告においても添付が求められます。
除籍謄本には有効期限はありませんので、早めに請求して揃えておくと安心です。