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遺産分割協議書とは分割内容を対外的に証明する書類だが必須ではない

相続となり、口座を解約するために銀行へ行ったり、不動産の名義変更をしようとしたとき、「遺産分割協議書はありますか?」と聞かれて、「作らないと手続きができないのだろうか?」と思われているのではないでしょうか?

また「遺産分割協議書を作ったから署名してほしい」と、ご家族や親族の方から突然言われて、びっくりすることもあるかもしれません。

そもそも“遺産分割協議書”とはどういうもので、何のために作るのでしょうか?

その名から、遺産分割協議書が「亡くなられた方が遺された財産の分け方を話し合ってまとめたもの」だということは、何となくお分かりかと思いますが、具体的なイメージはできないと思います。

「遺産分割協議書とは何?」という相続を初めて経験する方に、本記事ではポイントを分かりやすく解説いたします。

1.遺産分割協議書とは全員が納得した分割内容を対外的にしめす書類

遺産分割協議書とは、相続財産をどのように分割するのか、相続人全員で話し合い、同意した内容を書面にまとめたものです。しかし、法的に作成が義務付けられた書面ではありません。

絶対に必要というわけではないのですが、遺産分割協議書を作成しておけば、相続人全員で同意した内容が未来にわたって明確となり、後々の「言った、言わない」といった相続人間で起こりえるトラブルを回避することができます。遺産分割協議書を作成すると、作成した日ではなく、相続が発生した日にさかのぼって効力が発生します。分割内容に同意したことを証する相続人全員の署名と押印が整っていれば、対外的には有効な書面として扱われます。

遺産分割協議書の効力とは、実は法的な強制力ではありません。法的な効力を増すには、遺産分割協議書を「公正証書」で作成されることをお勧めいたします。

遺産分割協議書を提出する先としては、不動産の名義変更(相続登記)で法務局、預貯金の解約手続きで金融機関などです。書き方に特別な決まりはないので、相続人の方でも作成することはできます。遺産分割協議書があると、相続手続きをスムーズに進めることができます。

図1:遺産分割協議書は全員が合意した分割内容を証明する書類

※遺産分割協議書のひな形について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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※遺産分割協議書の提出先について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2.遺産分割協議書を作成した方がよい3つのケース

遺産分割協議書の作成は必須ではないとお伝えしました。しかし、作成しておく方がよい3つのケースをご説明いたします。該当される場合は作成を検討していただければと思います。

また、作成していても、記載内容を誰かが勝手に決めて、同意だけ求めるやり方は好ましくありません。1人でも同意していない相続人がいれば、その遺産分割協議書は無効です。トラブルの種となることがないよう、遺産分割協議書はきちんと話し合った上で作成しなければなりません。

2-1.遺言書がない

遺言書が残されているときは、亡くなられた方の意思が示される遺言書が最優先となります。遺産分割協議をして、協議書を作成する必要はありません。

遺言書があっても、記載内容に不備がある、または一部の財産についてのみ記載されているような場合は、新たに遺産分割協議書を作成します。また、遺言書とは異なる分割内容に相続人全員が同意した場合、新たに遺産分割協議書を作成して、協議書に基づいて手続きを進めることができます。

2-2.相続人が複数いる

相続人が複数いる場合は、揉め事に発展してしまう可能性が高いため、遺産分割協議書を作成して、全員が同意していることを証明しておく方が安全です。相続人が1人の場合は、もちろん作成する必要はありません。

2-3.法定相続分と異なる割合で分割する

法定相続分とは、法律で定められた相続人が相続できる割合のことです。法定相続分どおりに分割するのであれば、たとえ相続人が複数いても遺産分割協議書を作成する必要はありません。

法定相続分とは異なる割合で、相続財産を分割する場合は、遺産分割協議書を作成しておきましょう。

3.遺産分割協議書はいつまでに作成するべきか?

相続人の数が多い、もしくは遠方に住んでいる相続人がいる場合は、なかなか分割の話し合いが進まず、不安が募ると思います。しかし、遺産分割協議をいつおこなうかは、相続人の自由となります。亡くなられてから、数年経って遺産分割協議をおこなっても何ら問題はなく、協議が整った時点で、相続発生日までさかのぼって効力を有します。遺産分割協議書をいつまでに作成しなければならないという法的な期限はありません。

しかし、相続手続きには、期限のある手続きがありますので、必要な手続きの期限に合わせて、余裕を持って遺産分割協議書を作成しましょう。

図2:期限がある相続手続き

※相続の手続きの期限について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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3-1.遺産分割協議書に有効期限はない

遺産分割協議書には有効期限はありません。不備などなければ、何年経っていても効力は続きます。相続手続きをしないままにしておくと、次の相続が発生してしまい、相続人の権利関係が複雑になってしまう場合があります。トラブルが生じるリスクが高くなりますので、相続手続きは出来るだけ速やかにおこないましょう。

※遺産分割協議書を提出する名義変更について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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3-2.相続税申告が必要な方は申告期限までに作成する

相続税の申告が必要な方もいらっしゃると思います。相続税の申告期限は10ヶ月以内であり、その間に協議を整えて、遺産分割協議書を作成する必要があります。相続税の申告書には、分割内容を明確にしめす書類を添付する必要があり、遺言書がない場合は、遺産分割協議書を添付することになります。

注意点として、税額控除の特例を利用するためには、申告期限内に遺産分割協議が整っていることが条件となり、申告書に遺産分割協議書を添付できなければ、特例を適用することはできません。

図3:相続税申告には遺産分割協議書が必要

※相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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※相続税が0円でも申告が必要な場合について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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※相続税の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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4.遺産分割協議書を作成するまでの3つのステップ

まずは、遺言書の有無を確認しましょう。遺言書はなく、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議をおこなうことになります。遺産分割協議書を作成するまでの流れを3つのステップで確認していきましょう。

4-1.【ステップ1】相続人を確定

相続人を正式に確定させるには、亡くなられた方の出生からご逝去までの繋がった戸籍謄本(除籍)を取得します。亡くなられた方の最後の本籍地から順に遡っていくことで、法律上の相続人を正しく確定することができます。

遡って収集するのは、かなり骨の折れる作業になりますが、確認を怠ると、万が一後から相続する権利がある相続人が判明した場合に、分割協議がすべて無効となり、最初からやり直すことになってしまいます。初めにきちんと確認しておきましょう。

図4:繋がった除籍謄本を集める手順

4-2.【ステップ2】遺産内容を調査・把握

相続人が確定したら、次は相続財産の内容をすべて調査します。まずは、亡くなられた方が大切なものを保管していた場所を確認したり、郵便物などを入念にチェックしていきます。

不動産は固定資産税納税通知書、預貯金は通帳、有価証券は取引明細書などで調べることができます。財産の詳細が明らかになったら「財産目録」として一覧にまとめておくと見やすく、遺産分割協議書を作成する際にとても役立ちます。

図5:財産調査に必要な書類

6:財産目録を作成すると便利

※相続財産の調査と財産目録について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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4-3.【ステップ3】相続人全員で遺産分割協議をして合意する

財産の全容が把握できたら、相続人全員が参加して遺産分割協議をおこないます。全員が同意したら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、財産の分け方以外にも相続に関わる約束事などを記載することができます。

たとえば、今後の祭祀承継に関することや、負債や未払金の払い方などについて、後になって「そんなつもりはなかった」というトラブルが生じないよう、細かく記載を残しておくことが大切です。

図7:遺産分割協議に相続人全員が同意したら遺産分割協議書を作成する

5.相続放棄は遺産分割協議書ではできない

財産を調査したところ負債が見つかることもあるでしょう。遺産分割協議書の中で「借金を相続しない」、もしくは「特定の相続人がすべての借金を相続する」と記載しても債務を免れることはできません。遺産分割協議書はあくまで相続人間の同意をしめす書面であり、債権者に主張することはできません。

借金を相続せず債権者から請求されないためには、家庭裁判所に申立てをして相続放棄の手続きをしなければなりません。相続放棄は相続開始から3ヶ月以内という期限があることに注意が必要です。相続放棄が認められると最初から相続人でなかったものとみなされ、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続できません。遺産分割協議へ参加する必要はないということになります。

図8:借金の相続放棄は家庭裁判所へ申立てが必要

※相続放棄について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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6.まとめ

遺産分割協議書とは、相続人全員が参加してどの財産を誰が引き継ぐのかを明記した書面です。相続人間でトラブルが起こらないようにするため、遺産分割協議が整ったらすぐに作成しておきましょう。 相続税申告や不動産の名義変更、預貯金の解約などの相続手続きの際に提出して、財産を取得する人を対外的に証明する書面となります。

遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。書き方に決まりはなく、専門家でなくても作成することができますが、財産内容や分割の方法などは、漏れなく正確に記載することが求められます。遺産分割協議書の作成に不安がある方は、行政書士などの専門家に一度ご相談されることをおススメいたします。

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