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医療費控除の確定申告はお得?期間・対象の医療費・申告手順の全知識

毎年、年が明けると「確定申告」という言葉を見聞きするようになります。
サラリーマンであっても「医療費控除」の確定申告をするかどうか考える時期になりますので、確定申告は誰にとっても身近なものですが、難しそうなため可能なら触れたくないものではないでしょうか。

本記事では、「医療費控除」の確定申告に絞ってメリットや注意点、確定申告の手順について説明します。内容を確認しながら準備を進めていきましょう。

最初に触れておきますが、「ふるさと納税のワンストップ特例」を利用された方が「医療費控除」の確定申告をする場合には、ワンストップ特例が利用できなくなるため、あわせてふるさと納税の確定申告もする必要がありますので、あわせてご確認ください。

Contents

1.医療費控除は本当にお得なの?医療費控除で得する所得税と住民税

「確定申告で医療費控除」と聞くと、「確定申告」も「医療費控除」も分からない方も多く、可能であれば避けて通りたいと思われているのではないでしょうか。簡単に説明しますと「確定申告」は、「昨年の1月1日から12日31日」までの収入に対していくら所得税を支払えば良いか。を計算することです。

サラリーマンの方は12月に「年末調整」をしますが、年末調整ではできない項目について追加で申請をします。「医療費控除」は所得税の計算対象となる収入から「医療費控除」分を差し引くことができるため、所得税をおさえることができます。

1-1.医療費は控除の金額は全額戻りません

このあと計算例を出していますが、30万円の医療費を支払っており医療費控除の対象額が20万円であっても20万円が戻るのではなく、20万円に所得税率をかけた金額が戻ってきます。所得税率は5%から40%までありますので、同じ20万円の医療費であったとしても5%なら10,000円で、40%なら80,000円還付されます。

1-2.10万円以上または総所得金額の5%以上の医療費が所得税から控除される

医療費控除で控除できる金額は2のパターンがあります。

(1)医療費を10万円以上支払った方
(2)総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%

1-2-1.年収500万円独身、医療費30万円の場合は2万円の還付

この場合、医療費を10万円以上支払った場合の計算が適用されます。
社会保険料は概算とします。

(a)年収500万円―給与所得控除154万円=346万円
(b)346万円-(基礎控除38万円+社会保険料70万円)=238万円
(c)(b)より所得税率10%
(d)医療費30万円-10万円(対象は10万円以上)=20万円
(e)20万円×10%=20,000円

以上から、所得税は2万円還付があります。

1-2-2.年収280万円独身、医療費20万円の場合は5,550円の還付

この場合、総所得金額の5%以上の医療費が適用されます。
社会保険料は概算とします。
総所得金額とは、給与以外に収入がある場合はそれを足した年収から経費等を引いた所得になります。

(a)年収280万円―給与所得控除102万円=178万円
(b)178万円―(基礎控除38万円+社会保険料38万円)=102万円
(c)(b)より所得税率5%
(d)医療費20万円8.9万円(総所得金額178万円×5%)=11.1万円
(e)11.1万円×5%=5,550円

以上から、所得税は5,550円還付があります。

図1:課税所得控除額

1-3.医療費控除の確定申告で同時に住民税も安くなる

医療費控除の確定申告をすると所得税の還付が受けられますが、この申告をおこなうと住民税の計算にも利用されることから住民税も安くなります。ただし、所得税は還付されて現金が戻ってくるのに対して、住民税は収入に対して翌年支払うことから還付はなく、翌年の住民税が安くなります。

【年収500万円、医療費30万円の場合】

20万円×10%(住民税率)=20,000円
※所得税2万円+住民税2万円=計4万円のお得

【年収280万円、医療費20万円の場合】

11.1万円×10%(住民税率)=11,100円
※所得税5,550円+住民税11,100円=計16,650円のお得

2.医療費控除の概要を確認しよう

医療費控除の確定申告をすると所得税・住民税のどちらもお得になり、とてもよい制度だとお分かりいただけたと思います。ここでは、医療費控除の基本を確認しておきましょう。不安な方はぜひチェックしましょう。

2-1.医療費控除に関わる3つの期間を確認しよう

医療費控除の申請をしようとすると、いつまでに何をすればいいのでしょうか。医療費控除には、3つの期間があります。納期までに申請をして確実に控除を受けましょう。

2-1-1.医療費控除の対象期間は1月1日から12月31日

医療費控除となる医療費の支払い対象期間は、その対象とする年の1月1日から12月31日までです。

2-1-2.確定申告の期間は2月15日から3月15日

確定申告の支払い対象とする年の翌年の2月15日から3月15日までです。

2-1-3.医療費控除の申告ができる期間は5年間

医療費控除の確定申告は5年以内におこなえば対象とすることができます。ただし、申告の対象になるのは各年の1月1日から12月31日までで、決して複数年分の医療費控除をまとめられるわけではありません。

2-2.扶養・同居に関係なく生計を一にする家族分はすべて対象に

医療費控除の確定申告は「生計を一にする家族」分をまとめて申請をすることができます。共働きにより奥様が扶養に入っていない場合にも、お子さんが大学生で遠隔地の大学に通うため同居していなく場合でも生計を一にするとなり、家族分は合算できます。

3.医療費控除の対象の有無の判断基準

医療費控除の対象として良いかどうかの判断基準としては「治療」であるかどうかです。「美容や予防」で病院に通った場合については対象となりません。

3-1.医療費控除の対象となるものは「治療」に関わる医療費

○  風邪やインフルエンザの治療費
○  通院のために利用した公共交通機関の費用
○  病気を患い入院した際の入院費用
○  出産費用
○  不妊治療の費用
○  レ―シックの手術費
○  虫歯治療・抜歯の費用
○  治療目的で購入したドラッグストアの薬

3-2.医療費控除の対象とならないものは「美容や予防」に関わる医療費

× 通院のために利用したマイカーのガソリン代
× 入院時に個室を希望した場合の差額ベッド代
× 健康診断の費用
× 視力矯正用のメガネ・コンタクトレンズの費用
× インフルエンザ等の予防接種費用

4.医療費控除の確定申告をする際の2つの注意点

4-1.保険金・一時金が出たものは、医療費から差し引きます

生命保険や傷害保険など保険金が支払われた場合や出産一時金などの一時金が支払われたものについては、その金額を引いた額が医療費控除の対象となります。仮に入院・手術をして50万円の医療費を支払ったとしても、保険金が40万円支払われた場合には、医療費を10万円として考えます。一方で、治療費2万円に対して保険金が5万円支払われた場合には、2万円の治療費を医療費控除の申請に入れないだけで良いです。(補填の対象となった医療費ごとに差し引きます)

4-2.ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できません

ふるさと納税の便利な手法の一つに「ワンストップ特例制度」があります。サラリーマンの方はこの制度を利用することで5ヶ所の自治体へのふるさと納税については、確定申告が不要となり、申請書を各自治体へ提出するのみとなります。しかし、このワンストップ特例制度の利用条件に「確定申告をしないこと」という内容が含まれていることから、医療費控除の確定申告をした場合にはふるさと納税の確定申告が必要となります。

ふるさと納税の確定申告方法はこちら ⇒ 「ふるさと納税のための確定申告【完全マニュアル】」

5.確定申告をしよう。必要書類の準備から提出までの6STEP。

難しそうな確定申告ですが、準備から申告方法まで順番に記載していきますので確認しながら進めて確定申告を終わらせましょう。

5-1.STEP1:申告時期を再確認しよう

2-1-2.で記載のとおり、医療費控除をする1月1日から12月31日の期間の次の年の2月15日から3月15日までの確定申告の期間です。後半は税務署が混雑しますので、早めの申告がオススメです。

5-2.STEP2:領収書とメモを準備しよう

病院に行き病院に支払った金額の領収書をすべて集めましょう。集める際に、「医療機関にかかった人ごと」「かかった病院ごと」に領収書をまとめていきます。1年分を「日付順」にまとめたら、それぞれをホッチキスで止めます。無くした場合には、各医療機関に再発行のお願いをする必要があります。
また、病院に行く際に利用した公共交通機関の費用はメモにまとめましょう。

医療費控除の手続きの中で最も大変な作業です。
今年分の申請に向けては、今からしっかりと領収書の保管をしておき、確定申告前に大変にならないようにしておきましょう。

図2:領収書をまとめる

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5-3.STEP3:医療費明細を作成しよう

5-2でまとめた内容を国税庁がだしている「医療費の明細書」に1行ずつ記入していきます。
 ※http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/003.pdf

パソコンで作成したい場合には、国税庁が出している「医療費集計フォーム」を利用します。
 ※https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/iryouhikoujo.htm#

図3:医療費の明細書の作成

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5-4.STEP4:源泉徴収票を準備

サラリーマンの方は、12月か1月に会社からもらった「源泉徴収票」を準備します。確定申告の際には源泉徴収票に記載されている値をたくさん入力していきます。

4:源泉徴収票のイメージ

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5-5.STEP5:確定申告書類を準備しよう

サラリーマンの方で給与所得のみの方は、確定申告の際に「申告書A」を利用します。個人事業主の方など「申告書A」の対象にあてはまらない方は「申告書B」を利用します。「申告書A」の場合には、源泉徴収票をみながら順次埋めていき、⑱医療費控除の部分に計算した医療費控除額を書きます。

5:確定申告書A(サラリーマン向け)の例

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5-6.STEP6:確定申告書と添付書類を税務署に提出しよう

・確定申告書
・医療費明細
・医療費の領収書
・源泉徴収票
・マイナンバー
をまとめて封筒に入れ、地域の税務署へ提出します。

6.平成29年からスタート「セルフメディケーション推進のスイッチOTC薬控除」

平成29年1月1日~平成33年12月31日の期間限定として「セルフメディケーション推進のスイッチOTC薬控除」がスタートしました。実際に確定申告で利用するのは平成29年分からのため、来年の確定申告の際に必要に応じて利用することになります。

しかし、今年1年で利用したスイッチOTC薬について申告するため、意識しておきましょう。
注意点としては、医療費控除とスイッチOTC薬控除はいずれかの利用しかできません。

「スイッチOTC薬控除」でおさえておくべきポイントは、「自分で病気を治そうとする方への控除」です。
・購入費用のうち1万2,000円を超える金額が控除額
・控除額の上限は8万8,000円
・レシートに「セルフメディケーション対象」書かれたものだけが対象
・対象商品には「セルフメディケーション」マークがついている

図6:セルフメディケーションのマーク

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参考として、OTCは「Over the Counter」で、カウンター越しに売られる薬の意味です。

7.さいごに

医療費控除をする際に、もっとも手間がかかるのが領収書の整理です。
後からやろうとするととても大変ですので、少なくとも月毎に領収書をまとめて、人ごとに分けておきましょう。

人・病院ごとに分けることができれば、あとは源泉徴収票をみながら確定申告の書類を書いていくだけです。手書きの作成より、国税庁の確定申告のHPから手順を追って入力していくことをオススメします。

国税庁の確定申告HP
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kakutei.htm

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