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相続した空き家を売却して3000万円控除を受ける要件と手続き

ご自宅で一人暮らしをしていたお母さんが亡くなられて、自宅を相続したけれど住む予定がなく空き家のままというご状況ではないでしょうか。

「実家を売却したくないけど、誰も住まないなら売るしかない。3000万円の控除は使えるのかなぁ」
「お母さんは老人ホームに入居していたけど、空き家の3000万円の控除は対象なのかなぁ」
このような疑問を持たれていることかと思います。

本記事では空き家の売却に対して利用できる「譲渡所得の特別控除の特例」という、売却した際に3000万円控除できる特例についてご説明します。

2019年4月からスタートした適用条件もありますので、あわせて確認しておきましょう。

※空き家問題について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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1.相続した空き家を売って得た利益は3,000万円まで控除できる

一人暮らしをしていたお母さまが亡くなられて、ご自宅を相続したが空き家になっていることから売却を考えている場合には「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」という特例が利用できます。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」とは、亡くなられた方が住んでいた自宅の土地と建物を相続した方が売却した場合に、一定の要件を満たしていれば譲渡所得(売却して得た利益)から3,000万円を限度に税金の対象とならないように控除することができるというものです。

単純に考えると3,000万円で売却した場合に特例が適用できると、税金の対象となる利益は0円となり、売却して得たお金に対して税金がかからなくなります。

図1:譲渡所得の計算式
譲渡所得の計算式

譲渡所得 :不動産を売却したときの利益
譲渡価額(収入金額) :今回の売却価格
取得費 :不動産を購入し当時の費用
譲渡費用 :今回の売却で生じる諸経費(仲介手数料など)

※譲渡所得の考え方について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2.空き家の特例を利用するための3つの要件

大前提として相続した自宅が空き家である必要があります。

空き家となったご両親のご自宅を売却する場合に、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を適用させるために、3つの適用要件を確認しておきましょう。

適用するためには、3つの要件をすべて満たす必要があります。

2-1.①亡くなられた方が1人で暮らしていた家であること

亡くなられた方が一人暮らしをしていた自宅であることが要件です。ご両親が住んでいてお父さまが亡くなられ、お母さまが相続したようなケースでは利用できません。

また、別荘等のご自宅以外の不動産も利用はできませんのでご注意ください。

もう1点、老人ホームに入所していて、亡くなられる直前はご自宅で一人暮らしでは無かった場合の考え方は4章でご説明します。

2-2.②昭和56年5月31日以前に建築された家であること

昭和56年5月31日以前に建築された家屋で「一戸建て」に限ります。マンションなどの区分所有登記がされた建物には適用できません。

2-3.③相続から売却するまで引き続き空き家であったこと

相続してから売却するまで空き家である必要があります。

空き家になっているからといって、人に貸したり、ご自身がしばらく住んだり、事業用に利用したりすると空き家の特例が利用できません。

また、相続してから売却まで引き続き空き家であったことを公的に証明する必要があります。
①ご自宅のある役所で「被相続人居住用家屋等確認書」を交付申請
②電気、ガスの閉栓証明書や、水道の使用廃止届出書などを準備

②は誰も住んでいなかったことを証明するための書類として利用します。

3.空き家を売却する際の5つの注意点

2章で確認した3つの要件をすべて満たし「空き家状態」だったことが証明できれば「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が利用でき、3,000万円の控除を受けることができます。

ただし、売却にあたっても5つの注意点があります。次の5つの注意点を守って売却することで、確実に特例の対象となります。

図2:相続した空き家を売却するときに特例の適用を受けるイメージ
相続した空き家を売却するときに特例の適用を受けるイメージ

3-1.売却期間の目安は「相続してから3年以内」

最も注意したいポイントは「売却する時期」です。
いつでも売却してもよいわけではなく、相続が発生した日から3年経過した年の12月31日までに売却する必要があります。

また、現時点ではこの特例の適用期間が2023年の12月31日までに売却された不動産に限定されていますので、適用期間内に売却をするという条件があります。

不動産を売却は、タイミングや条件などなかなか思ったようには進みません。期限が過ぎてしまい、想定外の税金を払うことになってしまわぬよう、余裕を持って売却の手続きを進めていきましょう。

【特例の適用期間】
①亡くなられた日(相続発生日)から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること
②特例の適用期限とされる2023年12月31日までの売却であること
③亡くなられた方が老人ホーム等に入所していた場合は2019年4月1日以降の売却であること(4章参照)

図3:「空き家の譲渡所得の特別控除の特例」の適用期間
「空き家の譲渡所得の特別控除の特例」の適用期間

図4:亡くなられた方が老人ホーム等に入所していた場合の特例の適用期間
亡くなられた方が老人ホーム等に入所していた場合の特例の適用期間

3-2.売却代金が1億円以下

売却代金は、家屋(建物)と土地の合計で1億円以下であることが特例の適用要件となります。つまり、高額な物件には適用できません。

また、複数回に分けて売却した場合や、共有名義の相続のままで売却した場合も、その合計金額で判断することになります。

売却代金は、固定資産税の精算額まで含めた金額となります。

3-3.売却する家は更地か耐震基準を満たす

2-2でご説明したとおり対象となる物件は昭和56年5月31日以前に建築された建物が対象となります。

古い建物の場合は現在の耐震基準を満たしていないケースが多く、売却する際に耐震基準を満たすように修繕するまたは更地にして売却するという条件があります。

古い家をわざわざ耐震基準を満たすようにリフォームしても買い手がつかないことが想像できますので、特例を利用するためには更地にして売却するケースの方が現実的な判断です。

また、更地にする場合には、相続人が更地にしてから売却するというルールがあります。

図5:耐震を満たすまたは更地にして売却するイメージ
耐震を満たすまたは更地にして売却

3-4.親子や夫婦など特別な関係の人以外への売却

親子やご夫婦など、特別な関係がある方以外への売却であることも売却の条件となります。

特別な関係がある方とは、具体的に生計を一にする親族、売却されたその建物に同居する予定の親族、内縁関係にある方、特殊な関係のある法人などが含まれます。

3-5.特例の適用は相続人ごとに使える

相続した空き家をお子さん3人の共有名義で相続した場合など、複数の相続人の共有名義となっている空き家を売却する場合には、この特例を相続人一人ずつに適用することができます。

3人のお子さんが空き家となったご実家を共有名義で相続したものを売却した場合、不動産一つに対しての特別控除額はお1人3,000万円であり、3人分で最大9,000万円まで控除が可能ということになります。

図6:共有名義のイメージ
不動産が共有名義のイメージ

4.老人ホームに入居していた場合も適用できる

核家族化が進んだり少子化の影響もあって、長年一人暮らしをされていた方が老後の生活の不安等から老人ホームに入所されるケースが増えています。

以前であればお子さんのご家族と二世帯で暮らされる家族も多かったのですが、近年は減少しています。

お一人で生活をされていた方が老人ホームに入所されると、生前からご自宅が「空き家状態」となります。

2-1でご説明した要件である「亡くなられた方が1人で暮らしていた家であること」を満たすかどうか不安ですよね。以前は認められていなかったのですが、税制改正により適用されることになりました。

4-1.2019年4月以降の売却から適用可能 

以前は亡くなられた方がご自宅に居住されていた場合のみ特例の適用が可能でしたが、老人ホーム等に入所された後に亡くなられるケースが増えているため平成31年度の税制改正により要件が緩和されました。

亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合でも、一定の要件を満たしていれば「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を適用できることになり、3,000万円の控除の対象となりました。

図7:老人ホームに入所しているイメージ
老人ホームに入所しているイメージ

4-2.老人ホーム入所者の特例適用の3つの要件

亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合、特例が適用されるには次の3つの要件を満たす必要があります。

【老人ホーム等入所者の特例適用の3つの要件】
①亡くなられた方が老人ホームに入所する直前に介護保険法に規定する要介護認定等を受け、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた
②亡くなられた方が老人ホーム等に入所した時から相続開始直前まで、その家屋が亡くなられた方の一時滞在、あるいは家財道具の保管場所等として継続使用されていた
③2019年4月1日以降の売却であること

5.「譲渡所得の特別控除の特例」は確定申告が必要

不動産を売却して利益が生じた場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。

譲渡所得を得た方は、通常は「譲渡所得税・住民税」といった税金を納税することになりますので、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行います。

同様に、相続した不動産を売却した場合にも確定申告が必要となり、その際に「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の手続きも同時におこないます。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の手続きは4つのステップで完了させることができます。
①電気、ガスの閉栓証明書や、水道の使用廃止届出書などを準備
②空家の所在地の市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」の交付申請、申請の際①の書類を添付する
③「確認書」の交付を受ける
④売却の翌年に確定申告をおこなう

その他、生前に老人ホームに入居されていた場合には、入所の証明書が必要となります。

図8:特例を受けるための4つのステップ
特例を受けるための4つのステップ

6. その他の特例と併用可否について

不動産を売却した際の税金をできるだけ抑えるため、他の特例を組み合わせて利用できるかどうかは、納税額に大きな影響を与えます。

次の主な3つの特例について、併用の可否についてご説明します。

①小規模宅地等の特例(特定居住用)
②居住用不動産の3,000万円特別控除
③相続税の取得費加算の特例

図9:不動産を売却する際に適用できる譲渡関連の特例
不動産を売却する際に適用できる譲渡関連の特例

6-1.「小規模宅地等の特例」と併用できる

亡くなられた方のご自宅を相続する場合、要件に該当した相続人が相続する場合、土地330㎡までの面積に対して、相続税評価額を80%減額することができる制度です。

亡くなられた方が1人暮らしで配偶者や同居の親族がいないこと、持ち家のない親族(家なき子)が相続することの2つの条件を満たせば併用が可能です。

※小規模宅地等の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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※小規模宅地等の特例の家なき子について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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6-2.「居住用不動産の3,000万円特別控除」と併用できる

マイホーム(居住用不動産)を売却した際に生じた譲渡所得から3,000万円を控除できる特例もあります。

相続したご実家を売却して「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受け、さらに同年にご自身のご自宅を売却する場合、「居住用不動産の3,000万円特別控除」の特例を併用して適用することができます。

ただし、同一年度内に併用して適用を受ける場合の控除の限度額は、2つの特例を合わせて3,000万円となりますのでご注意ください。2つの不動産を売却しても6,000万円にはならないため、売却のタイミングも考えましょう。

6-3.「相続税の取得費加算の特例」とは併用できない

相続税を支払っている場合、相続により取得した土地や建物などを、相続発生の日の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、支払った相続税額のうち一定金額を取得費に加算し、譲渡所得を軽減させることができるという特例があります。

空き家を売却した場合にも取得費加算の特例の対象となりますが、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」と「取得費加算の特例」はいずれかのみの利用となります。納税額が低くなる方の特例を利用しましょう。

※相続税の取得費加算について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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7.まとめ

相続した不動産が空き家状態のまま放置されることを避け、有効活用されるために「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。

不動産を売却した際に、たとえ売却益が生じても3,000万円を限度に税金が発生しない特例です。

亡くなられた方がお一人で住んでいた自宅であること、昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てであること、相続から売却まで空き家のままであることなど、さまざまな要件がありますが、クリアすれば大きな節税となります。

また、亡くなられる直前に老人ホームに入居されていた場合にも適用されるように緩和されました。

相続した財産に対しては、相続税や譲渡所得税といった税金が絡んできます。いずれにしても税金に対して、どの特例を適用するとベストなのか。については、なかなかご自身で正しく判断することは難しいものです。

しかし、適用されるかどうかで、納税額が大幅に変わってしまいます。

税金を軽減できる特例の適用は、自動的に付与されるものではなく、自ら申請や申告を適切にすることでメリットを受けることができます。

様々な特例があることから、相続した財産にかかわる内容については、相続税を専門とする税理士にご相談されることをおススメします。

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