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【遺言の執行とは】遺言を見つけてから相続完了までの6つのSTEP

お父さまが亡くなられたあと、葬儀の準備をしたり遺品の整理をしていると「遺言」が見つかることがあります。では、遺言が見つかった場合に、どのように手続きを取っていけばよいのでしょうか。

遺言は、亡くなられた方の意思が書かれたものであり、この内容を尊重することが大切です。
遺言はまず見つけた段階で遺言の種類によって対応が分かれます。例えば亡くなられた方が自ら手書きで作成された自筆証書遺言であれば、ご自身で勝手に内容を確認するのではなく、裁判所で「検認」という遺言書の偽造や変造が無いか確認してもらう手続きが必要となります。遺言の内容を確認すると、ご自身にとって納得のいく内容が書かれているケースもあれば、自分以外の誰かが多くもらうことや、全くの第三者に財産を譲る内容など、納得がいかない内容が書かれているケースもあります。

 遺言を見つけたら ⇒ 「遺言書は開封しても大丈夫!?遺言を見つけたときの対応のすべて」

本記事では、遺言の内容を円滑に実現していく(遺言の執行)ために必要なことをご説明します。

1.「遺言の執行」とは遺言に書かれた内容を実現すること

一般的にみる遺言は大きく分けて2種類あり、自筆証書遺言と言われる亡くなられた方が自ら手書きで作成された遺言と、公正証書遺言と言われる公証役場で手続きを踏んで作成された遺言があります。いずれの遺言であっても、見つけたら正しい手順で遺言の中身を確認し、亡くなられた方の意思を尊重して手続きをおこない、遺言に書かれた内容を実現してことがとても大切になります。

図1:自筆証書遺言と公正証書遺言のイメージ

 

 

1-1.遺言に書かれている内容は基本的には実現する

相続において最も大切なことは、亡くなられた方の意思を尊重することです。よって、遺言があった場合には亡くなられた方の意思が書かれているものですので、仮に偏りがあったとしてもその遺言の内容に沿って実現していきます。ただし、遺言があった場合でも注意したいのは、遺留分という相続する方が最低限相続できる権利を侵していた場合です。遺留分を侵害している場合に、侵害されている相続人から遺留分減殺請求があると遺留分にあたる財産分を相続できるような対応が必要となります。
 
 遺留分について ⇒「遺言があったら要チェック!遺産相続における遺留分の割合と計算方法」

図2:遺言の内容に沿って実現するイメージ

 

1-2.遺言があっても相続人全員の同意により話し合いで決めても良い

遺言があった場合にも、相続の対象となる方全員(遺族でない第三者へ譲る旨の記載があればその方も)が納得した場合、皆さん(この場合は第三者は入らない)で「遺産分割協議」という話し合いの場を持つことができます。これは遺言が無い時に分割の話し合いをする協議と同じであり、この遺産分割協議で皆さんの合意があれば遺言の内容と違う割合で分割しても構いません。ただし、話し合いで決める場合の注意点としては、協議の成立は全員の合意が絶対条件であり、多数決では成立しないことです。

遺産分割協議について ⇒ 「遺産分割協議とは?「困った」を解決し円満に進めるhow toポイント」

図3:遺産分割協議のイメージ

 

 

2.遺言を執行するための6つのSTEP

遺言に書かれた内容を実現することが遺言の執行ですが、その大まかな流れをご説明します。作成された遺言の種類によって流れが異なることから、一般的によくみる自筆証書遺言と公正証書遺言について、それぞれ説明していきます。
 ① 遺言書の発見
 ② 遺言書の偽造等の有無を確認
 ③ 遺言書を全員に開示
 ④ 遺言執行者の選定 ※任意 (3章)
 ⑤ 手続きに必要な書類の準備 (4章)
 ⑥ 遺言内容の実現      (4章)

2-1.自筆証書遺言を見つけた場合の執行手順

自筆証書遺言(亡くなられた方の手書きの遺言)を発見したら、その遺言の内容等を確認せず家庭裁判所に手続きをして「検認」をしてもらいます。この検認によって亡くなられた方が作成した遺言であること、遺言の内容に偽造等がないかなどを家庭裁判所で相続人や利害関係者の立ち会いのもとでその内容を確認してもらいます。その後は、遺言執行者を決めて(任意)、戸籍謄本など必要書類を集め、遺言の記載内容に沿って実現をしていきます。

図4:自筆証書遺言のイメージ

 

5:自筆証書遺言の執行をするイメージ

検認の手続きについて ⇒ 「ご自身で検認の手続きをする場合の3つのポイント」

2-2.公正証書遺言を見つけた場合の執行手順

公正証書遺言(公証役場で手続きして作成した遺言)を見つけた場合には、遺言の原本は公証役場にあり、自宅に置いてあったものは正本・謄本のいずれかになります。この遺言の内容は手続きを踏んで作成されており、亡くなられた方ご本人の意思で作成された内容であることが証明されます。次に、公正証書遺言の中を確認すると遺言執行者が指定されていることが多いのですが、指定されていない場合には遺言執行者を決めることをおすすめします。そのあと戸籍謄本など必要書類を集め、遺言の記載内容に沿って実現をしていきます。

図6:公正証書遺言のイメージ

 

7:公正証書遺言の執行をするイメージ
 

 

3.遺言の執行をスムーズにするために「遺言執行者」を決めよう

遺言を執行するあたり、相続する財産の保管や引渡し、登記などの様々な手続きが発生します。これらの手続きは煩雑で、相続の対象となる方が役割分担してもなかなかうまくいかないものです。そこで、遺言の記載内容に基づいて遺言を実現してくれる「遺言執行者」を選定することをオススメします。「遺言執行者」を決めると、その方がまとめて相続手続きをおこなうことができ大幅に手間が省けることや、途中で誰かが財産を勝手に自分のものにしないように制限することなど多くのメリットがあります。

3-1.遺言執行者は代理人として遺言の執行に必要なすべての行為を担う

遺言執行者は「すべての相続の対象となる方の代理人となり、遺言を滞りなく執行する」ことが仕事です。遺言執行者を選任した場合には、たとえ相続の対象となる相続人であっても遺言執行者の活動を妨げてはいけないとされており、速やかに遺言の内容を実現することが遺言執行者の義務となります。

3-2.遺言執行者の2つの選任方法

遺言執行者は、基本的には相続の対象となる方であっても、第三者でも誰を選定しても構いません。ただし、以下に該当する方は遺言執行者になれませんので注意しましょう。
 ・未成年者
 ・成年後見人が付いている方(認知症の方など)
 ・破産した方(破産手続き開始の決定を受けた人)

3-2-1.遺言に遺言執行者の指定がある場合はその方がなる

特に遺言が公正役場で作られた公正証書遺言である場合、記載の中で遺言執行者が指定してあることが多いものです。その場合は指定された方が遺言執行者となります。ただし、指定があってもすでにその方が亡くなられていたり、認知症などで執行人としての能力に乏しい場合には、新たに選任をします。

3-2-2.遺言に指定がない場合は家庭裁判所で選任してもらう

遺言執行者の指定がなかったり、指定があっても既にその人が亡くなっているような場合には家庭裁判所で選任してもらいます。相続をする方など利害関係がある方が、亡くなられた方の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てを行います。申立書と以下の添付書類が必要となります。

 ・亡くなられた方の死亡の記載がある戸籍謄本
 ・遺言執行者の候補者の住民票または戸籍附票
 ・遺言書の写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し
 ・利害関係を証明する資料(親族の場合は戸籍謄本等)

3-3. 相続の対象となる方の一人が遺言執行者になる場合のメリット・デメリット

相続の対象となる方の中に時間的・体力的に余裕のある方がいる場合、その方を遺言執行者に選任できます。

メリット 報酬を皆で任意に決められる(同意があれば0円も可)
デメリット 煩雑な作業が多いため選任された方の負担が大きい
他の相続人から進め方について文句を言われて精神的負担が生じる可能性がある
専門家ではないので知識不足により遅延等が発生する可能性がある

3-4.専門家が遺言執行者になる場合のメリット・デメリット

遺言執行者は第三者でも担当できることから、司法書士や弁護士、行政書士といった専門家に依頼するケースも多くあります。ただし専門家を選ぶ際にも、相続に強い専門家を選ぶことをオススメします。

メリット 一部の相続人に負担をかけることがない
専門家のため、手続きをなどスムーズに進めることが可能
複雑な内容であっても、遺言の内容に沿って対応をしてくれる
デメリット 報酬がかかる

専門家の選び方は ⇒ 「相続税の相談は税理士に!手続きの相談で悩んだときの4つのSTEP」

4. 遺言執行者の選任の有無を決めたあとの手続きの流れ

2章でご説明をしたとおり実際に遺言が見つかった場合、最初に必要な対応は「相続人全員に知らせること」であり、遺言があったことを共有します。その後は自筆証書遺言・公正証書遺言のそれぞれの流れで手続きを進めていき、任意で遺言執行者を決めます。その後については、すぐに遺言の内容だけを信じて進めていくのではなく、遺言の内容にヌケモレがないか作成した当時と変化している財産や相続の対象となる方がいないか等をチェックして進めていきます。

4-1.戸籍から正確な相続人を特定

亡くなられた方の戸籍謄本を取得して、そこから出生まで戸籍謄本を遡っていきます。多くの方は1枚の戸籍謄本では済まず、複数枚を揃えることになります。これによって、遺言に書かれている方以外にも相続の対象となる方がいないかどうかを確認します。また、すべての戸籍謄本を集めるにはいくつもの市町村へ連絡する必要があるため時間がかかります。早く着手されることをオススメします。(自筆証書遺言の検認手続をした場合にはすでに取得済み)

4-2.遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害していないかをチェック

公正証書遺言も自筆証書遺言も、相続する財産の内容に大きな差があったり、相続する権利がある方の名前が遺言に掲載されていないなど、遺言の内容が偏っている場合があります。こういった場合に、法律で定められた相続人にはいくら遺言で指定がされていたとしても1-1.でご説明した遺留分(最低限相続できる権利)があるため、この割合を下回った遺言が作成されていた場合には一部の相続人を指名して「遺留分減殺請求」をすることで、その割合は保証されます。ただし、亡くなられた方の兄弟など相続の第三順位にあたる方は、遺留分がありませんので、遺留分についてはしっかり確認しましょう。

4-3.相続財産を再度すべて把握

遺言作成後に増減した財産が無いかなど、あらためて亡くなられた方の相続財産全体を把握します。特に自筆証書遺言を作成した場合には、亡くなられた方の意思だけが記されており、財産がすべて記載されていないケースも多いため注意しましょう。もし、遺言に記載の無い財産がある場合には、1-2.でご紹介した遺産分割協議で遺産の分割方法を決めます。

参考として、現預金・不動産・株式等の財産の他にも自動車・貴金属などの動産、不動産上の権利(抵当権など)、亡くなられた方が受取人の生命保険なども相続財産となります。また自宅の金庫・棚・仏壇など大事なものがありそうな場所や、貸金庫の契約が無いかなども念のために確認しましょう。

4-4.実際の相続の手続き

相続する財産をすべて把握したのち、遺言の内容を執行するにはそれぞれの財産(預貯金、株式、生命保険など)ごとに定められた必要な書類を集めて手続きを踏んでいきます。また、相続財産の額によっては相続税の申告・納税をおこないます。

【手続きの例】
・土地の相続手続き : 遺産相続で土地を相続する場合の遺産分割と名義変更の手順【保存版】
・預金の相続手続き : 預金を相続する場合の注意点と金融機関への相続手続きの全て

4-5.すべての相続人への報告

すべての手続きが完了したらその旨をすべての相続の対象となる方へ報告しましょう。
また、完了時だけでなく随時、状況を報告・説明するとより親切でトラブルを避けることにも繋がります。

5.まとめ

遺言が見つかった場合は、自筆証書遺言と公正証書遺言によって手続きが多少異なるものの、基本的には遺言の内容に沿って執行していくことがお分かりいただけたと思います。また、遺言の執行には財産ごとに書類を集めたり、所定の手続きをおこなったりと調べることが多くあると思いますので、専門家に遺言執行者をお願いしてスムーズに進めていくことをオススメします。

また、遺言を執行するにあたり、家庭裁判所へ手続きすることはとても手間だと思いますので、これからご両親が遺言を作成される場合には、費用は発生しますが公正証書遺言を作成されることをオススメします。その際に、正しい知識を持ってトラブルにならない内容で作成したり、節税対策も考えていくことが残された家族への負担をなくします。ぜひ遺言を作成する時点で税理士など専門家へご相談されることもあわせてオススメします。

みなさまが亡くなられた方の意思を円満に実現できるようお役に立てればと思います。

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