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相続で特別受益が気になったら確認すべき6つのポイント【保存版】

「兄弟の中でひとりだけがお父さんから家の購入資金の援助や生活費の支援を受けているのはズルい」
ご両親が兄弟の一人にだけ特別に援助をしていると、不平等を感じますよね。

ご両親も日ごろの関係性から必ずしも平等に財産を渡すことができるわけではありません。お互いに生前にご両親とどのような関わりがあったのかなど、冷静に振り返って考えることが大切です。お金が絡むと誰もが「立場変われば」となりがちですが、ご兄弟で争うことをご両親は望まれていません。

生前の不平等感を調整するための考え方を「特別受益」といいます。特別受益が認められる場合には、どんな方法で相続手続きを進めれば良いかなど、不安なこともあります。
本記事では特別受益の判断基準から手続きまでご説明していきます。

1.特別受益とは生前にほかの相続人より多くもらった財産への配慮

お父さまが生前に長男が自宅を購入する際に援助した、長女だけ学生時代に海外留学に行ったなど、一般的な贈与だけに関わらず、援助や支援など過去を振り返り不公平感を感じるものについて、相続の際に調整をして公平にしようという考え方です。それらはこれは援助や支援を受けた際には気づかないことかもしれませんが、冷静に考えればご自身が得をしていたことが分かります。それらを配慮して、生涯を通じてご兄弟が平等になるように配慮しましょう。

1:生前に他の相続人より多くもらった財産への配慮

1-1.特別受益は感情的になりやすいので配慮を心がける

特別受益の話題がでた場合、不平等に感じている側が切り出した時にはすでに感情的になっていることが想定できます。一方で、特別受益に該当する支援や援助を受けていた側もなかなか正直に話をしようとしないことが想定できます。

お互いに仲の良い兄弟であったとしても、お金が関わるとトラブルになることが多くなります。お父さまが亡くなられた際に相続では、ご兄弟の仲が悪くなったり、ましてや裁判所が絡むようなことは望まれていないと思いますので、感情的になりやすいことを念頭にお互いに相手の感情に配慮することが大切です。

図2:特別受益の話題は感情的になりやすい

1-2.特別受益は必ずしも生前贈与だけではない

特別受益と生前贈与の違いは何だろうか、と考える場合もありますが、多くの場合では生前贈与は特別受益だと言えます。ただし、特別受益は生前贈与に限らず、学生時代の学費であったり、借金の肩代わりであったり、土地を無償で貸したりと必ずしも贈与だけとは限りません。特別受益の方が意味合いとしては広いと考えられます。2章の判断基準を参考にしてください。

1-3.生前贈与は特別受益として考える

1-2でご説明したとおり、生前贈与は特別受益と考えられます。ご両親と長男のご家族が同居していて、ご両親から長男のご家族へ毎月5万円の生活費の支援をしていた、という場合、この5万円は贈与として取り扱われません。共同生活をするにあたっての費用であったり、必要経費だと認識されます。生前贈与に該当するものであれば、特別受益となります。

3:生前贈与のイメージ

2.特別受益の取り扱いと具体的な判断基準

1章で亡くなられた方が生前に、特定の相続人に対して多く財産を渡した場合に、その財産を「特別受益」ということを説明しました。特別受益については、婚姻・養子縁組のため、また生計の資本として生前に亡くなられた方から贈られた財産、もしくは遺言により受けた遺贈、ご健在のときに「私が亡くなったら財産を渡す」と契約する死因贈与のケースがあります。これらはすべて相続分の前渡しとみなされます。
具体的にどのように取り扱い、どのようなケースが該当するのか、ご説明していきます。

2-1.特別受益をどう扱うかは相続人次第

特別受益という考え方はありますが、法律等で「こうしなければならない」など絶対的なルールはありません。特別受益にあたるような支援や援助があった場合でも、ご兄弟の中でお互いに納得がいけば、通常通り相続財産は平等にわけます。たとえば長男は住宅購入資金を援助してもらったが他の兄弟から「同居して親の面倒をみてくれたから感謝している」というような場合には、特別受益の話題はでないでしょう。
金額面だけではなく、いろいろな状況から不平等かどうか考え、お互いを配慮しましょう。

2-2.特別受益にあたる3つの具体例

特別受益にあたるかあたらないかの判断は、亡くなられた方の生前の経済状況、社会的地位にも左右されますが生前贈与があった場合、ほとんどのケースが特別受益にあたると考えられるでしょう。

(A)婚姻・養子縁組のための贈与
・持参金・支度金
・高額な嫁入り道具

(B)生計の資本としての贈与
・大学以降の学費で医学部進学あるいは留学した学費
・不動産購入の資金
・事業の開業資金
・扶養の範囲を超えた生活費
・現金・預貯金・投資信託・株式・土地や建物(無償使用を含む)など

図4:特別受益の例/ひとりだけ海外留学

5:特別受益の例/住宅購入資金贈与

(C)遺贈・死因贈与
・遺言によって遺贈された財産
・亡くなったら財産を渡すと贈与契約された財産

2-3.特別受益にあたらない3つの例

特別受益とされないケースとしては、小額な贈与や華美ではない一般的な結婚式の費用の支援などがあげられます。その他、生命保険の受取人が指定されていて特定の相続人だけが生命保険をもらうような場合にも特別受益には該当しません。実際には特別受益に関する最終的な判断は、個々により異なると言えます。

(A)華美ではない結婚式の費用
(B)お小遣い程度の小額な金銭
(C)生命保険金の受取り


3.特別受益を考慮する場合の相続分の計算例

特別受益があった場合は、遺産分割協議の際にその分を相続財産に加えて相続分の計算をおこないます。最終的には、特別受益を受けた相続人の相続分から、特別受益の財産分を差し引きます。これを特別受益の持ち戻しといいます。

次の3つの例について、具体的な事例をご説明します。
 事例①:平等に財産を分ける場合
 事例②:生前贈与を加味して長男は相続しない場合
 事例③:話し合いの結果、相続時に平等に分ける場合

3-1.事例①:平等に財産を分ける場合

相続人:長男、次男、長女
相続財産:3000万円
長男:生前に600万円の贈与

相続財産の総額 3,000万円+600万円=3,600万円
※長男の生前贈与の600万円を持ち戻した

一人あたりの相続財産3,600万円÷相続人3人=1,200万円
長男の相続分:1,200万円-600万円=600万円(生前贈与の600万円分を引く)
次男、長女の相続分:1,200万円

図6:長男が特別受益分を差し引いた分を相続

3-2.事例②:生前贈与を加味して長男は相続しない場合

相続人:長男、次男、長女
相続財産:2,000万円
長男:生前に1,300万円の贈与

相続財産の総額 2,000+1,300=3,300
※長男の生前贈与の1,300万円を持ち戻す

一人あたりの相続財産3,300万円÷相続人3人=1,100万円
長男の相続分:1,100万円-1,300万円=-200万円
       つまり相続時はゼロ円/生前贈与分は返さない
次男、長女の相続分:1,000万円

図7:長男は生前贈与があるため相続時は財産を受け継がない

3-3.事例③:話し合いの結果で相続時に平等に分ける場合

相続人:長男、長女、次女
相続財産:3000万円
長男:生前に600万円の贈与(持ち戻し免除)

3,000÷3=1,000

長男、長女、次女ともに1000万円の相続となる

図8:特別受益分を考慮しないで遺産分割

4.特別受益は遺産分割協議の際に配慮する

特別受益は遺産分割協議の際に話をします。ご自身が特別受益を受けていた側であれば、兄弟から特別受益の話題をされなければそのまま遺産分割協議を進めることができます。しかし、ご自身が特別受益を受けていない側であれば強く主張したい気持ちになると思いますので、ぜひ配慮して特別受益を受けた内容についてご兄弟に話をしましょう。

なお、ご兄弟から指摘をされて話し合いで解決ができなければ、家庭裁判所に申立をして調停となり、調停でもまとまらない場合、審判に進むことになります。この場合には弁護士費用も必要となってきます。

図9:特別受益について話し合いがまとまらない時の流れ

4-1.特別受益はどこからか指摘されるものではない

特別受益については、税務署や裁判所から通知がくるものではありませんので、特別受益を受けたご本人が一番わかっていることです。この遺産分割協議の際に話をしなければ、ずっと話題になることも無いかもしれません。ぜひお互いに生前の思い出とともに生前の支援や援助に偏りがないかについても話しましょう。

4-2.話し合いがうまくいかないと家庭裁判所で調停

遺産分割協議を進めていくに際に、特別受益が話題になると話し合いが平行線となって進まないこともあります。しかし、遺産分割協議が終わらないと凍結した口座の解約や不動産の名義変更等もできません。よって、遺産分割協議を進めたいけれど、進められない場合には家庭裁判所へ申し立てをおこないます。調停・審判を経て、最後は事実に基づいて法定相続分で分割することになります。しかし、審判までいくと数年の月日が必要となりますので、心身ともに疲れてしまいます。5章を参考に話し合いで終わる様ようにしましょう。

4-3.特別受益は相続人以外への贈与等には適用されない

お父さまが生前にどこかの団体に寄付していたり、お世話になった方などへ生前贈与をしていた場合、その方に対して特別受益の主張をすることはできません。お父さまが亡くなられる前に、子どもたちでは遠方に住んでいるためお世話ができなかった際にお知り合いの方などが介護等をしてくれた見返りとして贈与をするケースなどもあります。

4-4.特別受益を受けた時期には時効がない

「特別受益を受けたのは学生のころだから、すでに時効では?」など、随分前に受けた援助や支援は相続の際には関係が無いと思われるかもしれませんが、特別受益を考える際には時効はありません。たとえ、30年前に行った海外留学の費用であっても特別受益として考えることができます。ただし法律上の決まりはありませんので、相続人同士でいつの時点からの援助や支援を特別受益として考えるのか、など自由に決めることができます。

4-5.寄与者が特別受益を受けていた場合

亡くなられた方の財産の維持や増加に貢献した相続人に与えられる寄与分という考え方があります。たとえば、長女が仕事を辞めてお父さまの介護に専念したことでお父さまが高額な入院費の支払いを免れた場合、などに寄与者として認められます。お父さまが生前に、長女が介護を引き受けてくれた感謝の気持ちとして高額な現金を渡していた場合、この特別受益は寄与に対する対価と考えることができます。

5.特別受益で思わぬ主張をされて困った場合の対処法

4章でご説明したとおり遺産分割協議は相続人だけの話し合いであるため、納得いかない部分があると協議が進まなくなってしまいます。貰ってないお金について主張されたり、生活費の支援としてもらっていたお金が引き合いに出されたりといろいろなケースが考えられます。こういったときの考え方についてご説明します。

5-1.特別受益の意味を鑑みて正しいことを伝える

特別受益は「相続財産の先渡しの要素がある」というご説明をしました。この意味から、特別受益を受けている場合には、自らがこういった支援や援助をしてもらったということを明確に伝えていただくことが大切です。隠しているとお互いに探り合いになったり、実際に受け取っていないものを疑われたりと良いことはありません。お互いに、何を生前に贈与されたのか、など言える雰囲気を作ることが大切です。

5-2.覚えのない主張をされた場合は証拠を求める

特別受益を受けていないのに「長男は自宅を購入するときに頭金を出してもらった」などの話題が出てきて収拾がつかなくなることもあります。こういった間違った内容については正しい内容を伝えることで誤解を解いていく必要があります。また、できる限りの主張をしている方に証拠を用意してもらいましょう。証拠となるものが用意できなければ特別受益を証明することは難しくなります。また、ご自身もそのような事実がないことを証明するためには、亡くなられた方の通帳の履歴や不動産登記の書類を取り寄せて事実が無いことを証明することも大切です。

【通帳の履歴の確認方法】

現金の場合には、金融機関の預金通帳の送金の記録が証拠として有効的です。
通帳が無い場合でも、亡くなられた方が口座を作っていた金融機関にいき取引明細書の発行を依頼しましょう。過去10年分程度の取引記録の明細書は取得できます。

図10:通帳

【不動産登記の確認方法】

不動産の場合は登記事項証明書が根拠として有効的です。
登記に関する書類は不動産の所在地管轄の法務局で申請をおこない、確認することができます。また、不動産登記の内容について詳しく書かれている登記事項証明書を取得することもできます。

図11:登記事項証明書

6.遺言に特別受益の免除について書かれていたら尊重する

遺言が見つかった場合に、「長男に600万円渡したが、相続財産に加えない」と持ち戻しの免除の意思表示がされている場合があります。同時に「長男は長年同居し、身の回りの世話や介護をしてくれたので感謝の思いを形にしたいからです。家族全員が仲良くお互いに協力暮らしてもらえることを望んでいます。」など遺言の付言事項としてメッセージが遺されていることもあります。

相続は亡くなられた方の意思を尊重することがとても大切です。
遺言に書かれた内容について、最後の思いとして尊重してしましょう。

7.遺留分を計算する場合は10年間の贈与に限定(民法改正)

相続人に対して生前贈与をしている場合、遺留分を考えるときには期間の制限が無く、すべての贈与を持ち戻して考えることになっていました。しかし、今回の改正によって持ち戻す期間が10年間に限定されることになりました。

8.さいごに

特別受益の制度は生涯を通じた亡くなられた方からの支援や援助が不平等となっている事実に対して、平等にできる素晴らしい制度ではありますが、お互いに感情的になり話が進めにくいものでもあります。

また、何年も前の話になると記憶があいまいであったり、証拠を見つけるのが大変だったりと証拠のない感情的な議論だけになりがちです。正しい根拠をもってお互いがお互いを配慮して話し合いで解決できるようにしていきましょう。

もし、相続人の間で話し合いがスムーズにすすまないなどのお困りのときは、相続に強い税理士またはその税理士と一緒に活動をしている弁護士へ相談することをおススメします。

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