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死亡保険金が相続税の対象となる場合の考え方と非課税枠【まとめ】

お父さまが亡くなられて死亡保険金を受け取られた場合、「保険金だからすべて非課税だろう」と思いながら不安な点もあり調べられていることかと思います。

死亡保険金は相続税の対象であり税金も発生してきますが、亡くなられた方とその死亡保険金の保険料を支払っていた方、その保険の受取人の3つの組み合わせにより、相続税の対象とは限らず、贈与税や所得税の可能性もあります。

相続税の対象である場合には、死亡保険金には非課税枠があります。非課税枠や基礎控除を超えなければ、相続税とは無関係ですが、超えてしまう場合には相続税の計算が必要となります。
また、相続税の対象となった場合には「死亡保険金だけ」で相続税がいくらになるのか、という計算はできませんので、すべての財産価値を評価して、相続税を計算していきます。
本記事では、死亡保険金の相続税における取り扱い方法について詳しく説明していきます。

1.死亡保険金は相続税の対象となる

死亡保険金を受け取った場合、この死亡保険金は亡くなられたことがきっかけでもらえる財産であることから「みなし財産」として扱われ相続税の対象となることが一般的です。一部、相続税以外の取り扱いになる場合がありますが、まずは相続税を例に説明をしていきます。6章で別の税金の考え方を説明します。

※みなし相続財産について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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【死亡保険金の相続税を考えるポイント】
(1)契約が相続税の対象であることを確認する(1章)
(2)死亡保険金の非課税枠内かどうか確認する(2・3章)
(3)(2)超えたが相続税の非課税内か確認する(4章)
(4)(3)を超えた場合は相続税の考え方を確認する(5章)

1-1.契約によっては、所得税・贈与税の可能性がある

保険の商品は種類も多く、契約の仕方や受け取り方法もさまざまです。まずは、保険の契約内容をきちんと確認しましょう。保険契約時にどのように契約をされたかによってどんな税金の対象となるか分かります。

保険契約の確認ポイントは「契約者」「被保険者」「死亡保険金受取人」の3つです。

表1:保険契約者、被保険者、受取人についての説明

被保険者 その保険の対象になる人
保険契約者 保険を契約し、その保険料を支払っている人
=その保険契約の権利を持つ人
受取人 死亡保険金を受取ることができる人

また、上記の組み合わせにより、税金が異なってきます。
(A)亡くなられた方が契約者かつ保険料の支払いをしている、そして相続人の誰かが受取人となる場合に死亡保険金は相続税の対象として考えます。
(B)(A)以外の契約パターンは相続税の対象とはなりません。ただし所得税や贈与税の対象なることが多いためこちらに該当した場合は6章をご確認ください。

表2:それぞれの契約パターン

1-2.年金形式でもらう場合は2年目から所得税がかかる

相続税の対象となる死亡保険金の受取人となった場合、保険金を一括で受け取るか、年金形式によって分割で受け取るかを選択することができます。年金形式で分ける場合には、1年目は相続税、2年目以降は所得税として雑所得の対象となります。年金形式で受け取る際の計算は1年目がとても複雑ですので、専門家にご相談されることをおすすめします。
近年は、収入保障保険、学資保険、個人年金保険など、残されたご家族が安定した生活を送るために年金型保険が増えてきています。

1-3.保険の契約内容の確認方法

保険契約の内容を知るためには保険証券または保険契約証書、契約時に受け取った書類や毎年届く保険内容のお知らせ等でも確認ができます。それらが亡くなられたお父さまのご自宅等で見つからない場合には、加入されている保険会社へ直接問い合わせをおこないます。
問い合わせる際には保険証券番号があるとスムーズですが、多くの場合には保険証券が見つからないことから、問い合わせるための保険証券番号は生命保険料の領収書や生命保険料控除証明書から確認すると良いです。

図1:保険証券のイメージ

2.死亡保険金は非課税枠の範囲内であれば相続税の対象外

死亡保険金は相続税の課税対象ではありますが、生命保険についての独自の非課税枠が使えます。
死亡保険金は、相続税が課税される対象の財産ではありますが、この金額までであれば相続税が課税されないという非課税枠があります。この死亡保険金に対する相続税の非課税枠は、保険金を受け取る相続人の生活保障等を考慮して設けられています。
よって、非課税枠を計算して、非課税枠の範囲内であれば、他の財産がどれだけあったとしても、死亡保険金には相続税がかかりません。

表3:相続税の掛かる契約パターン

2-1.死亡保険金の非課税枠の計算方法

死亡保険金の非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」で計算することができます。
たとえ一人でもらったとしても、計算する際には法律で定められた相続人である法定相続人の人数を掛けた金額が非課税枠となります。

このように死亡保険金が相続税の対象になるかどうかについては、相続人の人数が重要となります。相続をすすめていくにあたり、いずれにしても明確にしなければいけませんので早めに法定相続人を確定しましょう。
相続人の中で相続放棄をした方がいる場合も法定相続人の数に含めて計算することができます。また、養子がいる場合には、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人まで法定相続人に含めることができます。

図2:非課税枠の計算式

※法定相続人について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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2-2.死亡保険金が非課税枠以内となる例

次のような例の場合には、お父さまが亡くなられてお母さまが死亡保険金として生命保険2,000万円を受け取っても非課税となります。

【例】

亡くなられた方:お父さま
死亡保険金:お父さまが死亡保険金に加入し、自ら保険料を支払い
死亡保険料:2,000万円
法定相続人:お母さま、長男・次男・長女の4人

 死亡保険金の非課税枠 = 500万円×4=2,000万円

よって、死亡保険金は全額相続税の対象外となります。

図3:死亡保険金が非課税枠内で収まるケース

3.死亡保険金の非課税枠が使えない4つのケース

相続税の対象となる「保険に加入している方、保険料を払っている方」がともに亡くなられたお父さまであったとしても、全ての死亡保険金に非課税枠が使えるわけではありません。受取人や加入している保険の種類によっては使えない場合もあります。

3-1.受取人が法定相続人以外の場合

死亡保険金の受取人は奥さまやお子さんなど相続人に指定されている場合が多いのですが、お孫さんや第三者など相続人以外の方が受取人に指定されている場合があります。その場合には非課税枠が使えません。受け取った保険金は全額相続税の課税対象となります。

図4:受取人が相続人以外のイメージ

3-2.受取人が相続放棄をした場合

死亡保険金の受取人に指定された方は、相続放棄をした場合でも死亡保険金の受け取りができます。しかし相続放棄をした場合には、死亡保険金の非課税枠を使うことはできませんので、全額を相続税の課税対象として計算します。

図5:保険金の受取人が相続放棄したイメージ

3-3.個人年金の死亡保険金(死亡給付金)の場合

亡くなられた方が個人年金に加入をしていた場合、年金受給前になくなられた場合は死亡給付金として保険金がおります。これらの給付金は受取人が相続したものと考えるため相続税の課税対象となり、非課税枠を利用することができます。また、年金形式で受け取る場合には、すでにご紹介したとおり所得税の課税対象となる場合があります。

図6:個人年金の死亡保険金に非課税枠は使えないイメージ

3-4.家族の死亡保険を解約して解約返戻金をもらった場合

亡くなられたお父さまが奥さまやお子さんの保険契約に対して保険料の支払いをしていた場合、亡くなられたことを機にその保険を解約することがあります。その際に死亡保険金はおりませんが、解約返戻金が受け取れることがあります。この場合、解約返戻金はお父さまが支払った保険料が戻ってきますので、相続財産となります。しかし、亡くなられたお父さまに対する死亡保険金ではないため、非課税枠は使えません。
また、解約せずに契約者を変更し保険を継続する場合にも相続税がかかります。

図7:解約返戻金に非課税枠は使えないイメージ

4.死亡保険金の非課税枠を超えた場合でも基礎控除以下なら相続税の対象外

死亡保険金の非課税枠を利用して、その非課税枠内であれば相続税の対象外であることがお分かりいただけたと思いますが、次に考えることは相続財産の総額が相続税の非課税枠である基礎控除以下であるかどうかの確認です。

死亡保険金の非課税枠を超えた額とその他の財産の額を足して、基礎控除額以内であれば相続税はかかりません。またお墓などの非課税財産や亡くなられた方が抱えていた借金、葬儀費用などがある場合は相続財産の総額から差し引くことができます。これを債務控除と言います。
 
図8:いろいろな財産のイメージ

9:課税される財産の計算式

※基礎控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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4-1.相続税の基礎控除の計算方法

亡くなられた方の財産を相続する場合には、財産の総額から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を控除することができます。これを基礎控除といい、財産総額が基礎控除以下であれば、相続税の対象にはなりません。基礎控除額を計算する際には相続人の人数が重要となります。2-1同様に正しく調べる必要があります。

図10:基礎控除額の計算式

4-2.死亡保険金の非課税枠を超えたが相続税がかからない例

死亡保険金の非課税枠を超えたが、相続財産の相続を確認したところ、相続税の対象では無いケースを確認していきます。

【例】

亡くなられた方:お父さま
死亡保険料:お父さまが死亡保険金に加入し、自ら保険料を支払い
死亡保険金:3,000万円
法定相続人:お母さま、長男・次男・長女の4人
死亡保険金以外の財産:2,000万円

死亡保険金の非課税枠 = 500万円×4=2,000万円
相続税の基礎控除 = 3,000万円+600万円×4=5,400万円 

以上の場合には、

死亡保険金3,000万円-非課税枠2,000万円
 =相続税の対象1,000万円

財産2,000万円+死亡保険金1,000万円-5,400万円
 < 0

よって、死亡保険金は全額相続税の対象外かつ、他の財産も非課税となります。

図11:非課税枠を超えた保険金があっても相続税がかからないイメージ

5.死亡保険金に相続税がかかるケースの考え方

4章の例では、死亡保険金が非課税枠を超えているが、相続税の対象となる相続財産の総額が基礎控除を超えない場合を確認しました。4-2の場合に、死亡保険金以外の財産が4,400万円以上だった場合には、相続税の対象となります。都心の一戸建てに住んでいると亡くなられた方のご自宅の評価額が3,000万円を超えてくることが大半となります。相続税の対象となる場合の考え方についてご説明します。

5-1.死亡保険金があり基礎控除以上の財産がある場合

4章で確認したとおり、死亡保険金の非課税枠を超えた額にその他財産を加えた相続財産の総額から基礎控除額を引いて残った金額には相続税がかかります。

12:相続税の課税対象の計算式

13:非課税枠を超えた保険金が相続税の対象となるイメージ

5-2.相続税が発生する場合の死亡保険金の非課税枠の取り扱い方

1章で死亡保険金は受取人が指定されていることが多いという説明をしましたが、指定されている場合は一人が受け取り、指定されていない場合には相続人全員による遺産分割協議の中で他の財産と同様にどのように分割するか話し合いをします。

5-2-1.受取人が指定されている場合の考え方

受取人が指定されていて、亡くなられたお父さまの死亡保険金をすべてお母さまが相続される場合、お子さんが3人いる場合には相続人が計4人になります。この場合、2-1で説明したとおり500万円×4人で2,000万円の非課税枠があります。たとえ一人ですべての死亡保険金を受け取った場合でも、この2,000万円の非課税枠が利用できます。

死亡保険金をもらった相続人の数ではありませんので、注意しましょう。

5-2-2.受取人が複数になる場合の考え方

保険金の受取人が1人ではなく複数の相続人に指定されている場合や、受取人が指定されておらず法定相続人全員で相続する場合もあります。また、複数の死亡保険金に加入していて、それぞれの保険ごとに受取人が指定されている場合もあります。このような場合には死亡保険金の非課税枠は受取人全員で分割して利用することになります。非課税枠は、一人500万円ではなく、それぞれの相続人が受け取った死亡保険金の金額に応じて分けます。

14:保険金の受取が複数いるイメージ

【例】

亡くなられた方:お父さま
死亡保険料:お父さまが死亡保険金に加入し、自ら保険料を支払い
死亡保険金:3,000万円
法定相続人:お母さま、長男・次男・長女の4人
保険金の受取:お母さま、長男・長女の3人
死亡保険金以外の財産:5,000万円

死亡保険金の非課税枠 = 500万円×4=2,000万円

この場合は、相続税の対象となります。

3,000万円の死亡保険金は
 お母さま:1,500万円
 長男・長女:750万円ずつ

お母さまの非課税枠
 2,000万円×(1,500万円/3,000万円)=1,000万円

長男・長女の非課税枠
 2,000万円×(750万円/3,000万円)=500万円

図15:複数の受取人がいるイメージ

 

4:死亡保険金の受け取り額と非課税枠

5-3.基礎控除を超えた場合は必ず申告をしましょう

基礎控除を超えた場合は相続税の申告書の提出が必須となります。相続税の納税については配偶者控除や小規模宅地等の特例など特例等を利用することで必要ない場合もあります。これらは相続税の計算をして決定します。その後、税務署へ申告書を提出し、納税の手続きを進めていきましょう。申告と納税の期限は亡くなられた日から10ヶ月以内ですので、必ず期限内に手続きをしましょう。
基礎控除を超えない場合は申告書の提出は不要となり、何もしなくて大丈夫です。

相続税の申告については、89%の方が税理士へ依頼して申告をしています。間違った申告をすると後にペナルティが発生する場合もありますので、相続を専門とする税理士へ相談されることをお勧めします。

※相続税の計算方法について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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※配偶者控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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※小規模宅地等の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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※相続専門の税理士の選び方について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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6.死亡保険金が所得税や贈与税の対象の場合の考え方

死亡保険金の受け取りには、契約の仕方によっては、相続税以外の税金がかかる場合があります。また保険金を一括で受け取る場合と年金形式で受け取る場合など、受け取り方によってかかる税金が異なりますので注意が必要です。死亡保険金について、相続税の対象ではない場合についてご説明します。

6-1.所得税が課税される場合

1-1のとおり、保険契約者と受取人が同一人物の場合は所得税の対象となります。
お父さまが生命保険に加入して、お母さまが保険料の支払いをしてご自身を受取人にしている場合が該当します。受け取り方法によって一時金として受け取った場合は一時所得、年金形式の場合は雑所得となります。

(保険金額-払込保険料総額-50万円)×1/2=所得税の課税対象額

表5:死亡保険金に所得税がかかるケース

※一般的にはお母さまの保険料をお父さまが支払い、受取人となるケースが多い

6-2.贈与税が課税される場合

1-1のとおり、保険契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違う場合は贈与税の対象となります。
お父さまが生命保険に加入して、お母さまが保険料支払いをして、お父さまが亡くなられた際の受取人がお子さんとなるような場合です。こちらも年金形式で受け取ると所得税の対象となります。

(死亡保険金)-110万(基礎控除額)=贈与税の課税対象額

表6:死亡保険金に贈与税がかかるケース

7.さいごに

死亡保険金に掛かる相続税について詳しく説明していきましたが、実際に相続税がかかるかどうかを判断するにはいろいろな観点での確認が必要なことがお分かりいただけたと思います。

死亡保険金の相続税には非課税枠がありますので、この非課税枠がとても有効的に活用できます。
今回、相続が発生して死亡保険金の非課税枠を知り、今後のご家族で活用したいと思われた方も、生前にこの記事を読まれて死亡保険金の非課税枠を活用した相続対策がしたいと思われた方も、ぜひ最大限メリットのある活用をするために、相続税を専門とする税理士へ保険活用の相談をしましょう。

※生命保険を使った節税対策について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

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