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胎児には相続権がある!胎児がいる場合の相続手続き【保存版】

結婚してお子さんを授かり幸せな家庭を築いていく中で、ある日突然、旦那さまに予期しなかったことが降りかかり、不安な日々を過ごされていないでしょうか。
 「ある日、旦那さまが死を覚悟するような病気になってしまった」
 「ある日、交通事故で旦那さまが亡くなられてしまった」
このようなことに直面されていないでしょうか。

そして、妊娠中に旦那さまが亡くなられた場合、相続はどうなるのかと不安になります。

インターネットや書籍で調べた結果として、旦那さまの財産は「奥さまと旦那さまのご両親で分割」なのか、それとも「奥さまとお腹の中の赤ちゃん、つまり胎児で分割」できるのか。はっきりしません。

今回は胎児の相続権と、相続手続きの手順について分かりやすくご説明しますので、内容を確認して安心して相続を進めていきましょう。

1.胎児にも相続権はある

旦那さまの相続の際に、生まれていない胎児に相続権があるかご不安になると思いますが、胎児には相続権があります。相続の際には民法と相続税法の2つの法律が関わってきますが、相続の権利については民法で決められています。ただし、相続税の申告が必要な時にどう考えればよいかをお悩みの場合には4-2をご参考にしてください。

1:胎児には相続権があるイメージ
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1-1.胎児は相続時に生まれたものとみなして考える

もし、胎児に相続する権利がなかったら、無事に生まれても他の相続人と大きな差が生じてしまいます。具体的にどのような差が生じるかというと、お二人目のお子さんを妊娠している最中に相続が発生した場合を考えてみます。
一人目のお子さんは財産を相続できるが、二人目のお子さんは胎児でありまだ生まれていないので相続できない、となってしまうと、二人目のお子さんは生まれたあとに一人目のお子さんと比較して大きな不利益を受けます。よって、民法では無事に生まれてくることを条件に、胎児にも実質的に相続をする権利があるとしています。

1-2.胎児がいる場合の相続人と相続割合

胎児がいる場合に悩ましいのは、旦那さまが亡くなられた際に、
・胎児を子どもとして考えて奥さまと胎児が1/2ずつ相続をする
・胎児は生まれていないので奥さま1/2、旦那さまのご両親が1/6ずつとする
どちらで考えるべきなのかという点です。
これは、1-1でご説明したとおり胎児は生まれたものとみなすため、奥さまと胎児が1/2ずつ相続すると考えることが正しくなります。

図2:お子さまが胎児だけの場合の考え方
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すでにお子さんが一人いる状況で、お二人目を妊娠している場合についても、二人目のお子さまは生まれた
ものとみなすため、奥さま1/2、胎児を含むお子さま二人がそれぞれ1/4を相続することになります。

図3:胎児が二人目のお子さんの場合の考え方
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1-3.離婚した場合も胎児の相続権はある

胎児の状態で離婚した場合、離婚してから胎児が生まれるまでの間に離婚した旦那さまが不慮の事故等で亡くなられた場合にも、胎児は相続権を持ちます。また、離婚した際に胎児であったお子さんは、離婚した旦那さまの生涯にわたっての相続人となります。

※離婚した場合の相続について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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1-4.胎児にもしものことがあった場合の考え方

ここまで「胎児は生まれたものとみなす」というご説明をしてきましたが、実際に何らかの理由により胎児が生まれなかった場合や、出生の直後に病気等で亡くなられた場合にはどのように考えれば良いでしょうか。このような場合、生きて生まれれば相続権があり、死産の場合には相続権がない、となります。

1-4-1.胎児が死産の場合には相続権がない

何らかの理由で死産となった場合には、そのお子さんは残念ながら相続権を持つことができません。この考え方は民法に「胎児を生まれたものとみなす」という表記に続けて、死産であった場合には適用しないということが書かれています。

1-4-2.胎児が出生直後に亡くなられた場合は相続権がある

胎児を無事に出産したあと、病気等が発覚し数日・数時間しか生を持てないこともあります。そんな場合にも、相続の権利は生きて生まれたので、旦那さまの相続権は生まれたお子さんにあります。

2.胎児がいる場合の相続手続きの進め方

胎児がいる場合には、胎児に不利益が無いのであれば自宅の名義変更や預金口座の解約等の相続手続きもできますが、1章でご説明したとおり、もしものことを考えて生まれるまで手続きを遅らせることが一般的です。ただし、相続税の申告が必要な場合には、考え方が異なりますので、状況に応じてご確認ください。

2-1.相続税の申告が不要であれば手続きを出生まで待つ

相続手続きは、亡くなられた旦那さまの相続財産をどのように分割するか相続人全員で遺産分割協議という話し合いで決定し、その内容に応じて手続きを進めていきます。この遺産分割協議は胎児を含めて検討する必要があり、もし胎児を含めて検討していなかった場合には最初からやり直し、または相当分の財産を胎児が相続できるように相続人の財産から現金を拠出して調整することになります。いずれにしても、相続税の申告がなけれぱ、特に期限はありませんので出生まで相続手続きを待つことをお勧めします。

※遺産分割協議について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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2-2.不動産等の登記を進めたい場合は手続きが可能

胎児が出生する前であっても、胎児を所有者としたり、胎児を含めた共有財産として不動産の名義変更、いわゆる相続登記をおこなうことが可能です。その場合には、生まれていない胎児を「亡何某妻何某胎児」と表記することになります。

2-3.相続税の申告が必要な場合は考え方が違う

相続税の申告が必要な場合、相続税法を基に考えることになります。胎児に関わる民法と相続税法の考え方の違いは、大きくは相続税の非課税枠を考える際の相続人の数と、だれが相続人となるかの2つです。相続税法では、相続税の申告時点で生まれている方のみ対象者として考えることができます。つまり、胎児は民法では相続人と認められるが、相続税法では認められないということになります。実際には、相続税の申告は申告時点の相続人をもとに申告をおこない、生まれたあとに再度申告をやり直します。詳しくは4章でご説明します。

3.胎児が生まれたあとの遺産分割協議における3つの注意点

胎児が無事に生まれると相続人となりますので、お子さんとして遺産分割協議の一員に加わります。遺産分割協議は本来相続人全員で話し合いをするのですが、生まれたばかりの赤ちゃんは話し合いに参加することができません。よって注意する点が3つあります。

3-1.生まれたお子さんには特別代理人を立てる必要がある

生まれたお子さんはご自分の意思を尊重できないため、相続で不利益となる可能性があります。
よって、未成年には「特別代理人の選任」が必要となります。本来、お子さんの代理人は親権者である母親ですが、相続の場合には互いに相続人としての権利があるため「利害関係が生じる立場にある」と見なされ、親の立場では代理人を務めることはできません。よって、お子さんから見て祖父母など今回の相続において利害関係がない方に特別代理人として、遺産分割協議に参加してもらいます。

※特別代理人について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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(参考)特別代人の申請に必要な書類
 ①特別代理人選任申立書
 ②申し立て添付書類
  ・未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  ・親権者または未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  ・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
  ・利益相反に関する資料(遺産分割協議書案や登記簿謄本など)
  ・利害関係を証明する資料

3-2.生まれたお子さんの法定相続分は最低限確保する必要がある

特別代理人に選任された方の役割は、相続において法律で定められた法定相続分以上の財産を確保することです。代理だからと言って他の相続人に権利を譲渡することなどはできません。たとえ生後数か月の赤ちゃんであっても、奥さまとその生後数か月の赤ちゃんが相続人であれば1/2ずつ相続することになります。

※法定相続分について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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4.胎児の出生時期で異なる相続税申告の2つのケース

旦那さまが亡くなられた際に胎児であっても、相続税の申告時には生まれているケースも多くあります。亡くなられてから相続税の申告までは10ヶ月あります。10ヶ月経過時点で生まれていれば申告期限を2ヶ月延長して生まれた赤ちゃんを相続人として計算します。生まれていなければ生まれてから4ヶ月以内に申告をやり直します。

4-1.ケース①:申告期限内に生まれた場合は他の相続人と同様

相続税の申告期限である10ヶ月以内に無事に生まれた場合、「お子さん」として相続人の一人となりますので特別代理人を立てて通常の相続手続きと同様の流れで進めます。胎児の申告期限は特別代理人がその胎児が生まれたことを知った日から10ヶ月以内となります。

4:申告期限内に生まれた場合は、胎児の申告期限が延長される

また、胎児が生まれたものとして相続税を計算した場合に、基礎控除を下回り相続税の申告が不要となるときは、納税地の所轄税務署に申告期限延長の申請書を提出することで、申告期限を最大2ヶ月間延長することができます。

図5:無事に申告期限内に生まれた場合には相続人となるイメージ

4-2.ケース②:申告期限後に生まれた場合はもう一度やり直す

相続税の申告期限後に胎児が生まれた場合、期限内には胎児が生まれていないものとして相続税申告の手続きを済ませていますので、もう一度やり直す必要があります。具体的には、生まれた赤ちゃんを含めた遺産分割協議をあらためておこなうことと、相続税の非課税枠が変わるため相続税の再計算をすることになります。

6:申告期限後に生まれた場合には更正手続きを行う
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4-2-1.相続税の申告は胎児を含まない

2-3でも説明していますが、相続税法では相続税の申告時点で生まれている方だけを相続人として考えるため、あと数日・数週間で生まれくるような状況であっても胎児を含まずに申告し、生まれた後に修正の申告をする必要があります。

4-2-2.相続人が変わる場合は財産分割からやり直し

胎児が生まれたことにより、相続税の申告における相続人が変わると財産分割からやり直しになります。相続人が大きく変動するのは第一子が胎児となる場合です。胎児が第一子の場合、相続税を考える際の相続人は奥さまと旦那さまのご両親となります。胎児が生まれると旦那さまのご両親は相続の権利が無くなり、奥さまの相続する割合も変わってきます。

図7:出生前後で相続人と法定相続分が変わるイメージ
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4-2-3.相続税の非課税枠が変わる

相続税の非課税枠には、「基礎控除」「生命保険」などがあります。それぞれ相続人の人数によって非課税枠が変わってきます。

相続税の申告の対象かどうか判断するための基礎控除は次の式で求めます。
相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円までの財産が非課税です。

図8:相続税の非課税枠
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※基礎控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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生命保険を掛けていた場合には、上記の基礎控除に加えて別の非課税枠があります。

図9:生命保険の非課税枠
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※生命保険の活用について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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その他の非課税枠として、退職金の非課税枠などもあります。

4-2-4.修正申告や更正の請求をする

相続人が増えたり、変わったりすることで相続税の申告時に利用できる特例も大きく変わってきます。結果的に相続税の納税額が増えて追加で納税をする場合には「修正申告」、相続税の納税額が減って返金をしてもらう場合には「更正の請求」をおこないます。

5.さいごに

民法では亡くなられた旦那さまのお子さんであると推定されれば、胎児にも財産を相続する権利が認められます。一方、相続税法では胎児は相続人としては認められず、出生してはじめて相続人となり財産を引継ぐことができます。そのため、相続税の申告が必要な場合には、出生していない胎児を除いて遺産分割協議など相続手続きを進めます。その後、出生したら改めて特別代理人を立てて遺産分割協議を行い相続税申告の修正申告または更正の請求を行います。胎児がいる場合に相続税の申告が必要だととても大変です。

母親にとって出産前後の一番大変な時に、様々な手続きを行わなくてはいけません。生まれてくるお子さんには相続権があることを考慮して遺産分割協議を工夫しておくなど、出生後の手続きがスムーズに進むように検討しておくとよいでしょう。

相続税の手続きが発生する場合には、期限があることと難易度が高いことから、不安な点やご不明な点がありましたら相続を専門にする部隊のある税理士法人など専門家へご相談することをお勧めします。

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