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相続税が払えない!土地の売却前に確認したい「分割払い」のポイント

納税資金がなくて相続税が支払えない・・・分割払いはできるのだろうか?

突然、だれにでも降りかかる相続問題・・・。
そういえば、我が家の両親の財産に土地はあるけれど、現金がなさそう。。。
相続する際に、土地はあるけれど現金が無い場合の相続はどのようになるのだろうか。。。

相続の際に、現金の財産が多ければ問題も発生しづらく、家族で誰がいくら相続するか、実家はだれが相続するか、など財産分割の話し合いは比較的スムーズに進むことが多いです。しかし、先代から代々引き継がれている多くの土地があったり、都心の一等地に実家があったり、アパート経営をしている土地があるなど、財産価値の高い土地はあるけれど現金を持っていないまま相続をむかえるケースも珍しくありません。

そんなときは、土地を売るしかない?土地を売りたくないけど何か良い方法は無いの?と考えると思います。

相続税の対象となる土地を所有する場合には、相続税の原則どおり、納付期限までに現金を一括で納付しなければなりません。納付期限は、亡くなった事実を知った日の翌日から10ヶ月以内とされており、土地をどうするか考える時間、売る場合にも買い手を見つける時間を考えると十分な時間とは言えない期間です。

税金を支払うのに十分な現金が遺されていれば、、、となりますが、なかなか難しいですよね。

ここでは、遺された財産として土地はあるけれど現金が無い場合など、納税する資金が用意できない場合の対処方法についてご説明します。

また相続税は、払えないからといって放っておくと、さらに大きなリスクを背負うことになりかねませんので期間内に納税ができるよう準備を進めましょう。

1.相続税の納税は現金が基本!土地の相続で現金が準備できないときは分割払いの申請を!

相続税の納税は原則として、期限内に現金で一括で納めるというルールがあります。しかし、ご両親が亡くなっていざ相続となったときに、相続する財産の大半が土地や建物などの不動産関係であった場合には、ご自分の財産の中から現金を捻出するか、不動産を売却して現金を準備するか。になります。相続した不動産が、自分が幼き頃から住んでいた実家だと、何とか売却せず済ませたいですよね。

(相続税のイメージ)
父親が残してくれた財産:不動産5,000万円+現金300万円
相続人:母親はすでに他界。相続人は自分だけ

続財産(5,000万円+300万円)-基礎控除(3,600万円)×相続税率(15%)-控除額(50万円)=205万円

上記の場合、現金300万円があるが、初七日や四十九日の法要、土地の名義変更、場合により医療費などの支払いを済ませると、実質的には手元に現金が残りません。

1-1.条件付きの分割払いができる「延納制度」

相続税を支払わなければならないと分かっていても、多額の納税資金をすぐには用意できない!といった事情を抱えている場合など、やむ得ない理由がある場合には条件付きではありますが「延納制度」という方法を選択することが認められています。延納制度は、相続税を事実上「分割払い」にすることができるということになります。ただし、その期間には利子税がかかります。

1-2.相続税額10万円以上かつ納税が困難なときは、すみやかに「延納」の手続きを!

相続税の申告をして、納税を怠ると「督促」がきます。また遅れた日数に比例して「延滞税」というペナルティが課されます。そして、もし「督促」を無視し続けると相続人の財産の差し押さえがあり、公売等で換金されてしまいます。また、ばれないように申告をしない場合は、税務調査の対象となり多くの税金を課せられます。そうならないためにも、納税できないときには「延納」の申請をしましょう。

1-3.延納の手続きをすると、年1回ずつ5年から20年の範囲で分割できる

相続税の支払額が205万円ですぐに支払える現金が55万円しかない場合、相続税額のうち150万円を延納することができ、分割で支払いができます。延納期間は5年から最長20年の範囲で、不動産の価額の割合で決まります。詳細は下記の表1を参照してください。

1-4.延納した場合の利子税はいくら?

延納をした場合の注意点としては、延納額に対する利子を支払う必要があることです。一度に支払う額は安くなりますが、結果的に多くの税金を納めることになります。利子税率は、毎年国税庁が発表する率を利用します。平成28年はおおよそ0.8%~1.4%になります。ただし、最初に申請をした年に決まった利子率で最後まで支払いをすることになるため、金融機関等の借り入れの利子率と比較しながら、場合により借り入れをして完済した方がよいケースもあります。

表1:主な延納期間と延納利子税の一覧(平成28年)
不動産等の割合 区  分 延納期間
(最高)
延納利子税
(年割合)
特例割合
(年割合)
75%以上 動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.3%
不動産等に係る延納相続税額 20年 3.6% 0.8%

50%以上
75%未満

動産等に係る延納相続税額 10年 5.4% 1.3%
不動産等に係る延納相続税額 15年 3.6% 0.8%
50%未満 一般の延納相続税額 5年 6.0% 1.4%

※延納利子税は、現行では特例割合が発表されており、その利子率が採用されます。
※平成28年の延納特例基準割合が1.8%です。
※<算式>特例割合=延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合(※)÷7.3%
※動産=不動産以外の身の回りのすべての物

(利子税の考え方)
不動産の価額が75%以上で、不動産にかかる延納のみ。延納額が150万円で20年払いの場合。

1年目の支払い:7.5万円+150万円×0.8%=8.7万円
2年目の支払い:7.5万円+(150万円-7.5万円)×0.8%=8.64万円
3年目の支払い:7.5万円+(150万円-15万円)×0.8%=8.58万円

2.延納制度の活用を判断する3つのポイント

延納制度は、簡単に利用することが認められる訳ではありません。「認められる要件」、「申請方法」、「注意点」を事前に理解して選択しなければなりません。また、故人の遺産だけで納税資金が支払えないとしても、相続人自身の資産と合わせて支払いが可能であれば、延納制度を利用することは認められません・・・安易には利用できないということですね。

2-1.延納が認められる4つの条件

次の要件を全て満たす必要があります。
(1)相続税額が 10 万円を超えること
(2)現金一括で納付することが困難とする理由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
(3)延納税額及び利子税額に相当する担保を提供すること
  ただし、延納税額が 100 万円以下で、延納期間が 3 年以下の場合は必要なし
(4)延納申請期限までに「延納申請書」及び「担保提供関係書類」を提出すること

2-2.担保にできる4つの財産

延納するためには、延納期間が3年以下であり、かつ延納税額が100万円以下の場合を除き、次のような担保を提供する必要があります。相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人自身の財産や、共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することが可能です。

(1)国債及び地方債
(2)社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
(3)土地、建物
(4)税務署長が確実と認める保証人の保証

ただし、税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認める場合はその変更を求められることになります。また、担保の内容が決まらない場合は「提出期限延長届出書」を提出することにより、最長6ヶ月まで延長することができます。ただし、1回の届出により延長出来るのは3ヶ月です。

2-3.書類の提出期限

「延納申請書」に「担保提供関係書類」を添付し、納付期限または延納申請期限までに税務署に提出します。

(参考)
延納申請書には
*期限までに金銭で納付することが困難な理由および金額
*延納したい期間
*分割したい金額
*1回あたりの支払金額 ・・・等を記入します。

2-4.延納申請の流れ

延納をすることを決めたら、相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに税務署長宛に「延納申請書」の提出が必要です。おおよそ3ヶ月間で許可または却下の判断があります。

(1)延納申請書の提出
    ↓
(2)延納の審査
    ↓
(3)許可または却下

3.“繰り上げ返済”“物納への切り替え”に柔軟に対応

延納制度は、納税資金に余裕が生じた場合、申請を行えば「繰上返済」することも可能です。また、それとは逆に何らかの事由で支払いを継続することが困難となった場合も申請をすることにより物納など別の納税方法への切り替えに柔軟に対応してくれます。

3-1.繰上げ返済が可能

先に記載のとおり、利子率は最初に延納の申請をした年の利率で最後まで支払いが必要です。よって途中で資金に余裕ができたり、場合によっては金融機関で借り入れをして繰り上げ返済をして金融機関に対して低い利率での返済していくことも可です。これらは無駄な利子税を支払わないようにするテクニックです。

3-2.物納への切り替えが可能

延納の許可を得たのちに、延納を続けることができなくなった場合に、申告期限から10年以内であれば物納へ変更が可能です。元本の支払いだけでなく、利子税の支払いも困難となった場合には、物納への切り替えを考えましょう。

4. 延納制度を知った結果、やはり土地の売却をすることにした場合の対応方法

延納制度って便利だな、分割で払えるなら分割がいいな、と制度の概要だけをみて考えていたが、いざ利子税を確認すると、そんな高い利子を払っての納税はやはり嫌だという結論になる方も多いのではないでしょうか。相続する財産の50%以上が不動産であれば、不動産にかかる延納の利子税率は0.8%です。車を購入した際のディーラーローンの利子率が3~8%のため比較的低いものの利子税の支払い自体が厳しい方も多いと思います。

4-1.不動産は亡くなった方の名義では売却できない

相続する際に不動産を売却して納税資金に充てようと考えている場合には、注意点があります。相続不動産の売却は、亡くなった方の名義のまま売却することが原則出来ません。そのため、相続人が複数いる場合にまず分割協議を調えて、一旦誰かの名義として登記をおこない、その上で売却することになります。

4-2.不動産の売却代金を相続人同士で分け合うことが可能に

この方法を「換価(かんか)分割」といい、大切な土地は失ってしまいますが現金に換えることができるため相続人に明確に分配でき、トラブルも少なくなります。また、この売却代金をそのまま納税資金に充てることが可能なメリットがある一方で、直ぐに売却できるかどうかわからないデメリットもありますので注意が必要です。

4-3.場合により相続税額が高くなることがある

土地の評価自体に何らかの特例を適用していたり、減額評価をしようとした場合、申告期限内に売買契約を進めて売却してしまうと適用要件の状態を維持できなかったことになりその結果、特例の適用ができず、評価額が高くなる、すなわち相続税も高くなる場合があります。

4-4.相続人のあいだのトラブルを無くすために

換価分割を行う場合の遺産分割協議には、誰が実際に売却行為を行うのか、売却のタイミングや期限、代償金の支払期限等、こと細かなに話し合い、出来るだけ書面に記載しておいた方がトラブルも少なく、よりスムーズに手続きが進みます。もし、相続人の中に、認知症を患っている方がいたり、未成年の方がいらっしゃる場合には、充分な注意が必要です。

4-5.売却をした際に、土地を購入したときと比べて利益が出た場合は確定申告を

忘れがちなポイントとして、相続した不動産であっても売却したことにより、その土地を購入した当時よりも利益が生じた場合は“譲渡所得税”の申告をしなければならないことです。ご自身で購入した土地でなくても、やはり売却して得た利益(譲渡益)は課税対象となりますので、忘れずに申告(確定申告)をしましょう。さらに、所得が増えたことになりますので、所得をベースに決定される社会保険料が申告した翌年1年間は高くなってしまうことにも注意が必要です。

※相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合であれば、相続税の一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が認められますので譲渡益を抑えることができます。

5.さいごに

いざ相続となったとき、相続した財産の大半が不動産の場合にはどのようにして納税をすべきか、現金がなくて困ったときの判断基準として「延納制度」と「売却して現金化する方法」の2つがお分かりいただけたと思います。

大切なことは、相続した不動産が、自分が幼き頃から住んでいた実家など、何とか売却せず済ませたいときの対処法です。一括で支払う現金が無くても継続して分割払いができるようでしたら延納制度を活用するのも一つですが、余分な利子税の支払いが発生します。

生前から大切な不動産の財産価値を把握して、相続人になりうる人たちが相続税の納税分のお金を貯蓄しておくことも大切ではないでしょうか。

相続税対策は、亡くなってからがスタートではありません。
家族で話し合いをするなど、将来にわたってどのように財産を遺していくのかを早めに考えましょう。

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