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相続対策には不動産がよい理由:不動産の4つの価格と相続税との関係

「子供たちのために、そろそろ相続のことを考えておきたいと思っている。相続対策には不動産がよいと聞くが、そんな簡単に不動産で対策などができるのだろうか?子供たちに迷惑をかけないよう、相続税の心配や、遺産相続のトラブルなどは回避しておきたいと思うが、不動産で何ができるのだろうか?」

相続対策として、不動産の活用が効果的であるといわれる理由は、財産を形成する中で不動産の占める割合が比較的大きくなるため、対策をしておけば、得られる効果もその分大きくなるからです。しかし、高い節税効果が見込めることは、それだけリスクも大きくなるといえます。対策をおこなうためには、対策のための知識と慎重な判断が必要であり、確実性が求められます。

相続対策を不動産でおこなう方法はいくつかあります。本記事では、不動産で有効な相続対策をおこなうために知っておきたい知識や、具体的な対策の方法について、初めての方にもご理解いただけるよう、分かりやすくご説明していきたいと思います。

1.相続対策に不動産が有効な理由は「相続税評価額が下がるため」

相続対策をご検討される場合、一番の不安は、相続税がかかるかどうか、という問題だと思います。相続税が課税される場合、ポイントとなることは「相続税評価額の総額(遺産総額)が、相続税がかからないとされる基礎控除額を超えるか、超えないか」ということです。

不動産が相続税対策になるといわれる理由は、課税対象となる不動産の評価額(相続税評価額)が、実際に不動産を売買するときの価格(時価)や、国が示す公示価格などより、低い価格となるからです。例えば、公示価格で5,000万円の不動産は、相続税評価額では2割ほど下がり、4,000万円ほどになります。相続税評価額が下がったからといって、実際の価値まで下がるわけではありません。

5,000万円を現金のまま相続すれば、相続税評価額は5,000万円ですが、5,000万円で不動産を購入する対策をとれば、相続する際の評価額は5,000万円より下がることになります。土地の形状や用途によって、差はありますが、時価よりも23割は低い評価額となります。相続税評価額が低くなれば、その分、課税される相続税を少なくすることができるというわけです。

1:現金のまま相続するより不動産で相続する方が節税効果あり!

2.不動産の評価額の考え方

不動産の評価とは、どのように決まっているのでしょうか。実のところよく知らない不動産の評価額について分かりやすく解説いたします。

2-1.不動産には4つ評価額がある

「一物四価(いちぶつよんか)」という言葉を耳にされたことがあると思います。一物四価とは、土地に関し、その利用目的に応じ、様々な視点から付された価格を4つの指標(価格)で示したものです。

【不動産の4つの価格】

 

①実勢価格:不動産を売買する際に、実際に取り引きが成立した価格のこと。時価ともいう。

②公示価格:価格の動向指標として、国土交通省が毎年示す標準的な価格のこと。

③相続税路線価:相続税の評価をする際に使用する価格のこと。公示価格の8割が目安となる。

④固定資産税評価額:固定資産税を決める際に使用する価格のこと。公示価格の7割が目安となる。

2:不動産の4つの価格

2-2.不動産は「貸す」とさらに評価額が下がる

不動産を相続する際には、土地と建物に分けて、それぞれの相続税評価額を計算します。土地は、その敷地に面した道路に付されている路線価を用いて計算します。(一部、倍率評価を用いるエリアもあります)建物に関しては、固定資産税評価額が、そのまま相続税評価額とみなされます。

3:土地と建物は別々に評価する

相続税の評価では「路線価」を用いることから、相続税評価額については、時価よりも評価が下がることが理解できると思います。また、不動産は、ご自身が住むための自宅としてではなく、第三者の方に貸す「賃貸」にしてしまう方が、さらに相続税評価額を下げることができます

賃貸物件とした場合、その土地は「貸家建付地」となり、評価方法が複雑化します。不動産の借主の権利を保護する考えから、貸主が土地を利用できる権利には、一定の制限が付加されます。そのため、相続の評価をする際は、地域ごとに定められた「借地権割合」、全国一律30%と定められた「借家権割合」、空室を加味する「賃貸割合」を用いて、評価額を更に減額することができるのです。

貸主の制限された権利は、その分評価額を下げて、貸主側にもメリットがあるように考えられているのです。

【事例:不動産を第三者に貸した場合の評価方法】

 

 ・自宅用だった場合の評価額:5,000万円

 ・借地権割合:60% ※エリアによって異なる

 ・借家件割合:30% ※一律

 ・賃貸割合:3部屋中2部屋が賃貸契約中

 

 5,000万円1-借地権割合60借家権割合30賃貸割合2/3)=4,400万円

3.お子さんに不動産を引き継ぐ場合の3つの相続対策

不動産の購入、または、第三者に不動産を貸すことのほかに「できる相続対策」についてまとめてみたいと思います。不動産は、それぞれの状況に応じた「引き継ぎ方」を検討しながら、地道に対策を実践することで、確実な成果に結び付けることができます。お子さんに不動産を引き継ぐという、一般的な相続について考えてみましょう。

3-1.評価減の特例が使える「家なき子」に引き継ぐ

不動産の相続税評価額は、相続税の納税額に大きく影響してきます。相続の際に、「小規模宅地等の特例」という評価減の特例制度を利用すれば、不動産(自宅の土地の場合)の相続税評価額を最大80%(限度面積330㎡)引き下げ、相続税の負担を大幅に軽減することができます。

この特例は、奥さま、もしくは同居されているお子さんが相続する場合に利用することができるのですが、同居されていないお子さんでも適用できる場合があります。それは、「持ち家がないお子さん=家なき子」の要件に合致していることがポイントとなります。

【小規模宅地等の特例を適用できる家なき子の要件】

 

①亡くなられた方の配偶者もすでに亡くなられて(離婚して)いて、他に同居していた親族はいない

②相続開始前3年以内に、自己(相続人)または自己の配偶者、3親等以内の親族、その他特別な関係にある法人が所有する不動産に住んだことがない

③相続開始まで対象の不動産を一度も所有したことがない

④相続開始のときから申告期限まで、その不動産を所有し続けている

⑤日本国籍を有している

上記の要件をすべて満たす必要があります。また、「小規模宅地等の特例」は、賃貸や事業用の不動産に対しても適用することができますが、家なき子の特例の対象は、自宅(居住用の宅地)だけとなります。

4:小規模宅地等の特例を適用できる家なき子の要件

5:小規模宅地等の特例の適用面積と減額率

6:小規模宅地等の特例を利用する

※小規模宅地等の特例について詳しく知りたい方はこちらへ。(当サイト内)
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※家なき子について詳しく知りたい方はこちらへ。(当サイト内)
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3-2.暦年贈与で「持分を分けて」引き継ぐ

贈与税の税率は、相続税の税率より高いといわれますが、不動産の持分を細かく分けて贈与税の負担が重くならない範囲、もしくはかからない範囲内で、少しずつ、持分を贈与(移転)していく方法も対策の1つです。

贈与税は、1年間に取得した財産の合計額から、基礎控除額の110万円を引いて残る金額に対して課税されます小まめに贈与(暦年贈与)することは、手間と時間はかかりますが、相続税の対象となる不動産を事前に引き継いでおくことができるので、相続の際に大きな節税効果を生む可能性があります。

また、持分移転の手続き(登記)には、登録免許税などの移転コストが別途かかりますので、贈与税額と併せてシミュレーションをおこない、相続よりも贈与の方が節税効果は高いのかを見極める必要があります。

3-3.相続時精算課税制度で「贈与税をかけず」に引き継ぐ

不動産のように、ある程度まとまった価値の財産は、相続時精算課税制度を利用すると、一度に贈与することができます。相続時精算課税制度とは、2,500万円までならば、贈与税が非課税となり、2,500万円を超える分については、一律で20%の贈与税がかかります。60歳以上の両親や祖父母から、20歳以上のお子さんやお孫さんに対する贈与で利用できる制度です。

気を付けなければならない点は、贈与が完結していても、いざ相続の際には、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産を相続財産に加算する必要があることです。贈与した時点で贈与税がかからなくても、ほかの相続財産と合わせることで、相続税が課税される可能性があるのです。

加算する価格は、贈与時の時価となるので、今後価格の上昇が見込まれる不動産などを贈与することは、大きな節税効果を生む可能性あります。

※相続時精算課税制度について詳しく知りたい方はこちらへ。(当サイト内)
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4.相続対策を不動産でする場合の注意点

相続対策として効果が高いとされる不動産は、その分リスクもありますので注意が必要です。

4-1.不動産を貸す場合の収益増加

土地の値段が高い都心部ならば、時価と路線価に大きなかい離があり、相続税評価額を大幅に減額できる可能性があります。賃貸ニーズも高いため、安定した収益の確保を期待できるため、家賃収益でかえって現金が増えてしまう恐れがリスクとしてあります。

また、銀行借入をおこなって賃貸マンションを購入するようなケースは、空室で収益が得られない、もしくは金利の上昇で返済額が増えてしまう、などのリスクを想定した上で購入を検討する必要があります。賃貸物件を維持するためには、ランニングコストがかかることも加味して考える必要があります。

4-2.不動産の購入する場合は潤沢な現金が必要

不動産による相続対策は、大きな節税効果が得られますが、その分投資額が大きくなります。つまり、資金力がなければ、対策には不向きといえます。借金をしてでも、不動産を購入することが相続税対策のトレンドといえた時代と現在は市況が違いますので、借り入れをしてまで購入する必要はないといえます。

4-3.不動産を贈与する場合は不公平さへの配慮が必要

相続財産の中に不動産があると、比較的トラブルは起こりやすい状況であるといえます。不動産の評価は変動する上、現金と異なり、分割しにくい財産です。賃貸物件だった場合は、相続した後に収益を生み出す財産であるため、その分の評価を見込むことが難しいという理由もあります。

トラブルを避けるため、生前のうちに贈与するとしても、相対的な分割内容に不平等感が否めなければ、争いの火種は残ってしまいます。トラブルにならないようにするためには、分割内容の公平さに十分注意を払い、遺言書などで分割に関する考え方や思いを明確に伝えられるよう、準備しておくことも大事なことです。

5.まとめ

相続対策を不動産でおこなうことは、すべての方に通用し、見込める効果ではありません。

現金も多く、資金力が安定している状況ならば、不動産を購入したり、賃貸物件として所有することは、相続対策として効果的だといえますが、想定できるリスクを充分考慮しておく必要があります。ご自宅だけの場合は、将来の相続税を見据えて、どなたに、どのタイミングで引き継いでもらうのか、早めに検討しておくことができる対策につながっていきます。

不動産は価値も変動し、評価方法も専門的で難しいものです。不動産の相続対策にご興味をお持ちの場合は、相続専門の税理士に、税金を加味した評価額のシミュレーションなどをご依頼いただけると、対策の必要性などが明確に見えてくると思います。

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