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これでわかる!数次相続における遺産分割協議の考え方と相続手続き

「祖父が亡くなったばかりだったのに、立て続けに父まで亡くなってしまった・・・」

ご家族にとって不幸が続くことは何よりも悲しいことですが、先に亡くなられたおじいさまの相続が終わっていない時期に、お父さまが亡くなられた場合、相続のことを考えると不安がよぎります。
「おじいさまの財産を相続する権利はあるのだろうか」
「相続が複雑になってしまったが、どのように進めたらよいのだろうか」

このように相続の手続きが完了するまでの間に、相続人が続けて亡くなられてしまうことを「数次相続」といいますが、立て続けに亡くなられてしまったケースや、10年前に亡くなられた方の相続手続きが終わっていなかったなど、数次相続に該当することは意外に多いものです。
本記事では、この数次相続が起こってしまった場合の手続きについてご説明します。

1.数次相続とは遺産分割協議中に相続人が亡くなること

おじいさまが亡くなられて財産をどのように分けようか話し合っている途中で、相続人であったお父さまが亡くなられてしまうことを「数次相続」といいます。「遺産分割協議が終わっていない時期に相続人が亡くなられた」という点が重要なポイントとなります。
おじいさまより先にお父さまが亡くなられた場合には、この数次相続には該当しません。(7章)

相続税の申告が必要な場合には期限内に対応するために10ヶ月を目安として遺産分割協議を進めますが、おおよそ92%の方は相続税の申告が不要なため、遺産分割協議が長期化しているケースもあります。思わぬところで数次相続の対象となることもあります。

図1:数次相続が発生した場合の遺産分割協議の対象者の変化

2:数次相続が発生した際の相続関係説明図

2.数次相続が発生した場合の相続の大まかな流れ

数次相続が発生すると、お父さまの葬儀や四十九日が終わるまでおじいさまの相続手続き等を延期しようと考えて滞りがちになります。しかし、おじいさまの相続税の申告など期限があるものは、原則、期限が延長されることはありませんので注意が必要です。

また、おじさまの相続に続いてお父さまの相続においても相続税の申告が必要な場合、2つの相続税の申告について同時に進めていくことになります。お父さまは亡くなられても「おじいさまの相続財産を相続する権利」も「相続税を申告する義務」もありますので、ご家族が代行して遺産分割協議や相続手続きを進めていきます。

図3:数次相続が発生したあとの「やるべきこと」のまとめ

3.数次相続における亡くなられた方の権利

数次相続が発生した際、あとから亡くなられたお父さまの権利について
・おじいさまの相続人としての権利はどうなるのか
・亡くなられたことで相続分が減ることはあるのか
などお父さまに不利にならないか不安になります。しかし、すべての権利が変化することなく継続されますのでご安心ください。

3-1.相続する権利はそのまま残る

数次相続が発生した際、あとから亡くなられたお父さまの相続人としての権利は、消滅することはありません。おじいさまが亡くなられた時点ですでに相続人として確定されていますので、あとから変化することはないためです。ただし、相続人が亡くなられている状況では手続きが止まってしまいますので、お父さまの相続人となるご家族が、権利と地位を引き継ぐことで相続を進めていきます。

図4:お父さまの相続人が数次相続で引き継ぐもの

3-2.相続人は一人として考える

数次相続が発生して、お父さまの権利を引き継いだ相続人が3名いたとしても、お父さまの代理という立場のため一人として考えます。よって、おじいさまの遺産分割協議を4名でおこなった場合も、相続人の数は2人のままです。おじいさまが亡くなられた時点ですでに法定相続人は確定していますので、相続人の人数は数次相続によって減ることもなく、増えることもなく、変わりません。

図5:数次相続は地位を継承し法定相続人は変わらない

3-3.相続できる割合も変わらない

法律で定められた相続できる割合のことを法定相続分といいます。3-1で相続する権利はそのまま残ると説明しましたが、この相続できる割合である法定相続分もそのまま引き継がれることになります。お父さまの相続人が複数名の場合でも、法定相続分はお父さまお一人分であり、相続割合が増えることはありません。

6:おじいさまの相続における法定相続人と法定相続分

※法定相続分について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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4.数次相続が発生した場合の遺産分割協議の進め方

数次相続によりおじいさまの遺産分割協議が成立する前に相続であるお父さまが亡くなられてしまい、2つの相続が同時に発生していることになります。おじいさまの遺産分割協議がある程度まとまっている場合や、ほとんど何も決まっていない場合など様々なケースがありますが、途中となってしまった遺産分割協議をどのように進めればよいのかについてご説明します。

4-1. 地位を引き継いだ相続人が遺産分割協議に参加する

あとから亡くなられたお父さまの相続の権利は維持されていますので、お父さまの相続人となるご家族が地位を引継ぎ、代わりにおじいさまの遺産分割協議に参加します。本来の法定相続人ではありませんが、地位を引き継いだ相続人として遺産分割協議に参加することが認められます。

図7:遺産分割協議の途中で数次相続が発生した際の相続人の変化

4-2. 初めから遺産分割協議をやり直すわけではない

遺産分割協議の参加者が変わっても、遺産分割協議を初めからやり直すわけではありません。仮に、ある程度の協議内容が決まっている場合には亡くなられたお父さまの意思だと考えてその内容を尊重します。もちろん、全員の方が同意したのであれば初めから遺産分割協議をやり直すことも問題もありませんが、お互いに数次相続であることを意識して、一方的になったり多数決等で決めたりすることの無いようにしましょう。

8:遺産分割協議での一方的な主張はやめましょう

5.数次相続を含む遺産分割協議書を作成する3つのポイント

おじいさまの相続についての遺産分割協議、お父さまの相続に関する遺産分割協議、この2つの遺産分割協議が終わると、どちらも遺産分割協議書を作成し、話し合いで決まったことを書面にします。法定相続分どおりに分ける場合は財産内容によって必要がないこともありますが、のちに揉めないためにもきちんと遺産分割協議書を作成することをお勧めします。

※遺産分割協議書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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5-1.遺産分割協議書の書き方は基本的には通常の相続と同じ

遺産分割協議書は法的に決められた書式があるわけではありません。数次相続が発生したことによって、財産内容や法定相続人に変更が生じるわけではありませんので、遺産分割協議書は通常と同じものを作成すれば充足します。財産の詳細を具体的に記し「だれがどのくらいの割合で相続するのか」が明確に分かるように書面を整えれば、問題ありません。

5-2.違い①:数次相続が起こった経緯がわかるように追記する

おじいさまの相続における遺産分割協議書には、亡くなられたお父さまが署名・捺印ができませんので、「いつの時点で亡くなられて、その地位を誰が引き継いだのか」その経緯を正しく把握できるように、説明を加える必要があります。そうでなければ本来相続人であったお父さまの署名捺印がないことで遺産分割協議書が正式な書類として取り扱われません。そうなると遺産分割協議書の提出が求められる不動産の名義変更などの手続きができなくなってしまいます。

表1:数次相続の経緯がわかる遺産分割協議書の冒頭文例(事例は図1を参照)

文例1 被相続人〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)の平成30年8月1日死亡による相続について、
その共同相続人全員において協議をした結果、次のとおり相続することに決定した。
なお、相続人のうち〇〇〇〇が平成31年1月1日に死亡したため、相続人兼被相続人
〇〇〇〇の相続人である〇〇〇〇、同〇〇〇〇、同〇〇〇〇と共に協議し、
以下のとおり相続するものとした。
文例2

被相続人  〇〇〇〇
生年月日  昭和○年○月○日
死亡年月日 平成30年8月1日
本  籍  

相続人兼被相続人 〇〇〇〇
生年月日  昭和○〇年○月○日
死亡年月日 平成31年1月1日
本  籍  

被相続人〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)の平成30年8月1日死亡による相続について、
その共同相続人全員において協議をした結果、次のとおり相続することに決定した。

5-3.違い②:地位を引き継いだ相続人が変わりに署名と捺印をする

遺産分割協議書を作成したら、最終段階として相続人全員が署名と実印の押印をする必要があります。しかし、数次相続の場合には、すでに亡くなられたお父さまが署名や実印の押印をすることができません。

この場合、署名の部分は印字もしくは地位を引き継ぐ相続人が代筆とし、実印欄は空欄にします。代わりに地位を引き継いだ相続人全員が署名と実印を押すことで完成します。

図9:数次相続における遺産分割協議書の署名と実印の押印例

6.数次相続の際に相続税の申告が必要な場合の考え方

おじいさまの相続時にお父さまが相続した財産について相続税の申告や納税が必要な場合は、通常の相続と同様に相続税の申告と納税を期限までに行う必要があります。

6-1.地位を引き継いだ相続人が申告納税を代行する

相続税の申告義務があったお父さまが亡くなられた場合、申告書を作成することも納税することもできませんので、その地位を引き継いだ相続人であるご家族のいずれかが代行して申告と納税をします。この申告と納税は、お父さまの代理でおこなうものですので、お父さまがおじいさまから相続した財産についての申告と納税を考えます。

6-2.数次相続となった相続人の分だけ申告期限は延長される

通常の相続税の申告期限は亡くなられた日の翌日から10か月以内とされています。数次相続が発生した場合、その時点で最初に亡くなられたおじいさまの相続開始日からはある程度日数が経過していることが想定されます。

数次相続が発生してもおじいさまの相続における相続税の申告期限の延長は原則ありません。よって、おじいさまの相続人であるおじさまは、おじいさまが亡くなられてから10ヶ月以内に申告が必要となります。ただし、その期限内に亡くなられたお父さまの相続税の申告については、期限の延長が認められます。

注意点としては、お父さまの相続税の申告期限は伸びたとしてもおじさまの期限が伸びないため、結局は遺産分割協議をおじいさまが亡くなられてから10ヶ月以内に終えないと、おじさまがとても困ることになります。

図10:数次相続の場合、同じ相続税申告でも相続人により期限が異なる例

6-3.数次相続でも申告納税が必要となった場合は控除がある

数次相続でおじいさまの財産にも、お父さまの財産にも両方に対して相続税の申告と納税が必要となった場合、同じ財産に対して相続税が短期間で二重に課税されることになります。

相続税には「相次相続控除」といって、亡くなられた方が遡って10年の間に相続税を支払っていた場合、すでに支払った相続税額を限度として今回の相続税を減額することができる制度があります。数次相続で立て続けに相続税の申告を行った場合、この相次相続控除が適用できる可能性が高くなります。

7.間違えやすい数次相続と代襲相続の大きな違い

数次相続と混同されやすいものに「代襲相続」があります。おじいさまとお父さまが亡くなられた場合の相続を考える点は同じですが、二つの大きな違いは亡くなられた順番です。それによって奥さまが財産を引継ぐ対象となるのかどうか、という点が大きく変わってきます。

7-1.数次相続は配偶者を含む地位継承者の相続

数次相続ではお父さまが相続人としての権利が確定した後に亡くなられているので、お父さまが相続の権利を持ったまま亡くなられたことになります。その場合、その権利を相続できるのは奥さまとお子さんとなります。よって数次相続の場合には奥さまがおじいさまの財産を相続できます。

7-2.代襲相続で配偶者が相続することはない

代襲相続は、おじいさまより先にお父さまが亡くなられてしまい、おじいさまの相続時にはお父さまが相続人となりません。この場合、おじいさまが亡くなられた時点で、相続権はその方のお子さんに移ります。よって、代襲相続の場合は、奥さまがおじいさまの相続時に相続人となることはありません。

※代襲相続について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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図11:代襲相続の相続関係説明図の例

12:数次相続と代襲相続の比較(図2、図11の事例参照)

8.さいごに

数次相続とは、遺産分割協議が成立する前に、相続人が亡くなられてしまう相続のことをいいます。

数次相続は、本来のおじさまの財産をお父さまが相続するべきところを、お父さまが亡くなられてしまいお父さまの相続人がそのまま引き継ぐことになる、ということをご理解いただけたと思います。この場合の、地位や権利の継承については明確になっていますが、実際に遺産分割協議を始めてみるとなかなか協議が調わず、揉め事に発展してしまう可能性も少なくありません。お互いに亡くなられた方の意志を尊重して揉め事なく進めていきましょう。

数次相続は、遺産分割協も揉めやすく、遺産分割協議書の作成や相続税の申告も複雑であるため、相続税に強い税理士などの専門家に一度ご相談されることをお勧め致します。

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