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法定相続情報証明制度の概要・手続きと3つのメリット【保存版】

「法定相続情報証明制度」の開始から間もなく2年が経ちます。制度の開始から一定期間が経過し、利用可能な機関や手続きが増えました。

「法定相続情報証明制度」の概要や実際にどんなメリットがあるのか知りたい、または実際に利用したいと思われている方へ、現行の制度の概要や実際の手続きについてご紹介します。

相続手続きが始まると、亡くなられた方(被相続人)と相続する方(相続人)全員の戸籍謄本を集めたり、土地に関する書類を集めたりと、役所や法務局などに足を運び手間暇をかけて多くの書類を集めなければなりません。また、いろいろな手続きで書類の提出が必要で、足りないと再度集めに行かないといけない手間が発生します。

不動産に関しては、このような煩雑な手続きが手間となることから名義変更(相続登記)をせず放置するケースがあり、「法定相続情報証明制度」はその解消を目的とした制度でもあります。

本記事では、この制度をうまく活用することで手間を最小限にして相続手続を行えるよう、新制度の概要や利用方法を分かりやすく解説いたします。

1.「法定相続情報証明制度」を利用するとメリットがある人

2017年に法定相続情報証明制度が開始されましたが、相続する方全員がこの制度を利用する必要があるかというと、そうではありません。メリットがある方と、そうでない方がいらっしゃいますので、まずはどんな方がメリットを受けられるのかをご説明します。

<メリットがある人>
名義変更や解約のお手続きが必要な相続財産が複数ある方。
戸籍謄本一式の原本の提出が求められる相続手続を複数の機関で行わなければならない際に、できるだけ費用を掛けず、かつ、短期間で行えるメリットがある。

<名義変更が必要な財産の一例>
・不動産(土地・家屋)
・預貯金口座
・自動車
・株式
・有価証券

2.「法定相続情報証明制度」とは相続手続きを簡素化できる制度

1章でご説明したように、名義変更や解約のお手続きを複数行う場合には法定相続情報証明制度を利用するとメリットがあります。詳しくは3章でご説明しますが、法定相続情報証明制度は相続のお手続きに必要な戸籍謄本の原本を一式揃えるだけで、複数のお手続きを同時に行える、言わば手続きの簡素化ができる制度です。

3.「法定相続情報証明制度」の5つのメリット

不動産の名義変更には手続きの期限や罰則が無いことから、長期間に渡り名義変更(相続登記)されずに先代名義のままになっていたり、年月の経過とともに相続が繰り返され、所有者不明の状態となって放置されてしまうものもあります。実際には、最後に名義変更(相続登記)がされてから50年以上経過しているものが大都市地域で6.6%、中小都市・中山間地域で26.6%となっています。(法務省の調べ)

そのような事態から不動産の相続手続きを促進することを目的とし、手続きの簡素化を図るため法務省により平成29年5月29日から運用開始となった制度が「法定相続情報証明制度」です。

3-1.①戸籍謄本一式の代わりに1枚提出するだけで良い

この制度を利用すると戸籍謄本に基づいて亡くなられた方と法定相続人に関する情報を一覧図にまとめた「法定相続情報一覧図の写し」が発行され、相続手続きの際に戸籍謄本(原本)一式の代わりにこの「法定相続情報一覧図の写し」を1枚準備するだけで良くなります。相続の際の不動産の名義変更だけでなく、金融機関での預金の払い戻しや名義変更などにも利用できます。

3-2.②金銭的負担が軽減できる

亡くなられた方が複数の金融機関で口座を持っていたり、保険会社と契約をしていたり、不動産を所有していた場合などには、複数の相続手続きを行う必要があります。戸籍謄本は有料であるためたくさん準備をするとお金がかかるため、一式だけ準備して順番に手続きをしていくこともあります。しかし、「法定相続情報証明制度」で発行される「法定相続情報一覧図の写し」は無料であることから何枚準備しても金銭的な負担がかかりません。

3-3.③同時に手続きを行いたいときに時間短縮できる

複数の機関で相続手続きを行う際、戸籍謄本(原本)一式を提出して返却されるのを待ち、返却されたら別の機関へ提出して返却を待つといった形でひと通りの手続きが終わるまでに数カ月もの時間を要することがありました。しかし、戸籍謄本(原本)一式の代わりとなる「法定相続情報一覧図の写し」を必要な枚数分用意しておけば、返却を待つこともなく複数機関の手続きを同時に進めることができ、大幅な時間短縮ができます。

図1:「法定相続情報証明制度」のイメージ

3-4.④相続財産に不動産がない場合も制度の利用ができる

「法定相続情報証明制度」がスタートした主の目的が不動産の名義変更(相続登記)の促進であるとご説明しましたが、相続する財産に不動産がない場合、すなわち相続登記の必要がない場合でも本制度の利用は可能です。具体的には、金融機関の預金口座の解約や車の名義変更等です。

3-5.⑤相続税の申告書への添付書類に利用できる(平成30年4月~)

2017年の制度開始当初は、相続税の申告書への添付書類として利用することはできませんでしたが、平成30年4月より添付書類として利用できるようになりました。
なお、相続税申告書への添付書類として利用する際には注意点があります。5章で確認してください。

4.「法定相続情報証明制度」を利用するための3つの注意点

「法定相続情報証明制度」の手続きの流れを確認する前に、この制度を利用する上で注意していただきたい2つの項目を説明します。

4-1.亡くなられた方と相続人が日本国籍を有していること

「法定相続情報証明制度」の申出を行う際に戸籍謄本等の提出が必要なため、亡くなられた方や相続人が全員日本国籍を有していない場合は、本制度は利用できません。

4-2.発行された「法定相続情報一覧図の写し」だけでは名義変更ができない

「法定相続情報一覧図の写し」は、あくまで戸籍謄本一式の代わりとなるもので、これだけあれば他の書類がすべて不要になるものではありません。手続きを行うための申請書や、遺産の分割内容が記載されている遺産分割協議書などは従来通り必要となります。

4-3.利用は登記所と大手金融機関等から順次拡大中

「法定相続情報証明制度」は開始から間もなく2年となり、全国の登記所(法務局)と大手金融機関をはじめとした各金融機関では制度を利用した相続手続きの運用が開始されています。ただし金融機関での運用は各金融機関の判断に任されているため、利用できるかどうかの事前確認が必要です。

5.「法定相続情報証明制度」を利用するまでの4ステップ

ここまでご説明してきたように、相続時の不動産の登記(相続登記)や金融機関での預金の払い戻しの際に、戸籍謄本一式の代わりに使用できるのが「法定相続情報一覧図の写し」です。
本章では、「法定相続情報一覧図の写し」を受け取るまでの流れをご説明します。ぜひ参考にしてください。

5-1.ステップ① 必要書類(戸籍・除籍謄本など)を集める

被相続人と相続人全員の戸籍謄本を集めます。戸籍謄本を集めるには、まず法定相続人を確認しなければなりません。法定相続人とは、亡くなられた方の財産を相続できる人のことで、主に配偶者や子、親などが対象となります。また、配偶者以外の相続人は、遺産を引き継げる順位が決まっており、順位が上の相続人がいる場合には、下位の方は相続人にはなれません。

※法定相続人について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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図2:法定相続人の順位と範囲のイメージ

法定相続人が確認できたら、次の表を参考にして必要な書類を集めます。必要な書類と取得できる場所は以下の表の通りです。

表1:「法定相続情報証明制度」の申出に必要な書類の一覧

この他にも、必要に応じて用意しなければならない書類がありますので、詳しくは法務省のホームページで確認をしてください。

<法務省ホームページ>
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001224878.pdf

5-2.ステップ②「法定相続情報一覧図」をご自身で作成する

表1の提出書類⑤「法定相続情報一覧図」の作成方法をご説明します。「法定相続情報一覧図」とは、亡くなられた方と相続人の戸籍情報を一枚にまとめたもので、これをもとに登記所は「法定相続情報一覧図の写し」を作成します。

法務省のホームページに、記入用フォーマットと記載例が掲載されていますので、参考にして作成することをおすすめします。法務省のフォーマットを使用せずに作成することも可能ですが、作成の際はA4サイズの白い用紙を使用し、パソコンを使用して入力するか、黒色インク、黒色ボールペンを使い文字は崩さずはっきりと記載するようにしましょう。

<法定相続情報一覧図のフォーマットと記載例>
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

「法定相続情報一覧図」には、以下の項目の記載が必須となります。

・亡くなられた方について : 氏名、生年月日、亡くなられた時の住所、亡くなられた日
・相続人全員について : 氏名、亡くなられた方との続柄、生年月日 
 ※住所は任意。記載しない場合はフォーマットの「住所」を消す。記載する場合は住民票又は戸籍の附票の原本が必要です。こちらは戸除籍謄本とは異なり、原本還付の手続をしないと原本が返却されません。
・その他 : 作成日、作成者の氏名、住所、申出人(または代理人)の記名押印

5-2-1.相続税申告書の添付書類に使う場合は続柄の記載に注意する

平成30年4月より、法定相続情報一覧図の写しを相続税申告書の添付書類として利用できるようになりました。この場合には、続柄の記載方法に注意が必要です。具体的には、戸籍に記載されている続柄を記載する必要があります。

お子さんの場合:長男・長女・養子など
配偶者の場合:妻

図3:相続人が配偶者と子4人の場合の「法定相続情報一覧図」の記載例 
(法務省ホームページより抜粋、改変)

<留意点>

・続柄の記載について、お子さんを「子」、奥様を「配偶者」と記載することもできますが、この場合は相続税申告書の添付資料として利用することはできません。

・相続放棄をした人がいる場合も、法定相続情報一覧図には他の相続人と同様に記載をします。相続する、しないに係らず、亡くなられた方が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係を証明する一覧図を作成するためです。

・法定相続情報一覧図を1枚にまとめることができないケースがあります。例えば、お父さまが亡くなられて、遺産分割協議が調う前にお母さまが亡くなられてしまうなど、相続が立て続けに起きてしまった場合(数次相続)は、亡くなられた方に対して1枚ずつ、すなわち2枚作成する必要があります。

5-3.ステップ③ 登記所へ申出する(相続人または親族、代理人)

書類の準備ができたら、登記所へ申出をします。登記所への申出は、相続人とその親族そして次の資格者代理人が代理人として行うことができます。

5-3-1.代理人が申し出を行う場合は委任状が必要

代理人が申出を行う際は委任状(図4参照)を提出しなければなりません。また親族が行う場合は、委任状に加えて申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本が必要です。

<親族以外の申出可能な資格者代理人>
弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士

図4:委任状の記載例(津地方法務局ホームページより抜粋)

5-3-2.申出書は所定のフォーマットを利用する

次に「法定相続情報証明制度」を登記所に申出を行う際におこなう手続きです。
所定の申出書に必要事項を記入し、収集した戸籍謄本一式と作成した「法定相続情報一覧図」を提出します。登記所に直接出向くか、郵送で行うこともできます。なお、郵送での申出、受け取りを希望される場合は、申出の際に返信用封筒と切手を同封する必要があります。

所定の申出書は法務省のホームページからダウンロードができます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html

図5:申出書のイメージ(法務省ホームページより抜粋)

<「法定相続情報証明制度」の申出が可能な登記所>

・亡くなられた方の本籍地
・亡くなられた方の最後の住所地
・申出人の住所地
・亡くなられた方名義の不動産の所在地

上記の場所を管轄するいずれかの登記所で申出ができます。

5-4.ステップ④「法定相続情報一覧図の写し」を受け取る

登記所へ申出をおこなうと「法定相続情報一覧図の写し」を受け取ることができるようになります。
また、提出した「法定相続情報一覧図」は登記所で保管され、戸籍謄本(原本)一式は返却されます。

なお、登記所で交付を受ける際には一覧図に押印した印鑑が必要です。

5-4-1.再交付は登記所で5年以内が可能

「法定相続情報一覧図」は作成した年の翌年から5年間保管され、その期間内は申出人に限り何度でも「法定相続情報一覧図の写し」の再交付を受けることができます。

相続人に変更や訂正がある場合は、再度申出を行わなければならず戸籍謄本一式をあらためて用意しなければなりません。例えば、相続人となるお子さんが生まれたり、相続人だった方が亡くなられた場合などは最新の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。登記所では法定相続情報の訂正が行えないことにご留意ください。

図6:「法定相続情報一覧図の写し」の例(法務省ホームページより抜粋、改変)

6.まとめ

「法定相続情報証明制度」を利用する際のポイントをまとめます。

【「法定相続情報証明制度」の特徴】
・この制度を利用する場合でも、戸籍謄本の原本は一式、1セットは必ず用意する必要がある
・相続登記や相続税申告、金融機関での相続手続の際に、戸籍謄本(原本)一式の代わりに使用できる
・無料で必要な通数を受け取ることができる

【相続人にとってのメリット】
・戸籍謄本一式を必要とする相続手続を複数の機関で行う際、費用をできるだけ掛けずに、かつできるだけ
短期間で行いたいときにメリットがある
・戸籍謄本一式を必要とする相続手続がひとつの機関のみの場合は、従来の戸籍謄本一式を提出するのと
比較してメリットはない

「法定相続情報証明制度」がご自身にとってメリットのある制度かどうか、お分かりいただけたと思います。メリットがある場合はぜひ活用し、スムーズな相続手続に役立ててください。

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