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入門編!遺産分割協議書とは?の疑問が解決する文例と6つのポイント

相続の手続きを始めようと預金口座の解約のために銀行へ行ったり、不動産の名義変更をしようとした時に「遺産分割協議書はありますか?」といきなり聞かれてびっくりします。
また「遺産分割協議書を作ったから署名してほしい」とご家族や兄弟から突然言われてびっくりすることもあるかもしれません。

そもそも“遺産分割協議書”とはいったいどういうものなのでしょうか?

相続の際に必要な書類であることから、亡くなられた方が遺した大切な財産を引き継ぐために必要とされる書面であることは何となくお分かりかと思いますが、とても重要な意味を持つ書類なのです。
いったい遺産分割協議書とは、どういう効力のある書面なのでしょうか?

「遺産分割協議書とは何?」という相続を初めて経験する方に、ぜひとも確認して頂きたいポイントをじっくり解説します。

1.「遺産分割協議書とは」の6つの疑問に回答

突然の相続や初めての相続で良く分からないまま手続きに行くと「遺産分割協議書は作られていますか?」と聞かれて驚くことがあります。「遺産分割協議書とは何のことだろう」と思う一方で、窓口の方が当たり前のように「遺産分割協議書」を口にされると「私が知らないだけ?」と不安になります。また、兄弟や親せきから「遺産分割協議書を作ったから署名と実印を押印して」と言われても、どのようなもので、何を確認したら良いか分からず不安が募りますよね。
そんなときに思う6つの疑問について確認しましょう。

1-1.遺産分割協議書とは何だろう?

遺産分割協議書とは、その名のとおり、遺産をどのように分割するのか相続人全員で話し合って(協議)決めた内容を書面にまとめたものです。
実際には「遺産分割協議書」というものを作成して、相続人全員が署名と捺印をします。

遺産分割協議書を作る大前提として、「遺産分割協議」という話し合いの場で、財産を引き継ぐ権利がある相続人全員で財産の分割方法を決めて、その内容に同意をする必要があります。そして、同意した内容を遺産分割協議書に記載し署名・捺印をする必要があるため、記載内容を勝手に誰かが決めて同意だけ求めるやり方は好ましいことではありません。一人でも同意していない相続人がいると、その遺産分割協議書は有効な協議書とは言えなくなります。

1-2.遺産分割協議書とは手続きの上で絶対に必要なもの?

遺産分割協議書は、実は相続の手続きをする上で絶対に提出を求められる必要な書類ではありません。相続人がお一人の場合は全ての財産を相続するため必要ありませんし、相続人が数名いても法定相続分で分割する場合には、わざわざ協議書を作らなくても手続きを進めることができます。ただし、法定相続分で相続する場合にも、のちに誰かが相続の内容に対して実は納得していなかったなどと言い出し、トラブルに発展する可能性もあるため、作成をして全員が署名と捺印をしておくと安心です。

1-3.遺産分割協議書には決められた書式やフォーマットがあるの?

「遺産分割協議書」と聞くと、とても難しそうな名前で決まりが多い書類のように思いますが、実はこのように書かなくてはならない!といった法律で定められた書式はありません。よって、ご自身たちで手軽に作成できますが、財産の記載にはいくつかルールがありますので確認しておきましょう。例えば不動産が特定できるように住所を登記簿どおり記載しておくことなどです。

遺産分割協議書の記載のルールに不備があると、せっかく作った遺産分割協議書でも手続きが進まず、最悪の場合は作り直すことになります。ある程度のきちんとした知識を把握してから作成することが望ましいです。

1-4.遺産分割協議書とは専門家に頼まなくても作成できるもの?

1-3のとおり書式やフォーマットも無いが、記載のルールの確認が必要です。不備があって再作成となり相続する方全員の署名・捺印を再度もらいに行くことは避けたいものです。よって、相続に関する知識、不動産登記に関する知識等の専門的な知識があるとミスなく作成できますので、専門家に依頼したりアドバイスを求めることが望ましいです。遺産分割協議の進め方や遺産分割協議書の書き方のアドバイスは相続を専門にする司法書士や行政書士(税理士)に相談することをオススメします。

1-5.遺産分割協議書には作成期限や有効期限はあるの?

遺産分割協議書は、いつまでに作成しなければならないとか、作成日からの有効期限があるものではありません。しかし、相続税の申告に期限があったり、相続の手続きに必要な書類の有効期限がありますので、その期限にあわせて作成と利用をする必要があります。

例えば、相続税の申告が必要ならば、相続発生日より10ヶ月以内に遺産分割協議書を調えた上で申告を終えなければなりません。また、相続の手続きであれば、金融機関の預金口座の解約手続きの際に遺産分割協議書を提示する場合は、遺産分割協議書に添えて「印鑑証明書」を提示します。この印鑑証明の有効期限は発行日から3ヶ月ないし6ヶ月です。印鑑証明は、遺産分割協議書を作成する時点で受け取りますので、事実上の有効期限が発生します。(印鑑証明の期限が切れると再度全員から収集が必要になります)

1-6.遺言書がある場合には遺産分割協議書はどうすればよいの?

遺言書がある場合には、亡くなられた方の意思ですので最優先されます。“どのように財産を分けて、誰に引き継いでほしいのか”について遺言書に記されていますので遺産分割協議書は必要ありません。

しかし、その遺言書自体に記載の不備や漏れがあったり、遺言書はあるが遺産分割協議で決めたいという相続人の意思があれば、遺産分割協議書を作成して手続きを進めることも可能です。この場合には、状況により全部の財産でも一部の財産だけでも遺産分割協議書の作成が可能です。

2.使いやすい「遺産分割協議書」の文例

遺産分割協議が調ったら、次に遺産分割協議書という書類を作成していきます。
遺産分割協議書は、パソコン等の文書作成ソフトで作成して印刷したもので構いません。

図1:遺産分割協議書の文例
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3.「遺産分割協議書」を作成するための事前準備

遺産分割協議書の記載内容の不備や記載漏れを防ぐ対策として、次の内容を順に確認して効率よく、正確な内容の遺産分割協議書に仕上げていきましょう。少し手間と時間がかかりますが、ミスなくスムーズに進めるために必要な事項と理解をしていただき、署名・捺印まで進めていきましょう。

3-1.遺産分割協議に参加する人(相続人等)を確定

相続人を確定する作業の基本としては、亡くなられた方の出生から死亡までの除籍謄本(戸籍謄本)を取得します。亡くなられた方の最後の本籍地から順に遡っていくことで法律上の相続人を決定します。その中で思いがけない家族関係が分かる場合もありますが、事実として受け止め相続人として遺産分割協議に呼びます。

もし、この作業を怠って遺産分割協議をしたのちに相続人が見つかると最初から分割協議をやり直すことになります。時間がかかる場合がありますので、亡くなられたらすぐに喪主の方など相続の中心となる方は
準備を進めましょう。

図2:出生から死亡までの戸籍謄本を集める手順
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3-2.遺産内容を調査・把握

次に大切なことは、財産内容(遺産分割協議が必要となる財産)を全て把握することです。預金は?不動産は?株券は?負債はない?等、亡くなられた方の名義の通帳履歴や、郵便物等を確認してもれがないように調査します。亡くなられた方宛の手紙・封筒・広告など、亡くなられた後に届いた郵送物は、すべて段ボールに入れて保管しておきましょう。

図3:届いた郵送物は段ボールにまとめるイメージ
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3-2-1.預金の調査・把握

通帳やキャッシュカードを探して、記帳などに行くことで預金の残高を確認します。万が一、通帳やキャッシュカード等が見当たらない場合には、亡くなられた方の住所地周辺の金融機関の窓口で照会依頼をすると預金口座が見つかる場合があります。また、ネットバンクは通帳も印鑑も無いため見過ごしがちになりますので、パソコンをしっかりチェックしましょう。

参考として、亡くなられた方の口座を照会するためには、死亡の記載のある戸籍謄本と、ご自身が法定相続人とわかる戸籍謄本、及び実印と印鑑証明が必要です。

図4:残高証明書の取得に必要な資料一覧
SO0035_7預金口座がわかれば、通帳を記帳するか、残高証明を取得するかによって預金の額を確認します。

3-2-2.株の調査・把握

株を所有されている方は、半年に1度くらいの頻度で各証券会社から「取引報告書」が郵送されてきます。この書類が見つかれば把握できますが、そのような書類が見当たらない場合には通帳に配当金の振込記録や証券会社への入金記録が無いか等が、確認します。
取引のある証券会社へ残高証明書を依頼することで、財産がわかります。

3-2-3.不動産の調査・把握

不動産を所有されていた方には、毎年春になると各市区町村役場より固定資産税納税通知書が郵送されてきますので、その内容で大抵は把握できます。しかし、共有名義であったり、私道のような税金がかからない不動産を所有していた場合、漏れてしまうことがあります。売買をした時の契約書等が残っていないか探してみたり、思い当たる市区町村役場へ名寄帳もしくは土地家屋課税台帳(=所有者<亡くなられた方>がその地区内で所有する不動産の一覧)を請求して調査することが可能です。

図5:固定資産税納税通知書の見本 ※神戸市の場合
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6:課税明細書の見本 ※神戸市の場合
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3-2-4.借入金の調査・把握、その他

財産の調査となるとプラスの財産ばかりが気になりますが、亡くなられた方の借入金(銀行、もしくは個人からの)がある場合があります。これらは、口座が凍結して支払いができなくなると督促状等が届きますのでそこから把握します。その他、亡くなられたあとに光熱費やお葬式代など立て替えて支払ったもの、または、香典など代わりに受け取ったものなど、お金の出入りについては請求書、領収書、明細書等を大切に保管し、領収書等が無いものは手書きで良いのでメモをして大切に保管しましょう。

3-2-5.生命保険や退職金の扱い

遺産分割協議の準備として、生命保険の死亡保険金や退職金が頭に浮かぶ方もいらっしゃると思いますが、この2つは受取人が指定されているため、遺産分割協議の対象ではありません。もちろん相続税を考える際には財産として加算します。

3-3.財産目録を作成すると便利

財産の詳細が明らかになったら「財産目録」として一覧にまとめます。もちろん相続人の関係性によっては、全てを明確に開示する必要がない場合もありますが、財産目録としてまとめておくことで、身近な相続人から安心感が生まれ、相続人どうしの関係性を悪化させないようにすることができます。

図7:財産目録のイメージ
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3-4.遺産分割協議の方向性を決める

財産目録を作成したことで、全ての財産が把握できました。次は、一番重要である遺産分割協議の方向性を決めることです。全体を鑑みて、分割の内訳や話し合いの方法など道筋を立てます。預金や株は、ある程度の金額が分かり分割も容易なのですが、不動産の場合は、その価値の捉え方や分割を考えると意見がまとまりづらく、トラブルの原因となりやすいものです。

3-4-1.方向性が決めづらい不動産

一般的には、不動産は相続税を計算する際に利用する路線価で評価します。専門家でなくてもおおよその価格は把握できますが、問題は分割をどうするかということです。不動産を誰かがもらう場合に、他の
相続人に法定相続分に沿って平等に渡すだけの財産が無いことが大半です。よって、相続財産の大半が不動産である場合には、遺産分割協議がまとまりません。

(例)
不動産の評価が3,000万円、現金が1,000万円の財産であった場合、ご自身(長男)と長女、次男の三人で分割する場合に困ります。
ご自身(長男)が不動産を相続した場合、3,000万円を相続したことになります。一方、長女と次男が現金500万円ずつ相続すると長女と次男は納得しないでしょう。
差額をご自身の貯蓄から支払うことができれば納得をしてもらえそうですが、なかなか難しいものです。法定相続分で分割できない課題と、差額を払えない課題から、共有持分での相続しよう考えがちですが、これは問題の先送りといわれており、子ども世代・孫世代が苦労することになりますので避けましょう。
最終的には、売却して現金化をして皆で分ける。が一番すっきりします。しかし、思い出がつまった実家や実際に住んでいる場所だとなかなかすぐに売る決断ができないものです。

以上から、相続財産に不動産が含まれる場合には、皆さんの意見を集約して結論を導くことは困難だと思いますので、なるべく方針を持って遺産分割協議に参加していただきたいと思います。

3-4-2.その他確認しておくべきこと

遺産分割協議書は、相続人全員で協議し、決定した事項を記載しておく書類です。全員が了承したことが曖昧にならないよう、財産の分割結果以外でも相続に関わる約束事も文面に残しておくことが大切です。例えば、今後の祭祀承継に関することや、負債や未払金を払うことについてなど、後になって「そんなつもりはなかった」という問題が生じないよう、はっきりと記載しておきましょう。

4.最後に

遺産分割協議書とはどういうものなのか、何をどのように記載すればよいのか等、実際の文例もご覧いただきながら、イメージを抱いて頂けましたでしょうか?

相続の内容は、人それぞれ違いますので、一般的な内容を参考にできる場合もあれば、個別に詳細を話し合いで決めなければならないこともあるかと思います。ただ共通して言えることは、財産の内容、所在が確定できること、だれが引き継ぐのか明確にすることがきちんと明記されていれば、その後のお手続きに効力を発する遺産分割協議書が作成できると思います。

あとは、相続人の署名と捺印が鮮明であれば、文面は全てパソコン等で入力しても構いませんので、十分に話し合って全員が了承した内容を効率よくまとめて仕上げましょう。

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