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アパートの相続は複雑!スムーズに進めるための財産分割の方法と対策

ご両親が相続対策の一環としてアパート経営を始められた方も近年は増えています。

「お父さんがアパートを財産として残すから。と話していたが、相続人は3人だけど相続で困らない?」
「アパートは財産としての価値が高そうだけど、相続税は払わなくていいの?」

いずれ訪れる相続に向けて、このアパートをどうするのか、考えなければなりません。
アパートには居住者の方がいますから、簡単にやめてしまうという判断はできません。とはいえ、収益物件を引き継ぐことは容易いことではないこと、相続をどうするかも課題が残ります。

アパート収入で所得が増えることは嬉しいことではありますが、どのような相続をするとご家族にとって最善となるのか、本記事ではアパートの相続についてご説明します。

1.親のアパートの相続は複雑。誰が相続するか生前に決めて準備する

相続人が複数人いらっしゃる場合には、生前にどなたがアパートを引継ぐのか、皆さんでよく話し合っておくことが大切です。もし、アパートの所有者であるお父さまに相続についてのお考えがあるのであれば、その想いを遺言に記す、または相続人の皆さんに伝えていただきましょう。

アパートともなると財産額で考えると高額なものになります。
相続税の対象となるケースも多く、亡くなられてから10ヶ月以内に結論を出して相続税の申告と納税も終わらせなければなりません。お父さまが亡くなられたのちに、じっくりと誰が相続をするのか話し合ったり、アパート経営を引き継ぐ手続きを調べたりするには時間が足りません。

相続人全員の共有名義として不動産収入を全員で分け合うことを考えがちですがトラブルの元となります。生前に誰が相続するか明確にすることが最善の相続手続きにつながります。

2.慌てて決めてアパートを相続人全員の共有名義にすると後悔する

「相続人はお母さんと兄弟2人だけだから後からもめることもないだろう」と安易にアパートを相続人全員の共有名義にすることはお勧めできません。

不動産を共有名義にするデメリットが3つあります。
(1)売却したくても全員の意見が合わないと売却できなくなる
(2)将来1人の名義に変更することになった場合に贈与と見なされる
(3)共有名義人の1人が亡くなられるとそのアパートが相続財産になる(1つのアパートが気づくと孫5人以上の財産となり手続きが進まない)

このように誰かが売却したくてもできない、権利が複雑化して意見がまとまらないなど、共有名義にすることはトラブルに繋がる可能性が高くなります。また、共有名義の場合は家賃などの収入、維持費などの支出もすべて全員で負担することになります。よって、各自が確定申告をおこなう必要もあります。

別の視点では、常に満室状態であれば仲良く維持していけるかもしれませんが、赤字となったり大型の修繕が必要となればいずれトラブルが発生してきます。

図1:共有名義はトラブルのもとのイメージ

3.【おススメ順】アパートを相続する場合の3つの分割方法

遺言がない場合には、相続人全員による遺産分割協議をおこない、アパートを含むすべての財産をどのように引き継ぐのかを決めることになります。一般的な遺産分割協議では、相続財産の分割方法として次の3つがあります。
アパートを含む場合のおススメ順にご説明していきます。

【説明の考え方】
・亡くなられた方:お父さま
・相続人:お母さま・長男・長女の3人
・相続財産:アパート1棟(5,000万円)、現金2,000万円

3-1.アパートを相続する代わりに代償金を支払う「代償分割」

長男がアパートを相続し、法定相続分を超える部分については代償金として長男の財産から現金等をお母さまや長女に渡す方法です。
アパートそのものの権利を分割せず特定の相続人が引継ぐことができるため、引き継ぎ方がシンプルで手間も少なく、不平等性もないのでよい方法といえます。共有財産にすることで発生するトラブルも未然に防げます。

しかし、代償金の支払いは長男にとって負担が重いことが多く、代償金の金額も満額とはいえない場合も多くあります。将来の家賃収入分まで加味するのか、建物の寿命などを考えた修繕費用分を差し引くのかなど、相続人同士で十分な話し合いをおこない納得できる内容を決めます。
なお、代償金は分割で支払うことも可能ですが、分割計画を明確にして相続人全員に納得してもらう必要もあります。

図2:代償分割のイメージ

3-2.アパートを売って現金に換えて分ける「換価分割」

相続したアパートを相続人の誰かが相続をするのではなく、全員の合意の下で売却して現金に換えて分割する方法です。アパートの負担が一人には大きすぎる場合や、誰も引継がない場合に有効な方法です。
この方法を選択した場合には、相続人代表者を決めてその方に売却手続きをおこなっていただき、売却できた後に遺産分割協議で決めた割合に応じて分割して渡します。

売却にあたり手間や費用が別途発生することもあれば、売却益が出た場合には譲渡所得税の納税が必要になるなど大変なこともあります。売却活動がスムーズにいけば労力も軽減されますが、立地条件の影響や売却時期のタイミングを計らなければならないことも難点です。

図3:換価分割のイメージ

3-3.財産を現物ごとに各々で分ける「現物分割」

現物分割とは、相続人の方が亡くなられた方の個々の財産をそのまま引継ぐ方法です。自宅・賃貸アパート・預金・株式など、財産価値に限らず、財産毎に相続人を決めて分割します。

例えば長男がアパートに関わるすべての財産を相続し、次男の方はその他の財産である預貯金を相続するといった場合です。財産内容によってはバランスが偏り、不平等性に繋がる恐れがあります。その場合は代償金の支払いと併用するなど、相続人同士で納得できるまで話し合うことが必要でしょう。

図4:現物分割のイメージ

4.アパートを相続するか売却するか判断するための6つのこと

アパートの相続を決める前に皆さんで確認していただきたい6つのポイントをご紹介します。
アパートも上手に経営をしないと収益が出ませんので、後に「こんなはずではなかった」ということにならないように想定できるリスクは事前に回避しておくことが重要です。

図5:相続を後悔しないために確認すべき6つのことイメージ

4-1.ローン残債が残っていないか

収益不動産の場合、団体信用生命保険に加入していないケースが自宅不動産と比べると多くあります。
住宅ローンやリフォームローンを完済せずに所有者の方が亡くなってしまうとローン残債を債務として相続しなければなりません。ローンの残債の状況を確認して、月々の収入とローン返済のバランスから赤字経営になることはないか、事前に確認しておくことが重要です。

4-2.維持費はどのくらいなのか

アパート経営には大きな修繕費用以外にも、定期的なリフォームや清掃、浄化槽の点検費用、光熱費、保険料、固定資産税の支払いなど、様々な支出がありますので事前に現状を把握しておくことが大切です。

築浅物件であれば、建物や付帯設備の維持費はかかりにくく、築年数が経過すればするほど多くかかるようになってきます。また、保険もアパートを維持するために必要な費用です。任意となる地震保険に加入されていないケースも多いですが、昨今の想定しがたい天災への対策は可能な限りされておくとよいでしょう。

4-3.修繕計画は立てられているか

アパートは築年数が増えていくと高額な修繕費が頻繁にかかる場合があります。長期的な視点で修繕計画を立てて資金準備をしていなければ、いざ大規模な改修が必要となった場合に月々の収益だけではまかなえないケースがほとんどです。数百万円規模の費用が必要になると、やむを得ず自己資金で大半を工面するような事態になりかねません。修繕計画がしっかりされていれば、空室を防ぐ効果にもつながり、入居率を上げるなどの期待にもつながりますので、修繕計画や積立金などを確認しておきましょう。

4-4.収益性は保てているか

空室が多い場合には何かしらの理由があると考えられます。例えば老朽化しているにも関わらず修繕されていない場合、付帯設備が古すぎる場合、周りに築浅の物件がある場合など、現時点で入居率が良くない場合に将来入居率を上げていくことができるかどうか確認が必要です。
最寄駅からの利便性や周辺の量販店事情なども加味して不動産屋さんなどに相談しながら判断をしましょう。

4-5.家賃滞納や住人とのトラブルはないか

賃借人の家賃滞納が頻繁にあるような状態であれば、相続した後にも家賃の回収に手間がかかります。管理会社が契約されていてしっかりと手続きをしてくれれば良いのですが、ご自身でやることになるとその負担は大きくなります。

また、住人同士でトラブル等があれば、大家の役割として苦情や要望への対処をする必要があります。管理会社に全てを任せるとしても、まったく無関係というわけにはいきません。

管理会社に任せることが増えれば委託費用も増えますので、心構えとしてある程度の対応はご自身の役割の一つと考え、引き継いていくことも大切です。

4-6.確定申告の条件

一定額の賃貸収入が得られる場合、毎年、その収益に対して確定申告をおこない所得税の納税が必要となります。給与所得のある会社員の方でアパートからの取得が年間20万円を上回る場合は確定申告が必要です。

家賃収入は一般的に副業には当たらないとされていますが、国家公務員、地方公務員の方の場合の兼業については国家公務員法により、原則、禁止されています。公務員の方の場合は、別途、表1のような条件が付与されていますのでご注意ください。
一定の規模以上の賃貸業を営む場合は、個人事業主と判断され、兼業禁止規定に抵触します。

表1:公務員の兼業の主な条件

5.アパートを相続する際には相続税を減額する特例が活用できる

アパートは賃貸物件となりますが、賃貸物件を相続する場合には小規模宅地の特例という制度のうち、事業用不動産として扱うことができます。賃貸用アパートの敷地で一定の要件を満たす場合に土地(敷地)の相続税評価額を最大50%減額できる制度です。アパート敷地の200㎡までの評価を50%減額することができます。

※小規模宅地の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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6.アパートの相続税対策として注意すべき3つのこと

アパートの相続を考えると生前に対策をしておく方が良いことはお分かりいただけたと思います。
引き継いだあとの賃貸事業を維持することも重要なことですが、その前に相続税に関する対策も考えておく必要があります。5章でご紹介した小規模宅地等の特例には注意点があります。
ギリギリになってから相続対策をしないように、次の注意すべき3つのポイントを押さえておきましょう。

6-1.賃貸経営を3年以上やっていないと特例が使えない

平成30年度の税制改正により、賃貸経営を始めて3年以上経過していないと小規模宅地の特例は適用されないこととなりました。お父さまが体調を崩されたあとに相続対策として賃貸アパートを購入したケースなどには小規模宅地等の特例が利用できません。高齢になられたあとに賃貸アパート業を始められた場合には、3年以上ご健在でないと全額が相続税の対象となります。

ただし、3年以上賃貸事業を営んでこられて、たまたま賃貸経営をしているアパートを建て替えたり、新しく建てた場合は適用可能です。

図6:3年以上の賃貸経営で特例が適用されるイメージ

6-2.相続税の申告期限まで保有していないと特例が使えない

もし、相続したアパートを売却する場合には、相続税の申告期限前に売ってしまうと小規模宅地等の特例が適用されません。相続税の申告期限である亡くなられてから10ヶ月間は少なくとも保有しておきましょう。

6-3.特例を最大限適用させるため早めの空室対策を!

小規模宅地等の特例を利用する場合の注意点として、空室があると全体に対する空室割合に応じた敷地分には減額が適用できません。たまたま入居者が入れ替わる時期であれば良いのですが、継続的に空室の場合には対象となりません。空室期間や募集状況などの事実関係をふまえ総合的に判断します。

もし空室があるようでしたら管理会社の方と相談するなど、空室を無くす対策をしましょう。

7.相続時精算課税制度の利用も検討してみる

生前にお父さまからアパートを相続するのが長男だとご家族内で合意がされたのであれば、相続時精算課税を活用して、生前にアパートを贈与することも得策です。相続時精算課税を利用すれば2,500万円までの財産は非課税で贈与を受けることができます。

相続の際には相続財産として考えなければならないため、メリットが少ないように感じますが、贈与を受ければその日から家賃収入は長男のものとなります。また、地価が上がっている地域であれば、贈与をした時点の価値で相続を迎えることができます。

※相続税精算課税制度について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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8.アパートの相続が開始したらすぐに対応すべき2つのこと

アパートの相続が開始したらやるべきことが2つあります。入居者からの賃料振り込みを滞らせないための口座変更、亡くなられた方の家賃収入を含むことの収益に対する準確定申告です。

8-1.賃料振込み口座変更を1ヶ月におこなう

口座の名義人が亡くなられたことを金融機関に伝えると口座が凍結され、全ての取引が停止されます。そうするとアパートの賃料の振込先を亡くなられた方の口座にしている場合、口座凍結をされると賃料の振り込みがされなくなります。金融機関の口座を凍結する前に必ず振込口座を変更しアパートの居住者に通知することが大切です。

8-2.亡くなられた方の準確定申告を4ヶ月以内におこなう

準確定申告とは、亡くなられた方のその年における、亡くなられた日までの賃料をはじめとした収入に関する確定申告です。この準確定申告は亡くなられたことを知った日の翌日から4ヶ月以内が期限とされています。そして、準確定申告で納税した税金は相続税の債務として差し引くことができます。

※準確定申告について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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9.まとめ

相続するアパートをお持ちのご家族の方は、将来どうしていくのかを早めに話し合いましょう。
アパートの相続は、トラブルを避けるためにお一人が相続するか、売却するかのどちらかが理想です。

そして、相続した後に困らないように相続する方はアパート経営の準備をしたり、空室を無くす努力をするなど所有されている方の生前から対策を取っておきましょう。このような対策は素人では難しいことも多いため、自主管理をされている場合は不動産管理会社に、売却を検討される場合は不動産仲介業者に相談することをおススメします。

アパートの相続が必要となる場合には、多くのケースで相続税の申告が必要となります。このような場合には、相続税を専門にしている税理士へご相談されることをおススメします。

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