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遺産分割協議とは相続財産の分け方を話し合う事。進め方のコツとトラブル対処法

「財産を相続するためには遺産分割協議が必要らしい」
「相続人で集まることはなかなか難しいのだが、遺産分割協議はやらなくてはいけないの?」

ご家族が亡くなられると、その方の財産は相続財産となり相続人の方が引き継ぐ事になります。
相続財産の分け方は、亡くなられた方が遺言書を遺していれば原則としてその内容に従い遺産分割を行い、なければ法定相続分で分けることになります。

しかし、遺言書の有無にかかわらず相続人全員が合意すれば話し合いで遺産の分け方を決めることができます。ところが、実際にはお仕事の関係や遠方にお住まいの方、ご高齢の方、ご病気の方など様々な事情があって、なかなか全員で協議することは難しいものです。

本記事では、遺産分割協議とは何か、遺産分割協議の進め方から問題が生じた場合の対処法や解決策を詳しくご説明します。

1.遺産分割協議とは相続人全員で遺産分割について話し合うこと

遺産分割協議とは、亡くなられた方の相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い決めることです。
遺産分割協議の成立には、必ず相続人全員の同意が必要です。
遺産分割協議は、遺言書があれば、それに従い遺産分割を行いますが、遺言書が無いあるいは遺言書の内容とは異なる内容で分割する場合に必要になります。

図1:遺産分割協議とは相続人全員で話し合うこと
遺産分割協議とは相続人全員による話し合い

2.遺産分割協議の進め方

遺産分割協議は、具体的にどのように進めたらよいのでしょうか。開始する時期や、完了するまでのステップをご紹介します。

2-1.遺産分割協議に期限はないが早めに行う

遺産分割協議にはいつまで行わなくてはいけない、という期限はありません。しかし、亡くなられてから3か月後には始めたほうが良いといえます。
相続税の申告期限は亡くなられてから10ヶ月以内です。もし、相続税の申告が必要な場合には、誰がどの財産を引き継ぐのかといったことが、申告内容に影響してくるので早めに遺産分割協議をおこない、成立させる必要があります。

2-2.遺産分割協議完了までの5つのステップ

遺産分割協議の開始から完了までを5つのステップでご紹介します。
初めに遺言書の有無を調査します。

<遺産分割協議完了までの5つのステップ>
ステップ1:遺言書の調査
公正証書遺言であればお近くの公証役場で確認できます。自筆証書遺言の場合はご自宅や、法務局に保管されている場合があります。

ステップ2:相続人の調査、確定
相続人の調査は配偶者と第一順位のお子さま、第二順位のご両親(祖父母)、第三順位のご兄弟(兄弟姉妹)と、亡くなられた方の出生からご逝去までの繋がったすべての戸籍(除籍)謄本を各役所から取り寄せ、相続人を確定します。

ステップ3:相続財産の調査・把握
亡くなられた方の財産を全て調べます。預貯金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も確認します。

ステップ4:遺産分割協議を始める
相続人の数や相続財産の内容によっては、全員の合意が得られない可能性があるため、四十九日を過ぎたころを目安に始めましょう。

ステップ5:遺産分割協議成立・完了
相続人全員の同意が得られれば遺産分割協議は成立し、完了となります。

3.遺産分割協議を円滑に進めるためのコツ

遺産分割協議は相続人全員が参加しなければいけませんが、全員揃う事や、普段会ったことのない人と相続財産について話をするのは大変なことです。遺産分割協議を円滑に進めるためのコツをご紹介します。

3-1.全員揃わない場合はWeb会議システムなどを利用する

相続人が遠方に住んでいる場合、全員で日時を合わせて揃うことは難しでしょう。このような場合は電話やメール、Web会議システムを利用して話し合うことが可能です。全員の合意を得られれば問題ありません。

3-2.遺産分割協議がまとまらない場合の対処法

様々な理由で遺産分割協議がまとまらないという事もあるでしょう。主なトラブルについての対処法をご紹介します。
①相続人の連絡先が分からない
戸籍の附票を取得すると現住所を確認することができます。(保存期限5年)確認出来たら、手紙などで連絡を取ります。

②相続人が未成年
相続人が未成年の場合、相続においては親が代理人を務めることができません(利益相反行為)。未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所へ特別代理人を立ててもらうか、相続人以外の立場の人(祖父母など)が特別代理人として遺産分割協議に参加します。

➂相続人が相続放棄をした
相続人のいずれかが相続放棄をした場合には、相続人でないと扱う為、遺産分割協議には参加しません。

④相続人に認知症の方がいる
相続人の中に、意思能力が不十分(認知症、知的障害等)で、遺産分割協議に参加が困難と判断される場合、家庭裁判所に後見開始、及び後見人選任の申し立てを行い、成年後見人を決めます。成年後見人が代理人として遺産分割協議に参加します。後見人が決まるまで、数か月から1年近く時間を要する場合があります。

⑤遺産分割協議が一向にまとまらない
相続人の関係性によっては、全く遺産分割協議に応じないといった事態や、平等性や貢献度などを含めて誰かが主張を続けて譲らないことでまとまらないこともあります。話し合いに全く応じてもらえないような場合や結論に至らない場合には、裁判に進むことになります。しかし、調停や審判は弁護士の費用と時間をかけたうえに、法定相続分でわけることに落ち着くケースが多いことから、可能な限り話し合いで解決することが望ましいです。

図2:遺産分割協議は可能な限り話し合いで解決を
遺産分割協議は極力話し合いで解決を

4.協議がまとまったら遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議が整ったら、その内容をまとめて書面にします。この書面を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書は、法的にも有効なもので、分割内容に関し相続人全員が納得していることを証明する書類です。作成しておくと、後々の相続トラブルを防ぐ効果にもつながります。

4-1.遺産分割協議書は相続手続きに必要

遺産分割協議書は、相続手続きの内容により提出を求められます。相続税の申告が不要であれば、特に決められた期限はありませんが、相続手続きを速やかに終わらせるためには遺産分割協議書も早めに作成しておくことが望ましいです。

<遺産分割協議書が必要な手続きと提出先>

手続きの内容 提出先 提出期限の目安
不動産の相続登記 法務局 期限はないが相続する年の年内が望ましい
預貯金の相続手続き

金融機関

期限はないが口座凍結されるので早めが望ましい
相続税の申告 税務署 相続発生の翌日から10ヶ月以内
自動車の名義変更 陸運局 遅くとも次の車検まで、早めが望ましい
株の相続手続き 証券会社 期限はないが売却するタイミングを見計らう

※遺産分割協議書の提出先について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
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4-2.相続人が遠方にいる場合は複数作成することも可

遺産分割協議書は、全員が同意したと証明するために署名、捺印が必要です。相続人の人数が多い、それぞれ遠方に住んでいる等の理由で速やかに用意することが難しい場合には複数作成して個別に署名、捺印をしてもらいましょう。

4-3.一部の財産のみの遺産分割協議書の作成も可

住んでいた不動産の名義だけ、もしくは 車だけといった一部の財産だけ分割協議書を作成することも可能です。税金の問題もありますので、所有権のある財産は、出来るだけ早めに分割協議を行い、名義変更をすることをお勧め致します。

4-4.遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の書き方には、法律で義務付けられた書式などはありません。自筆やパソコンで作成するなども自由です。重要なのは、相続財産を正確に記載して、「相続人の誰が、どの財産を、どのように引き継ぐのか」を明確に示されている事です。更に、記載内容に相続人全員が同意していることを証明する直筆の署名と実印の押印が必要です。

※遺産分割協議書の書き方について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
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5.まとめ

遺産分割協議とは、亡くなられた方の相続財産の分割方法について相続人全員で話し合い決めることです。成立には相続人全員の同意が必要です。期限は特別に設けられていませんが、相続税がかかる場合やそのほかの相続手続きには、遺産分割協議が成立したという証明ができる遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議を行いたくても、遠方に住んでいて全員が集まり、遺産分割協議書に署名、捺印をもらえないという場合には、Web会議システムやメールなどを利用したり、遺産分割協議書を複数作成して個々に送るなどの対応をしましょう。

遺産分割協議が進まない、遺産分割協議書の書き方が分からないなど、ご不明な点がございましたらお気軽にOAG税理士事務所にご相談ください。

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