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相続税の連帯納付義務とは?他の相続人が納税しない時の3つの対処法

相続税の申告や納税の期限が亡くなられてから10ヶ月のため、少し慌ただしかったが無事に納税が終わり安心したのもつかの間、しばらくして「連帯納付義務のお知らせ」という書面が税務署から届いた場合、とてもびっくりします。

これは「相続人の中に納税期限までに相続税を納めなかった方がいますので、代わりに払ってください」という信じがたいお知らせです。
ご自身は相続税をきちんと納めたのに、財産をもらって納税をしないご両親やご兄弟がいて、その人の相続税を支払うなんて、絶対納得できませんよね。しかし、残念ながら相続税の納税には、連帯責任があります。

この連帯責任を連帯納付義務と言いますが、税務署から「連帯納付義務のお知らせ」が届いてしまったら、まず何をすればよいのでしょうか?通知を拒否して支払わないことはできるのでしょうか?
本記事では、この後の対処法や制度の概要を詳しくご説明します。

1.連帯納付義務の督促状が届いた時の3つの対処法

相続税の納税が必要な場合、全員の納税が期日までに終わっているかどなたかがチェックしているとよいのですが、なかなか確認まではできません。そんな時に「相続税の連帯納付義務のお知らせ」が届いてびっくりすることがあります。未納の相続人の元には督促状が届いていますがルーズな方で忙しさを理由に「相続税の納税をうっかり忘れていた」のであれば良いのですが、「納税できない」「納税したくない」などの場合には困ってしまいます。
連帯納付義務のお知らせが届くと、たった2ヶ月でペナルティが発生しますので早急な対応が必要です。
それぞれの状況に応じた対処法を考えていきましょう。
なお制度の詳しい概要は2章からご説明します。

図1:相続税の連帯納付義務のお知らせ
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1-1.滞納した相続人が支払える場合

一番良いパターンは相続税の未納の方へ督促が届いているにも関わらず「忘れていた」「忙しくて納税できていなかった」など、支払い能力がある場合です。この場合には速やかに納税をするように話をして納税をしていただければ問題はありません。

一方で「納税したくない」というパターンは、説得しても納税しない場合があります。この場合、説得に時間をかけ過ぎてしまうと、2章でご説明するペナルティが発生し、さらに3章でご説明するように財産の差し押さえが発生する可能性があります。連帯納付義務は逃れられないことから、「ペナルティの税金も増えるし、財産の差し押さえがあると後悔することになるので早く納税した方がいい」と伝えて納税する気持ちを持ってもらいましょう。

1-2.滞納した相続人が支払えない場合

相続人の中には、ご両親の自宅を相続するなど相続税の支払いに充てる現金などの財産を相続されない方もいらっしゃいます。その方に貯蓄が無ければ実質相続税の納税をすることができません。確かにある一定額の相続財産を相続していたとしても、自宅だけであれば、売却しない限りは現金が手元に残らず納税が困難となります。また、相続税を加味して分割したはずが、「借金の返済に使ってしまった」「私生活で使ってしまった」など支払いが困難な状況になっていることもあります。

このような場合には、延納を申請してもらったり、自宅等を担保に銀行からローンを借りるなど、相続人が支払う手だてを教えてあげることが大切です。また、他の相続人が連帯保証人として相続税を納めることも一つではありますが、この場合には贈与税とならないように、借入の契約書を作成しておきましょう。

1-3.ご自身が相続放棄をしていた場合

ご自身が「相続放棄」の手続きを取っている場合には、相続税の連帯納付義務は発生しません。ただし、遺産分割協議の中で、「相続分の放棄」としている場合には連帯納付義務が発生します。この「相続分の放棄」は、民法で決められた相続放棄の手続きをしていないため。そのようになります。

2.連帯納付義務とは「他の相続人が滞納した相続税を代わりに支払う義務」

相続税は本来、亡くなられた方の財産の相続した方が、相続財産の金額に合わせて納税をするものです。相続税の申告が必要な方が8%であり、納税ともなるとさらに割合が小さくなり、亡くなられた方の財産が高額であったことがわかります。よって、財産がある方の相続ですので、国も逃れられないように工夫をしています。

亡くなられた方の相続で発生する相続税を確実に納税させるため、連帯納付義務の考え方があります。

図2:相続税を滞納した相続人の連帯納付義務を負うイメージ
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2-1.制度:相続税法で決められた連帯保証人のようなもの

借金の返済には連帯保証人が設定され、借りた本人が返済できない場合には連帯保証人に返済義務がおよびます。同様に、さまざまな理由から相続税の滞納をする方がいるため、相続税を未納の場合には他の相続人が連帯納付義務者として代わりに納税義務を負うことが、法律で定められています。

「引き継いだ財産がある以上、その財産分は相続した相続人が当然相続税を支払うべき」「自分の分はすでに相続税を支払った」と主張したいところではありますが、連帯納付義務は相続財産全体の相続税に対して考えるものであるため、拒否することはできません。また、過去に裁判で国と争われたこともありますが、多くは敗訴となっています。

2-2.通知:税務署から督促状が届いて知ることが多い

図1のような「相続税の連帯納付義務のお知らせ」という用紙が税務署から届いて、相続人の誰かが未納である事実を知ることがほとんどです。まずは未納の方へ督促がいきますが、それでも納税されない場合には他の相続人へこの連帯納付義務のお知らせが届きます。

図3:連帯納付義務のお知らせが届くまでのプロセス
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①相続税が未納の場合、「本来の納税義務者」へ税務署長から督促状が届く
②「本来の納税義務者」に督促状届いて1ヶ月経過しても未納な場合、
 「連帯納付義務者」に対して「完納されていない旨のお知らせ」が届く
③連帯納付義務者の納付が必要な場合には「納付通知書(期限・納税場所)」が届く
 ここで連帯納付義務者として支払い義務が確定する
④納付通知書が届いて2ヶ月経過しても完納されない場合は、連帯納付義務者に対して督促状が届く

2-3.対象:納税した方も含め全員が納税の対象

連帯納付義務は、相続した財産額に関わらず相続人全員が負うことになります。どなたか代表者が肩代わりするものではなく平等に義務を負います。ただし、1-3でご紹介したとおり、相続放棄をした方は連帯納付義務も負いません。

4:相続財産に応じた相続税額
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※相続税の計算について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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図4:連帯納付義務のイメージ
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2-4.納税:連帯納付義務が発生した時点で利子税が付加されている

連帯納付分の相続税を支払う場合、すでに相続税の納税期限を過ぎて支払うことになるので、未納分の相続税には利子税が加算され、その分も支払わなければなりません。割合は、納付基準日(連帯納付義務者に督促状が届いた日)の翌日から2ヶ月を経過する日までは利子税として年2.6%(原則は4.3%)、納付基準日から2ヶ月を経過した日以後は延滞税として年8.9%(原則は14.6%)で計算されます。

※利子税の税率:平成30年1月1日から平成30年12月31日までの期間の割合

図5:利子税と延滞税について
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【事例】

未納の相続税額:325万円
納付基準日より5日後(法定納期限より100日後)に完納

利子税の額の計算式は以下のようになります。

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100円未満の端数を切り捨てるので23,150円の利子税をプラスして支払うことになります。

2-4-1.利子税の支払いも必須

本来納税すべき相続人が支払わない場合には、延滞税として8.9%のペナルティがかかります。以前は、このペナルティがそのまま連帯納付義務を負う方にもかかっていましたが、現在は利子税という滞納に対する利子の支払いだけでよくなりました。ただし、「連帯納付義務のお知らせ」が届くと支払い義務が発生し、お知らせが届いてから2ヶ月以内の支払義となるため、2ヶ月以降はご自身にペナルティがかかるようになりますので、延滞税と同じ税率の負担が追加されていきます。

平成30年1月1日~12月31日
(1)利子税  2.6% 
(2)延滞税  8.9% 

※延滞税について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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2-4-2.延納の制度がない

通常、相続税の支払いは要件を満たせば、延納や物納が認められる場合がありますが、「連帯納付義務のお知らせ」が届いた場合、延納や物納の制度が利用できません。現金一括での支払いとなります。本来の納税すべき相続人であれば延納申請ができますが、連帯納付義務を負った相続人の方はお知らせが届いてから2ヶ月以内に支払いが必要であり、延納も申請できないことからとても大変な状態になります。

2-4-3.納税額は「相続した金額分が上限」

連帯納付義務で負担する納税額は、「相続した金額分が上限」となります。よって、もし相続した財産が200万円の場合に、200万円を超えた支払いの納付はありません。

一方で、相続財産を論理的に考えると3,700万円相続していれば、相続税を支払わない相続人がいたとしても何とかなるのでは、と思いますが、実際には現金を3,700万円相続しているとは限りません。もし、この相続した財産の大半が不動産であった場合には、借金をして相続税の支払いが必要となることもあります。

2-5.連帯納付義務が解除される2つの要件

連帯納付義務が発生した場合でも、その義務が解除される2つのパターンがあります。
(1)申告期限から5年を経過した場合
   → お知らせが5年以内に届いている場合には無効
(2)本来の義務者が延納または納税猶予を受けて認められた場合

※延納について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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※納税猶予の一つ「生産緑地」について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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3.連帯納付義務が発生して放置すると財産の差し押さえも

相続税の連帯納付義務を逃れる方法はありません。
また、相続税の利子税は、納税期限を過ぎてから1日ずつ加算されていきます。相続税を支払ったのにペナルティをなぜ受けなければいけないのか。という気持ちもあると思いますが、忘れてはいけないのが「差し押さえ」です。

この差し押さえについて、本来であれば相続税を未納の相続人が対象となると思いがちですが、財産の差し押さえをする明確なルールが設定されていませんので、差し押さえは税務署の任意となります。よって、相続人の財産をみて差し押さえしやすい現金を保有している方から順に差し押さえが行われる可能性があります。どうしても支払いが難しいと判断した場合は一刻も早く税務署、または専門家に相談されることをおすすめします。

4.さいごに

相続税には、逃れられない連帯納付義務があることをご理解頂けましたでしょうか。

本来、納税義務のある相続人は相続財産を相続したわけですから、その相続した財産を有効活用してしっかりと記事までに納税をすることが大切です。しかし、相続により引き継いだ財産を借金の返済などに充ててしまい、相続税そのものを支払うことができなくなって納税期限が過ぎてしまった・・・など、滞納の事実が明らかになると連帯納付義務の通知が届きます。
ご自身の分はすでに支払ったのだから・・・と、この通知まで放っておくと、督促され、さらにはご自身の財産が差し押さえの処分を受けるという最悪の事態にもなりかねません。

連帯納付義務は利子税も加算されるため、負担は日増しに大きくなってしまいます。「連帯納付義務のお知らせ」が万が一届いてしまったら、できるだけ速やかに対処することをおすすめ致します。

もし、これから遺産分割をされる場合、一番良い方法は相続人全員が相続税の納税ができるように配慮することです。納税しなければ連帯納付義務となるわけですから、最初から調整した方が安心です。

もし、ご家族の中に相続税分の現金を渡すと納税前に使ってしまいそう、などという方で、本記事を遺産分割前に見られている場合には、
 ・相続税の支払いに充当できる現金を分割しておくこと
 ・分割後もこの現金については一時預かりして渡さないこと
など、相続人に現金がなくなることを防ぎ、ご自身の財産が差し押さえされてしまうことのリスクも考えて、相続の手続きを進めていきましょう。

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