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遺言を活用した“遺贈”のすすめ!これなら相続税も怖くない!?

“遺贈(いぞう)”って普段はあまり使わない、聞きなれない言葉ですよね。

何となく文字から言葉の意味は理解できても、はっきりした意味や、具体的に何ができるのかなど、知らないことが意外に多いのではないでしょうか?

結論的には、“遺贈”は遺言を活用して本来、相続人では無い人にも無償で財産を譲ることをいいます。

他にもこんな不安は無いでしょうか。
・「相続する」と「遺贈する」とでは何がちがうの?
・一方的に遺贈することを決めても、受け取る人は迷惑にならない?
・安易に遺贈をして、何か問題はない?
・揉めごとに巻き込んだりしない?
・もらった人は相続税を払わなくてはいけなくなるの?        ・・・等々

もし、遺贈をすることを考えている場合は、税金の確認をしたり、遺贈を受けて財産をもらう人に迷惑がかからないか、他の相続人に迷惑がかからないかなど、事前に確認しておきましょう。相手の方も突然、
「この財産をあなたに遺贈する(無償であげる)」と言われても素直に受けていいものか、判断にも困ってしまいますよね?


遺贈は、財産を所有している方が亡くなったあとに発生しますので、一方的な考え方でおこなうとトラブルが発生してしまいます。正しく遺贈する、遺贈を受ける場合には、どうしたらよいのでしょうか?
確認しておきたいポイントをご説明します。

1.遺贈って何?相続・贈与と何が違うの?

遺贈という言葉は知らないけど、相続や贈与なら知っている。という方も多いのではないでしょうか。では、遺贈と相続・贈与は何が違うのでしょうか。まず、遺贈と相続は財産を持っている方が亡くなった場合に利用する制度であり、贈与はご健在の場合に利用する制度となります。

1-1.「遺贈」は、遺言書により誰にでも財産を譲れること

遺贈とは、遺言書を活用して財産の全部もしくは一部を、特定の人(相続人でも相続人以外の人でも可)に無償で譲ることです。財産をもらう人のことを受遺者(じゅいしゃ)といい、特に制限なく「遺贈を受ける」ことができます。よくあるケースとしては、「息子さんが亡くなったあとに息子のお嫁さんに介護をしてもらっているので財産をゆずりたい。」「生活をともにしていた内縁の妻に贈与をしたい。」などです。

1-2.「相続」は、法律で決められた相続人に財産を譲ること

相続とは、亡くなった人が所有していた財産や権利義務を受け継がせることができることです。受け継がせることができる人は、配偶者や子どもなどの一定の関係にある人(=法定相続人)に限られます。

1-3.具体的な違いは、財産を譲る相手と注意点

遺贈と相続の大きな違いは、遺贈では相続人はもちろんのこと、相続人ではない第三者にまで財産を譲ることができる点です。遺贈する方法としては「生前に遺言書を作成する」ということになります。もうひとつの違いは、遺贈の場合は法定相続人がいる場合、“遺留分の問題”が生じるため少し注意が必要です。
遺留分に関しては、次の章でご説明します。

ポイント1:相続人ではない人に、自分の財産を譲りたい場合は遺言書を作成しましょう。

2.遺贈における注意点は「遺留分」

遺言の内容は、故人の遺志ですから、尊重し最優先とされるべきではありますが、相続人(配偶者や子どもなど)の権利も当然に大事なことですから、遺贈を考える場合はくれぐれも後に揉めないよう、遺言者は十分な配慮を持って遺言書を作成しましょう。

2-1.最低限相続できる財産が遺留分

相続人となるはずの人が最低限相続できる財産を遺留分(いりゅうぶん)といいます。この遺留分の権利は配偶者および父母と子・孫に限定されます。もし、兄弟姉妹が相続人の場合は遺留分の特例は保障されず、認められませんので、遺言書の記載が優先されることになります。

2-2.遺留分減殺請求が起きないように

第三者に全部の財産を譲るなど、相続人の最低限の取り分をおかして譲ってしまうと、権利を侵害されることから、「納得できない!」と主張されるでしょう。これを遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)といいますが、この請求がなされると遺言書どおりには遺贈することができなくなります。もめごとの要因を作らないためにも、遺留分を意識して遺言書を作成しましょう。

ポイント2:遺言書を作る場合は遺留分に配慮が必要!相続人が兄弟姉妹の場合は遺留分が認められない。

3.遺贈には、特定遺贈と包括遺贈がある

遺贈は、遺言書に記載する内容に応じて、「特定遺贈」と「包括遺贈(ほうかついぞう)」に分けられます。さらに、遺贈の条件として、受遺者に特定の義務を負担させる「負担付遺贈」もあります。それぞれの特徴を表で比較してポイントをまとめます。

1 特定遺贈と包括遺贈の違い

特定遺贈 包括遺贈
譲る財産 特定の財産を指定 財産の割合を示す

権利の

内容

特定の財産のみ

※マイナス財産の負担は不要
プラス財産/マイナス財産の両方

効力の

発生
遺言の効力発生時に受遺者のものとなる

◆1人に全部遺贈する場合、遺言の効力発生時に受遺者のものとなる

◆複数の受遺者に割合を示して遺贈する場合、分割協議をして決める。

放棄は

できる?

いつでも自由に

自分が包括受遺者となることを知ってから3か月以内に家庭裁判所で
代襲相続 ありません。 ありません。

負担付

遺贈

特定遺贈もしくは包括遺贈をする際に、受遺者に対して一定の法律上の義務を負担させることです。

 

<負担内容の事例>

受遺者〇〇〇〇は、遺言者の妻▽▽▽▽(受益者=じゅえきしゃ)が生存中、同人を当該不動産に無償にて居住させ、生活費として月5万円を毎月末日までに、当該受益者に支払うものとする。

万が一、受遺者が相当の期間を定めて催促しても負担を履行しない場合、他の相続人は、家庭裁判所に遺言の取消を求めることができる。

1  特定遺贈と包括遺贈の違い
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図2 遺言の記入例
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4.遺贈された場合、相続税であり贈与税ではありません

相続であれば、当然に相続税の心配が頭に思い浮かぶと思いますが、遺贈の場合はどうでしょうか。遺贈は、財産を譲るのだから、贈与税がかかるのでは?と考える人も多いのではないでしょうか。
いいえ、違います!遺贈は亡くなった場合に発生するため、課せられる税金は“相続税”です。贈与税は生前に財産を譲った場合に課せられる税金です。

5.第3者に不動産を遺贈する際に気をつける2つの税金

遺贈の内容が、不動産の場合、「不動産取得税」や「登録免許税」といった別の税金が発生する場合がありますので、その点も注意し把握した上で、遺贈の内容を決める必要があります。

5-1.遺贈には不動産取得税が発生する!

相続が理由で不動産を取得しても不動産取得税はかかりませんが、遺贈が原因の場合には不動産取得税がかかります。厳密には特定遺贈の場合にはかかるけれど、包括遺贈のように取得する割合が抽象的な場合は対象外となります。

税額の計算方法は、原則「不動産の価格(課税標準額)×税率※」です。
※税率 3/100 非住宅家屋の場合は4/100

5-2.遺贈は登録免許税が1.6%UP

不動産の登記申請をする際に、手数料として登録免許税がかかります。

遺贈の場合は評価額の1000分の20(2%)、相続の場合は評価額の1000分の4 (0.4%)と税率に差があります。

遺贈でもらった方にはこの分の税金がかかってきます。

ポイント3:特定遺贈の場合は、さらに不動産取得税もかかることになります!


6.第3者に遺贈する時に気をつける相続税の4つのこと

6-1.①遺贈で申告をする際、第3者は基礎控除の人数に含まず、税額割り振りに含む

相続人に遺贈をする場合、受け手側の税金の計算方法は通常の相続税と同じですが、相続人以外の第三者に遺贈をする場合は、以下の2点に注意をして、相続税を計算し加味する必要があります。

<遺贈での相続税計算における注意点>
①相続人以外の人が遺贈を受ける場合、基礎控除額の計算人数には含めずに基礎控除額を算出する。
②相続財産の取得割合に応じて相続税を振り分ける際には、相続人以外の人も含めて税額を決める。

ポイント4:遺贈の第三者は基礎控除額の計算人数には含まれず、税額を割り振る際には含めます。

6-2.②遺贈には2割加算が発生する!

相続人以外の方と、相続人のうち配偶者及び一親等の親族以外(兄弟姉妹の相続人や祖父祖母の相続人等)が遺贈を受けた場合には、税金が2割加算されます。相続税が通常よりも高くなってしまうことも押さえて、どのように遺贈をすると良いかを考えておかなければなりませんので、注意しましょう。

ポイント5:遺贈は相続税の対象!相続人以外が遺贈を受けた場合、相続税が20%アップ!

6-3.③小規模宅地の特例は親族以外の方には適用がありません

相続または遺贈により不動産を取得した場合、相続税の計算上、故人の自宅や事業用の敷地については一定の要件を満たせば、土地の評価額を減額することができます。しかし、遺贈を受けた人が、親族以外の場合は適用を受けることはできませんので注意が必要です。

ポイント6:小規模宅地の特例は、親族以外が遺贈を受けた場合、適用できず、評価額は減額されない!

6-4.④亡くなる前3年分の贈与は、相続税の加算対象です

ご自身が亡くなった場合に、生前に贈与をした財産について相続開始日から3年さかのぼった期間までのものであれば相続税の課税対象となります。相続開始日から3年以内に贈与を受けた財産をいったん相続財産にプラスして税額を算出します。贈与税を納めていた場合は、その贈与税額を相続税額から控除することができます。(=贈与税額控除)

7.遺贈を受けた場合の相続税を計算してみましょう!

遺贈で財産を受けた場合でも、遺産総額が基礎控除額を上回れば、その上回った部分に対し、相続税が課税されることはご理解頂けたかと思います。さらに、遺贈だと通常よりも税額が高くなる場合が多いことも先に説明したとおりです。遺贈を受ける人が相続人の場合もあるかと思いますが、その場合は、通常と同じ計算方法となります。

7-1.事例を使って、具体的な計算方法を確認してみましょう!

【事例】
長年、一人暮らしだった故人を親身になって介護をしていたAさんは、故人の遺言で自宅を遺贈されました。(=特定遺贈)Aさんは故人の親族ではありません。また、故人には相続人となる一人息子のBさんがいます。Bさんには持家はありませんでした。

<遺産の内容>
遺産総額は6,000万円
受遺者Aさんが遺贈された不動産の評価額=2,000万円
相続人Bさんが相続する他の財産=4,000万円(預金3,000万円と死亡保険金1,500万円)、非課税枠50万円
<基礎控除額>
 相続人1人のため、3,600万円
 
【相続税額】
(6,000万円-3,600万円)× 15%(税率) -50万円(控除額) =310万円
Aさんの税額=310万円×2,000万円/6,000万円=103万円
 ※Aさんは相続人ではないので2割加算対象となり、103万円+21万円=計124万円
Bさんの税額=310万円×4,000万円/6,000万円=計207万円


概算ではありますが、各々の相続税額は以上のように試算されます。

上記の事例の財産の場合、Aさんへの遺贈は、Bさんの遺留分は侵害していないので、基本的には問題ありません。Aさんが、相続税や、その他の税金(登録免許税や不動産取得税)を支払うことが可能であれば、遺贈を受けることができます。

7-2.遺贈の方法次第で、税金は安くできる!

この場合、トータルの税金を節税する方法としては、Aさんに自宅ではなく2,000万円の預金を遺贈し、Bさんに自宅を遺贈することでBさんに小規模宅地の特例(80%の減額)を適用できます。

法定相続人であるかどうかで特例の適用が変わってきます。大幅な相続税を減額できた可能性がありますので、遺贈する内容を考える際にはいろいろな知識が重要となります。
そのためには、遺言作成のサポートとして、相続税に詳しい税理士に相談することがお勧めです。

8.さいごに

遺贈とはどういうことなのか、重要なポイントをふまえてご理解頂けましたでしょうか?

「遺言書により誰にでも財産を譲れること」です。

しかし、遺言書の作成は言葉の意味だけを安易に考えて取り組んでしまうと、思わぬ税金を支払うことになってしまったり、他の相続人との揉めごとに発展してしまったりと、誰もが望まない方向にことが進んでしまいます。

遺贈する人も、遺贈される人も、また他の相続人を含めた皆さん全員が、故人の遺志に納得できるよう引き継ぎ方も、受け継ぎ方も十分に検討し、お決め頂ければと思います。

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