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自筆証書遺言の改正!保管制度の創設で安全性と利便性が格段に向上

「自筆証書遺言書は、すべてを直筆で、正確に書くのは、かなり大変そうだ・・・。自宅で保管するのも不安に思っていたが、最近、法律が改正されて、自筆証書遺言書でも保管してもらえるようになり、そして、もっと気軽に作成できる方式に変わったらしい・・・。」

 自筆証書遺言書は、費用もかからず、遺言者ご本人だけでいつでも作成できるというメリットがある反面で、全文を直筆で正確に書かなければならない、さらに自宅で保管すると紛失したり、偽造される恐れがあるというデメリットがありました。

 しかし、2018年の民法大改正において、遺言制度のルールが変更されることが決まり、ついに2020年7月10日から、新たに法務局による遺言書の保管制度が開始されます。

 本記事では、遺言制度のルールが変更されたポイントを詳しくご説明していきます。

1.自筆証書遺言をする場合の大きな2つの改正点と施行日

自筆証書遺言をするときのルールが、以下のように2段階で改正されることになりました。

【遺言制度の2つの改正ポイント】

改正① 自筆証書遺言の方式が緩和される:2019113日施行
改正② 自筆証書遺言書の法務局での保管を希望することができる:2020710日施行

自筆証書遺言書は、今まで、財産の内容を特定できるように正確に、遺言者の方がすべて手書きで書かなければなりませんでした。しかし、方式の緩和によって、2019113日以降に作成する自筆証書遺言書の「財産目録」については、パソコンで作成することが可能となり、遺言書の本文に財産を正確に書かなくても、この財産目録を引用した書き方でよいことになりました。

※財産目録について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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1:財産目録をパソコンで作成し自筆する部分を少なくする

 作成した遺言書は、これまで通りご自宅などで保管しても構いませんが、新しく創設された保管制度を利用すれば、法務局へ預けて、そのままずっと保管してもらうことができるようになりました。この保管制度の利用は予約制であり、受付開始は202071日からとなっています。予約は、法務局の専用ホームページ、電話、窓口の3つの方法があります。

この2つの改正点について、さらに詳しく確認していきましょう。

2.【改正①】添付する財産目録は手書きでなくてよい

財産目録をすべて手書きすることによる誤記や、遺言内容を変更したいときの書き直し作業は、特に高齢となった遺言者の方にとって、かなり負担に感じることでした。今回の改正では、自筆証書遺言書の方式が一部ですが緩和され、利便性が向上し、利用しやすくなっています。

自筆証書遺言書に添付する財産目録がパソコンで作成できるようになったことに加え、遺言者以外の方が代筆することも可能となりました。また、不動産であれば登記事項証明書(登記簿謄本のこと)や、預貯金通帳のコピーを目録として添付することができるようになりました。

 図2:緩和された3つのこと

 

 図3:自筆証書遺言書とパソコンで作成した財産目録

 

 図4:自筆証書遺言書に登記事項証明書や預貯金通帳のコピーを添付

 

2-1.今まで通り「遺言書本文」は手書きしなくてはならない

添付する文書に関しては緩和されましたが、遺言書の本文は、今まで通り遺言者ご自身がすべて手書きしなくてはなりません。作成した日付を記載、そして必ず自署して、その横には遺言者の方の印鑑を押すことに変更はありません。また、訂正や加筆の方法なども今までと同じです。

※自筆証書遺言の書き方にについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2-2.添付する財産目録のすべてのページに署名捺印が必要

パソコンで作成した財産目録については、作成したすべてのページに署名捺印が必要となります。また、財産目録を変更する場合は、別紙として添付していた財産目録を削除して、修正した新しい財産目録を添付し直すことができます。この場合もすべてのページに署名押印が必要です。

5:財産目録のすべてのページに署名捺印が必要

3.【改正②】自筆証書遺言書を法務局で保管できる

2020年710日より、自筆証書遺言書を法務局で保管する制度が始まりました。自筆証書遺言書の原本、及び画像データにしたものが保管されることになります。遺言者の方は、法務局に閲覧の請求をすることで、遺言書の内容をいつでも確認することができます。画像データであれば、全国の法務局で閲覧が可能です。

相続が発生するまでは、遺言者以外の方は、閲覧を請求することができませんので、遺言書の内容を秘密にしておきたいという方も安心して利用していただくことができます。

3-1.遺言書の様式に不備がないかチェックしてくれる

法務局で保管する際には、自筆証書遺言書の形式的な法律上の要件(遺言書全文、作成日付、署名が手書きされているか、捺印がされているか)を確認してもらえます。中身を確認してもらうため、自筆証書遺言書の封はしないまま、法務局にお持ちください。

法務局は、形式的な確認をおこないますが、これは遺言書の内容に効力があるかなどの確認ではなく、相談なども受けてはいませんので、その点はご理解の上、ご利用ください。

3-2.保管制度を利用していれば検認が不要となる

法務局で保管されている自筆証書遺言書は、相続発生後に家庭裁判所でおこなう検認手続きが不要となります。ご自宅などで保管されていた自筆証書遺言書は、これまで通り、開封する前に管轄の家庭裁判所に検認の申立てをおこなう必要があります。検認しなければ自筆証書遺言書の効力は発生しないと定められていることに変わりはありません。

通常、検認の手続きには1ヶ月程度の時間を要し、検認を受けたという承認をもらうまでは、相続の手続きを進めることができません。法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言書は、相続発生とともに、すぐに相続の手続きを始めることができるので、検認の手間と要する時間から考えても、便利な制度といえます。

3-3.改ざん・隠ぺいのリスクを避けられる

自筆証書遺言書をご自宅に保管していると、勝手に開封されてしまう恐れがあります。都合の悪い遺言書の内容であれば、書き換えられたり、隠ぺいや破棄されてしまう恐れもあるでしょう。その点、法務局に預けて保管してもらえば、そのような心配は一切なくなります。

3-4.紛失や発見してもらえない心配がなくなる 

自筆証書遺言書をご自宅で保管する場合、時間の経過とともに、遺言者ご本人が保管した場所を忘れてしまったり、書類に紛れて紛失してしまう可能性があります。また、ご家族の方などに、生前のうちに自筆証書遺言書を保管した場所を伝えておかなければ、相続発生後に自筆証書遺言書の存在に気付かないまま、手続きを進めてしまう可能性があります。

保管制度をご利用される場合も、ご家族の方には、法務局で保管していることを必ず伝えておきましょう。ご自宅のように遺言書を紛失してしまう心配は一切なく、いざ相続となったときには、お家族の方もスムーズに遺言書に沿った手続きを進めることができます。

4.自筆証書遺言書の保管制度を利用する際の4つの注意点

自筆証書遺言書の保管制度を利用する場所は、遺言者の方の住所地、または本籍地、もしくは遺言者の方が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局から選ぶことができます。遺言書保管の申請、遺言書の閲覧請求など、すべての手続きについて事前予約が必要となります。

【遺言書の保管申請をする法務局】

①遺言者の住所地を管轄する法務局
②遺言者の本籍地を管轄する法務局
③遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する法務局

4-1.保管制度は遺言者本人が法務局で手続きしなくてはならない

自筆証書遺言書の保管の申請は必ず遺言者ご本人が手続きしなくてはなりません。郵送での申請はできません。遺言者の方がご病気などのやむを得ない理由があっても、ご家族や専門家などの代理人がご本人に代わって保管制度の利用申請をすることは認められていません。

4-2.自筆証書遺言書1通につき保管手数料は3,900

自筆証書遺言書の保管を申請する際には、遺言書1通につき手数料3,900円がかかります。申請するときに1度だけ納めればよく、保管する年数に応じて増えることはありません。

保管されている遺言書の原本を閲覧するには、1回につき1,700円がかかり、モニターによる画像データの閲覧であれば1,400円となります。次でご説明する遺言書の保管申請の撤回、及び変更の届出については、手数料はかかりません。

4-3.遺言書の保管申請は遺言者であれば撤回できる

法務局に自筆証書遺言書の保管申請をした後に、預けた遺言書を返してもらうことができます。これを、保管の申請の撤回といいます。返還してもらった遺言書は、無効になるということはありません。何かしらの理由により、法務局に遺言書を預けることをやめて、遺言者ご自身の新たに希望する場所に保管し直すことはできます。

4-4.保管後も遺言書の内容を変更することはできる

保管後に自筆証書遺言書の内容を変更したい場合は、一度、保管の申請の撤回をして、遺言書を返還してもらい、内容を変更する流れになります。訂正したり、作成し直した自筆証書遺言書については、再度、保管の申請を必要であればおこないます。

また、撤回の手続きをしないで、新たな自筆証書遺言書の保管の申請をすることも可能です。この場合、保管された自筆証書遺言書が複数となるため、作成日付が一番新しいものが優先されることになります。いずれの場合も、保管手数料は改めて支払わなければなりません。

5.相続発生後に相続人等ができること

相続人等とは、相続人、遺言執行者、遺言により財産を受け取る受遺者や、これらの方の親権者、または成年後見人などの代理人のことを指しています。相続人等は、遺言者が亡くなられた後に、自筆証書遺言書が法務局で保管されていることを確認し、遺言書の閲覧などを請求することができます。遺言書の画像データを証明した書面の交付を請求することも可能です。詳しく確認してみましょう。

【相続発生後にできる4つのこと】

①遺言書の閲覧請求ができる
②遺言書情報証明書の交付請求ができる
③相続人等に対して法務局で遺言書が保管されていることが通知される
④遺言書が法務局に預けられているかどうかの確認ができる

5-1.遺言書の閲覧を請求する

相続人等は、「遺言書の閲覧の請求」をおこない、法務局で保管されている自筆証書遺言書の内容をすべて確認することができます。原本を閲覧したいときは、遺言書の原本が保管されている法務局でのみ、閲覧請求が可能です。画像データをモニターにより閲覧する場合であれば、全国どの法務局でも請求が可能です。

5-2.遺言書の内容に関する証明書を取得する

相続人等は、「遺言書情報証明書の交付の請求」をおこない、自筆証書遺言書の内容に関する証明書を取得することができます。郵送による請求や、法定代理人による代理請求も可能です。

この証明書があれば、相続の手続きをおこなう際に、自筆証書遺言書の原本を提示する必要がなくなり、大事な遺言書を持ち歩いたり、紛失してしまう恐れを回避することができます。不動産の名義を変更する相続登記の手続きや、金融機関などでおこなう相続手続きで利用できます。

5-3.遺言書が保管されていることが相続人等に通知される

相続人等のうちお1人の方が、遺言書の閲覧請求、もしくは遺言書情報証明書の交付請求のいずれかをおこなうと、法務局から他の相続人等に対して「自筆証書遺言書を保管している旨」が通知されるようになっています。

相続人等の全員が、自筆証書遺言書の存在を知り、公平に相続手続きを進めることができます。一部の相続人だけが勝手に相続手続きを進めてしまうようなトラブルを防ぐことに役立ちます。

5-4.遺言書の保管の有無を確認できる

自筆証書遺言書が法務局に預けられているか否かの確認をするには、「遺言書保管事実証明書の交付請求」をおこないます。

 

遺言書保管事実証明書の請求はどなたでもできますが、請求者ご自身が相続人等であり、自筆証書遺言書が存在する場合のみ、「保管されている」という証明書が発行されます。

遺言書保管事実証明書は、保管の有無だけを確認するもので、遺言書の内容自体を知ることはできません。遺言書保管情報証明書では相続の手続きをすることはできませんので、内容を確認するために、閲覧請求や、情報証明書の交付請求をする必要があります。

6:自筆証書遺言書の保険制度の手数料一覧

6.まとめ

自筆証書遺言書は、制度改正によって、今までよりも利用しやすくなりました。

添付する財産目録をパソコンで作成できるようになり、また、登記事項証明書や通帳のコピーを財産目録の代わりとして添付することもできるようになりました。さらに、法務局での保管制度が始まったことは、自筆証書遺言書の紛失や偽造の恐れを心配することなく、安全に保管し続けることが確実となりました。

保管制度を利用すれば、正しい様式で自筆証書遺言書が作成されているかどうか、確認してもらうことができます。保管申請の撤回や、遺言書の訂正、変更などがいつでも自由にできる点も安心できますね。

保管制度の利用で、相続発生後の家庭裁判所の検認手続きが不要になることは、相続手続きの効率化に効果があり、相続人にとってもメリットといえます。遺言書の画像データを全国どこの法務局でも確認できるようになったことも、とても利便性がよい点といえます。

これらの効果的な改正点はありますが、自筆証書遺言書の本文そのものは、すべて直筆で書かなければならないことは変わりません。保管制度の利用で様式の確認はできますが、遺言書の有効性を保証するものではありませんので、その点は注意が必要です。遺言内容が無効とされることなく、確実に伝えるためには、ご自身で作成する前に、一度、相続の専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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