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【他人事ではない!】相続トラブルがよく起こる9つの事例と解決策

「相続で揉めるのは、遺産の多い一部の人たちだよね。」
「我が家は、遺産も少ないしトラブルが起きるはずが無い。」

相続に対して、このようなイメージをお持ちの方は特に注意して本記事を確認してください。

まず、相続トラブルが発生して、ご家族内で解決できないと家庭裁判所に申し立てをおこない調停に発展します。「調停」と聞くと高額な相続財産をもつ家族で起きると思いがちですが、裁判所から発表されている平成27年の司法統計によると、

【調停に至った件数】
 14,979件

【調停に至った方の財産】
相続財産5000万円以下の家族  75%(全体の4件中3件)
・相続財産1000万円以下の家族  32%(全体の3件中1件)※上記と重複

⇒ 一般の家庭でもトラブルが多く発生している!

しかも、毎年相続に関する相談件数も申立件数も増えていますので、相続におけるトラブルは他人事では済まされない状況になってきました。

図1:相続トラブルが起きている財産ごとの申立の割合
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司法統計:「平成27年度の遺産分割事件数」の内訳より独自に作成

そんな相続のトラブルですが、切実な理由が原因となることもありますが、それらを含めて仲が良い家族であってもコミュニケーション不足が端を発して起きているケースがほとんどです。

本内容では、相続で起きやすいトラブルとその対策をご紹介しますので、相続を機に亡くなられた方の意思に 反して家族が不仲にならないように、しっかり確認して相続に備えましょう。

相続で大切なことは「亡くなられた方の意思を尊重すること」です。「平等に分割すること」ではありませんので財産の所有者がご健在なうちにうまく相続の話を切り出し、意思を確認することができれば相続のトラブルを押さえることができてベストです。

そして、このような話題はお盆やお正月のようなご家族が自然に集まった際に切り出すことがオススメです。
ぜひ、内容を確認して、実践しましょう。

1.なぜ相続トラブルの事例が身近で、よくある話になるのか。

図1のグラフにもあるとおり、相続のトラブルはとても身近なものです。高額な財産がある方の話だと思っていると大きなトラブルにご自身が巻き込まれます。

旧来の家督相続(長男が全ての財産を相続)の廃止や相続に関する書籍やWebサイトの増加によって、民法で定められた法定相続分(相続財産を分割する場合の基準)を利用して相続財産を平等に分ける考え方が広まっています。

しかし、なかなか平等に分けられるほどの財産が無いことが現実です。

1-1.生前は家族の誰もが相続財産について口にしない

例えばお父さまの財産について、生前は家族の誰もが相続について口にしないことが家族内の暗黙の了解になっていませんか?

この財産についてのコミュニケーション不足は、ご両親が意外と相続で揉めごとが起きると思っていないことや、相続する側は『自己主張』と『問題の先送り』をしようとすることにつながり、結果的に相続トラブルに発展していきます。

お父さまの意思を家族に伝えてもらい、遺言書など書面に記していくことで相続トラブルを未然に防ぎましょう。

1-2.ご両親は意外と相続で揉めごとが起きると思っていない

お父さまが亡くなられたあとに相続手続きをするためには、相続財産をすべて明確にし、相続の対象となる相続人を確定する必要があります。

これらを終えると意外な課題が浮かび上がったり、平等に分割できない壁にぶつかることが多々あります。

もちろん、お父さまが財産を築かれる際に将来の財産分割を容易にすることを優先して考えている訳ではありませんので、課題が生じてもしかたありません。

よって、生前に相続対策がされていない場合には、相続をする際にトラブルになる原因が多々潜んでいることを理解しておきましょう。

亡くなられたお父さまがきっかけで、相続トラブルになる4つの事例を紹介します。詳しくは2章でご紹介します。

<亡くなられた方がきっかけとなる相続トラブルの事例>
(2)分けられない!
   → 土地や家屋など分割できない財産は売却するか譲り合い
(3)相続人が複雑
   → 子なし夫婦だと夫の財産の1/4を夫の兄弟が相続することに
   → 再婚した相手の子ども・内縁の関係の方に相続の権利がない
(4)偏った資金援助
   → 同居(近所に住む)の長女だけに贈与をしたら相続財産は減る
   → 次男だけ大学時に海外留学に行っていたら相続財産は減る
(5)多額の借金
   → 債務通知が突然届いて驚いても相続放棄すれば支払いは免除

1-3.相続する側は「自己主張」と「問題の先送り」をする

亡くなられたあと、相続財産や相続の対象となる方が決まったら、次は財産をどう分けるかについて話し合いをして決めていきます。

この段階になると相続の対象となる方の考え方が二極化してきます。
・ご自身の損得を前面に出して主張をするタイプ
・他の相続人のことを気遣って円満に解決することを模索するタイプ

主張するタイプは正しさより感情面が強く、主張どおりにならないと納得しないことも多いです。こういう方がいる場合、お母さまがご健在であれば一旦お母様が全部相続することで先延ばししたり、ご健在でなければ相続の決定自体を先延ばしするケースがあります。

いずれも、新しい課題を生みますのでオススメできません。

相続をする方がきっかけで、トラブルとなる4つの事例を紹介します。詳しくは2章でご紹介します。

<相続する方がきっかけとなる相続トラブルの事例>
(6)強い主張・勘違い
   →自分の損得だけを考えて主張する
   →○○だから自分は多くもらえるという勘違い
(7)とりあえず
   → 話し合いがまとまらないと決めごとを先延ばし
   →相続税がゼロ円になるようにとりあえず相続を
(8)第三者が参画
   →自分の意に反して奥さんが主張をするが抑えられない
(9)スケジュール
   →早く決めたい人と、いずれ決めればいいと思う人のズレ

2.実際に揉めて困った身近な相続トラブルの事例9選

相続財産1000万円以下の家庭でも起きる相続トラブルの原因は、一言でいえば「家族内のコミュニケーション不足による不平等感が生まれること」です。

ご両親の財産についてはなかなか家族内で話題にしないものですが、相続する側は誰もが少なからず心のどこかで将来の相続のことを考えています。

漠然とした不安がある方や自分は他の家族より多くもらえると思っている方、みんな平等に分けるべきと思っている方など様々でいざという時に対立の原因となります。

相続トラブルとなる主な9つの原因を事例をまじえてご紹介します。

図2:相続トラブルが起きる主な9つの原因
相続トラブルが起きる主な9つの原因

2-1.相続トラブル①:コミュニケーション不足で意思が伝わらない

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※イメージ画像

近年、エンディングノートが流行ったり、遺言の作成件数が増加していることから、生前に自分の財産を明確にし、誰に相続させるか決めておくケースが増えてきています。

しかし、遺言の内容は家族に内緒にすることがまだまだ多く、結局亡くなられた後に意思が伝わらず家族仲が悪くなるケースも見られます。

平等に相続財産を分ける内容の場合は良いのですが、そうでない場合には意思がしっかり伝わるような工夫が必要です。

2-1-1.事例:生前に意思を確認しなかったので分からない

相続の話は今も昔もデリケートな話題であり、家族が集まった際に少しだけ話題にのぼっても誰も真剣に考えようとせず話題が深まらなかったり、過去からの不満を誰かがぶつけ出すと場の雰囲気が悪くなり話題を変えようとします。

このような結果として、本来は「亡くなられた方の意思を引き継ぐこと」が相続の主旨ですが、生前に誰も亡くなられた方の意思を確認していないことから意思がわからない状況に陥りトラブルにつながります。

よって、いつの間にか「亡くなられた方の意思を大切にする」ではなく、それぞれが自分の損得を主体とした思考で勝手なことを言い出して亡くなられた方が悲しむような事態に陥ります。

2-1-2.対策:生前に相続会議を開催し書面に残す

これがトラブルを防ぐ最も大切なことです。
お盆やお正月など家族が自然に集まってくる時期に、一度真剣にご両親とご兄弟で相続の話をする機会を作りましょう。

まずは、ご自身から相続のリスクをお父さまに伝えて、第一歩としてはお父さまの相続に対する意思だけでも他の相続人に伝えてもらうことが大切です。

その次に、実際の財産をもとにいざというときには、誰が自宅を相続するのか、など具体的な話や、リスクが無いかを考えていきます。また、話した内容等は可能な限り書面に残していきましょう。

もし、お父さまが話し合いをする前に遺言を作成することになった場合には、後日、遺言に記した相続財産の分割に対する考え方をご家族にしっかりと伝えてもらうことが大切です。

図3:相続会議をして遺言または書面に残していく
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2-2.相続トラブル②:財産が分けられない

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※イメージ画像

相続税の申告が必要な方のうち、相続財産に占める不動産(土地+家屋)の割合は43%(国税庁:平成27年の相続税の申告状況)にもなります。単純に考えれば、相続人が3人以上いると平等に分割ができないため悩むことになります。

さらに、相続税の申告対象では無い方の場合には、持ち家があると相続財産に占める土地や家屋の割合が一層増えることが想像できます。

2-2-1.事例:平等を追求しすぎて結論がでない

相続財産を分割する際に基準となるのが民法で定められた法定相続分です。最近は書籍やWebサイトが充実したことで法定相続分の割合で分けることがルールのように感じることもありますが、これは基準であり絶対的なルールではありません。

ご家族の生活状況などを加味してどのように相続をすべきか検討する必要があります。相続する財産が現金など容易に平等に分けられる場合には法定相続分を活用できますが、土地など分割できない財産を含む場合には貯蓄から代償としてお金を渡すなど工夫をしないとトラブルにつながります。

よって、ご実家など分けることができない財産があっても平等性を追求し「全員が平等であるべきだという」と強い主張をする方がいると、具体的にどう分ければ良いか現実的な提案もないと話がまとまらない事態に陥ります。

2-2-2.対策:分けられない相続財産を分割する3つの手法

土地や家屋など分けられない財産の分割を考えた場合に、手っ取り早く思いつくのが土地と家屋の権利を相続人で分割して共有持分とすることです。

しかし共有持分は問題の先送りであり、今回は兄弟だけで話し合いをすれば決着がつくものを、お子さんの世代に引き継ぐことでいとこを全員集めて賛同を得なければ売ることすらもできなくなります。

共有持分を選択したいと思った場合や、思い出が詰まっているから売却したくないと思った場合でも、平等に財産を分割したい場合には売却して現金を分けることをオススメします。

図4では、実家が3000万円の価値で、現金を1000万円相続する場合の分割方法についてご紹介します。

図4:土地を含む財産を分割する3つの手法
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※土地の相続トラブルについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2-3.相続トラブル③:相続人が複雑で想定と違う

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※イメージ画像

家庭環境の多様性が進む中で、お子さんがいらっしゃらず夫婦だけで暮らしているケースや離婚して前の奥さまとの間にお子さんがいらっしゃるケース、そして再婚した奥さまに連れ子がいるケースや内縁の奥さまがいらっしゃるケースも珍しくなくなりました。

こういったケースでは、思いがけない方に相続の権利があって、思いがけない方に相続の権利が無いトラブルに発展することがあります。

2-3-1.事例:子なし夫婦・離婚・再婚・内縁関係は相続人にご注意を

亡くなられた時点の家族構成から財産を相続できる権利を持つ人を「法定相続人」と言い、法律で定められています。

トラブルになりがちな主な4つの事例はこちらです。

(1) お子さんがいない夫婦は、旦那さまのご兄弟に相続権が発生
(2) 離婚して前の奥さまとの間にお子さんがいる場合に相続権が発生
(3) 再婚した奥さまに連れ子がいる場合に養子縁組しないと相続権が無い
(4) 内縁の奥さまは遺言で指名しないと相続権が無い

図5:多様な家族構成と相続人
相続 多様な家族構成と相続人

2-3-2.対策:相続人の決定方法と権利を知って事前対策

先ほどご紹介したとおり全く疎遠であっても亡くなられた方のご兄弟に相続の権利があったり、離婚した前の奥さまとのお子さんに権利が発生します。

反対に、内縁の奥さまや再婚した奥さまの連れ子については、いくら同居していても法律上で相続の権利が無ければ財産をもらう対象にはなりません。それぞれの対策は次のとおりです。

(1) お子さんがいない夫婦は、遺言を作成することで全ての財産を奥さまに相続することができる
(2) 離婚した奥さまとの間のお子さんは、遺言を作成することで割合を半分に減らすことができる
(3) 再婚した奥さまの連れ子は養子縁組をすると実子と同様の扱いになる
(4) 内縁の奥さまには遺言を作成し相続させる旨を記載する。他の相続人がいる場合にはい遺留分に注意する

※遺留分の権利について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2-4.相続トラブル④:教育費・生活費の偏った資金援助等で言い争い

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お父さまの相続を考えた時に、長男の私は国立大学へ進学し実家から通う、長女は海外留学、次男は私立大学+下宿生活をしていた場合など、学費から見ると長男の私が一番親からお金をもらっていないと感じます。

また、近年、長女は実家の近くに住んでおり、実家に顔を出してはお小遣い程度に生活費を援助してもらっていたり、長女の子どもだけが学費を贈与してもらっていたとします。

こんな場合には、相続の際にどこまで考慮されるのでしょうか。

2-4-1.事例:兄弟が受け取った財産の差は意外に考慮されない

お父さまから学費を出してもらった金額については、国内の国立大学・私立大学の学費の差であれば、社会通念上で特別な差ではないことから相続において考慮されません。

一方で、医学部に進学した場合や海外留学をした場合など、明らかに学費が高い場合には差額を考慮します。このような生前の援助や支援について相続で考慮することを「特別受益」といい、相続人同士が不公平感を感じた場合に考慮します。

この特別受益に該当しない内容で主張されるケースも多く、それがトラブルにつながります。

よって、「長女だけが海外留学させてもらったんだから、相続財産はその分調整する」といった妥当な主張は良いですが、「次男は私立大学に通っていたから調整すべきだ」などの法的にも認められないケースの主張があると話がまとまらない事態に陥ります。

2-4-2.対策:生前にもらった財産のうち相続で考慮する財産

社会通念上で特別な差がある場合とは、先ほどの医学部進学・海外留学の学費の他に、土地や自宅購入資金、借金の肩代わり、結婚資金の援助、孫の習い事や学費分の贈与などがあげられます。

これらは相続人が特別受益を考慮しなくてよいとした場合には、考慮する必要はありません。

しかし、トラブルとなる原因の多くは生前に受けた受益に差があることに対する不満であることが多いため、生前に極力不平等にならないように気をつける、または相続時にトラブルにならないようにお父さまに意思を明確にしてもらうことがオススメです。

図6:特別受益となるものの一例
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2-5.相続トラブル⑤:多額の借金が発覚した

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お父さまが亡くなられて葬儀や相続手続きを進めていると、突然督促状が届いて驚くことがあります。お父さまが借金をされていて返済が滞ったことで届く督促状ですが、相続ではプラスの財産だけでなく借金のようなマイナスの財産も引き継ぐことになります。

よって、返済義務は相続人に生じるため発覚したらすぐに判断をして対応をしましょう。

2-5-1.事例:実家に届いた督促状がきっかけで発覚

お父さまが借金をしていて、月々の返済が必要であるにもかかわらず亡くなったことで返済できていないときや、口座からの引き落としで返済するはずが亡くなられたことで口座が凍結して返済ができなくなったときに督促状が届きます。

このような借金があった場合には、借金も含めてお父さまの財産となるため土地や家屋を含めてすべての財産を相続するか、すべての財産を相続しないか判断が必要な事態に陥ります。

図7:借金返済の督促状が届いて驚く
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2-5-2.対策:多額の借金があった場合の対処法と相続

借金があった場合には、まずは金額の多少を確認します。その上で借金をふくめて相続すべきかどうか判断します。

残っている財産よりも借金の方が大幅に多い場合には相続放棄の手続きを取ることができます。

ただし、亡くなられてから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があること、その期間内にすべての相続人が個別に申し立てをする必要があることから早急な対応が必要となります。

※相続で借金があった場合について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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2-6.相続トラブル⑥:強い主張や勘違いから話がまとまらない

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ご自身の損得のことだけを考えて主張をする相続人がいたり、ご両親と同居したり介護をしていれば実家を相続できると勘違いしている相続人もいます。多くの場合、生前に主張をせず亡くなられたあとになって、急に主張をすることが多いものです。

こういった場合、思った通りの結果にならないと納得しない方も多く、相続財産の分割結果をまとめた遺産分割協議書に押印がされず相続手続きが完了しません。

2-6-1.事例:同居・介護は実家を相続できることにはならない

同居したり、介護したり、親の愚痴を聞いたりなど、ご両親に対して生前にどれだけ貢献したかについて、相続財産の分割の話し合いをする段階になってはじめて主張することも珍しくありません。

しかし、こういった貢献に対して相続で考慮することを「寄与分」といいますが、多くの場合には認められません。

寄与分は、亡くなられた方の財産の増加や維持に貢献した方に対して認められるもので、介護により高額な入院費を免れたことや無給でご両親の事業を手伝った場合などに認められます。

よって、「私が介護したんだから」「私がイヤだったけど同居したんだから」など、法的にも認められないケースの主張があると話がまとまらない事態に陥ります。

2-6-2.対策:認められる主張と裁判になった場合の結末を理解する

相続について分割の話をした場合に、思った通りにならないと家庭裁判所に申し立てをして審判を受けたり、調停の申し立てをおこなうことで法的な判断を迫ることができます。

しかし、ご自身が財産を思った通りもらえないことで申し立てをしても、多くの場合には法定相続分で分ける結論に至ります。

弁護士費用が発生し、何度も平日に裁判所へ足を運んで判決が出た結果、法定相続分になっては意味が無い上に、家族仲がとても悪化します。

この事実と寄与分で認められる内容を知り、家族で円満に相続が進むことを考えて話し合いに臨みましょう。

また、介護や同居をすることで実家を相続したい、など希望がある場合には、介護や同居を開始する時点で財産についての話し合いもしておきましょう。

図8:相続トラブルが発生しても家族で話し合いをしましょう
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2-7.相続トラブル⑦:結論を先延ばしでペナルティまたは特例が使えない

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相続財産をどうするか話し合いをした際に、それぞれの自己主張が強かったり、自分の意見がとおらないと結論を導き出そうとせず、先延ばしをする相続人が出てくる可能性があります。

仮に相続税の支払いが必要だった場合には、延滞税などのペナルティを避けるためお父さまの財産を一旦すべてお母さまに相続し、お母さまが亡くなった際に改めて話し合いをしよう、と考える場合もあります。いずれにしても利点は無いため、注意が必要です。

2-7-1.事例:先延ばししたら別のリスクで深みにはまる

相続の結論を出さずに長期間保留しておくと、相続税を減額するための特例が使えなくなったり、次の相続が発生する場合がありますので注意が必要です。

また、お父さまが亡くなられた際に全ての財産を奥さまが引き継ぐ手続きをした場合1.6億円または相続財産の1/2までは非課税で対応可能ですが、お母さまが亡くなられた際に多くの相続税の支払いが必要になる場合などトラブルの原因が潜んでいます。

よって、お父さまが亡くなられた際に、話し合いをしても意見がまとまらないと、とりあえず全部をお母さまに相続して税金をゼロ円にしようなどと考えがちです。しかし、「二次相続」という次の相続のことを考えて計画的に結論を出さないと、多くの相続税を支払う事態に陥ります。

また、ご実家を「とりあえず兄弟3人の共有持分で相続しておこう」と考えると、いずれお子さん・お孫さんの代に迷惑を掛ける事態に陥ります。

2-7-2.対策:とりあえずの相続がもたらすリスクと対処法

結論を出したくないからという理由で、とりあえずの相続をしてもいずれ歪が生じます。2-2-2でご紹介した共有持分で相続することや、一旦お母さまが相続し別の機会に考えようなどの考えは問題を先送りしただけでうまくいきません。

また相続税の申告対象となる場合に期日内に対応すれば大きく相続税を減額する特例も利用できますが、延期したことで特例が利用できず、大きな相続税を納税する必要が生じることもあります。

2-8.相続トラブル⑧:第三者が口を挟んだことでまとまらない

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家族円満に相続を終えようとしたとき、ご自身の奥さまなど第三者が「○○(理由)だから我が家がもっと相続財産をもらうべきでしょ」など口を挟むケースも珍しくありません。

少しでも多くの財産をもらいたいと思って主張する場合もあれば、「相続人では無い私が一番ご両親に貢献した」という事実から主張をする場合もあります。お

母さまもご兄弟も納得した相続の結果でも、第三者の異論で滞ることもあります。

2-8-1.事例:自身の相続以上に感情的になって譲らない

少しでもお金をもらえるようにと想定外の主張をしたり、嫁姑の関係や介護をしてきたこと、お子さんのことなどから奥さまがご自身のご家庭の相続以上に感情的になって主張を始めることもあります。

奥さまのお父さまの相続であれば、お母さまやご兄弟との関係性をより大切にしたり、それぞれの立場を鑑みたり冷静に対応される場合でも旦那さまの相続では感情が押さえられないこともあります。

そんな場合にその感情をむげに扱うと今後の夫婦仲にも影響することもあり対応に困るなどトラブルが潜んでいます。

よって、奥さまなど第三者が「○○(理由)だから我が家がもっと相続財産をもらうべきでしょ」などの主張があると感情面は理解できますが、実態的には考慮されないことから話がまとまらない事態に陥ります。

2-8-2.対策:亡くなられた方の意思や事実を明確にする

主張の多くは2-4や2-6の内容であることが多いため、そちらを確認しましょう。

特に介護等で貢献される場合には、ご自身の貢献について主張する可能性があるため、実際に介護等に携わる前にご両親・ご兄弟をふくめて将来の話をしておくことが大切です。

財産がほしいから介護等をするわけではないのですが、結果的には相続の際に主張につながるため、相続人の皆さんの状況を鑑みて冷静に早めの話し合いをしましょう。

2-9.相続トラブル⑨:スケジュールの考え方が異なってけんかになる

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お父さまが亡くなられてバタバタと葬儀や手続きを終えたあと、相続に関するいろいろな期限を守らないといざという時に相続放棄ができなかったり、ペナルティが発生することから、少し焦って相続手続きを終えようと考える方もいらっしゃいます。

しかし、ご兄弟に話をしても一向に焦った様子がなく、苛立ちからトラブルに発展するケースもあります。

2-9-1.事例:早く決めたい人とそうでない人とのギャップ

「相続に関わる期限を遵守してしっかり対応しよう。そのためには遺産分割の話し合いも早めに終わらせて・・・」など、相続の流れを勉強されてしっかり対応したいと思われている方も増えています。

ご自身がそう思う一方で、ご兄弟が焦る様子もなく「まだ大丈夫」だとのんびりしていると、時間軸の考え方の違いから言い争いを生むことがあります。

2-9-2.対策:期限を知り段取りを決めて全員へ共有

相続に対する考え方の相違がトラブルを生みますので、まずは考え方や知識を合わせるところが大切です。

お父さまが亡くなられた場合には、四十九日を目途に相続手続きのリスクだけは共有しておくようにしましょう。

そのうえで、相続手続きが完了するまでのスケジュールを一緒に考えていくことが最善です。

3.まとめ

相続トラブルについて9つの事例と対策をご紹介しましたが、やはり相続は「亡くなられた方の意思を引き継ぐもの」という大前提の意識が低いことから生じる相続トラブルが多くあります。加えてコミュニケーション不足が端を発して起きているケースがほとんどだとお分かりいただけたと思います。

亡くなられた方が意思を示す最も有効な段は「遺言」です。
生前のお元気なうちにお父さまに遺言の意味を説明し、遺言に意思をこめて作成をしてもらうことから始めましょう。

また、遺言は作成するだけでなく、特に平等に財産を分ける内容ではない場合には、遺言に記した意思について出来る限り家族に直接伝えてもらいましょう。

また、家族で相続の話をしたり意思を伝えるのは、やはりお盆やお正月のようなご家族が自然に集まったときオススメです。ぜひ、今回ご紹介したようなトラブルに遭遇しないよう、円満な相続になるための準備をしましょう。

最後に、相続のトラブルはお父さまかお母さまのいずれかが亡くなられた最初の相続では先延ばしをする方も多く発生しないことも多いものです。

しかし、ご両親がお二人とも亡くなられた際には、ご兄弟でトラブルになる確率が高くなりがちです。そんな時にはこちらの記事を参考にしてください。

※遺産相続を兄弟でおこなう場合について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
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